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『民主党による税制改正』 その3 所得税改革2「年金課税等」

 札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
 
 『民主党による税制改正』その3です。
 
 これまでお伝えした内容は以下のとおりです。
 
1回目・・・「納税者の視点に立った税制へ」という題で、「税制改正過程の抜本改革」「税・社会保障共通番号の導入」「納税者権利憲章の制定と更正期間の見直し」「国税不服審判のあり方の見直し」

2回目・・・「所得税改革の推進」という題で、「所得控除の整理、税額控除、手当等への切り替え」「給与所得控除の見直し」
 
 今回の第3回目は、「年金課税の見直し」と「住宅ローン減税等」について見てみましょう。
 
2 年金課税の見直し
 
 「「公的年金等控除」「老年者控除」は、平成16年度改正以前の状態に戻します。「公的年金等控除」について、65歳以上の方の最低保障額を120万円から140万円に引き上げるとともに、50万円を所得控除する「老年者控除」を復活させます。ただし、適用には所得制限を設けます。本措置により、配偶者控除を整理した場合でも、年金生活者の負担増にはなりません。」
 
 これまで、2000年の介護保険の導入以来、低所得の高齢者にとっては負担が増加する政策が次から次へと採られてきました。公的年金等控除の引下げ、老年者控除の廃止、定額減税の廃止、後期高齢者医療保険の導入等です。高額な年金や共済、金融資産に守られた裕福な高齢者がいる反面、毎日の生活にさえ事欠く高齢者が多数存在しているのがわが国の現状です。
 
 2006年3月30日に国会図書館が出した「無年金・低年金者と高齢者の所得保障」という報告書(注1)によると、無年金者は約80 万人、低年金者である老齢基礎年金のみの受給権者は平成17年度で男性が約239 万人(受給月額51,072 円)、女性が約660 万人(受給月額44,560 円)もいるそうです。
  
 また、わが国の人口は、平成20(2008)年10月1日現在、1億2,769万人で、前年(1億2,777万人:19年10月1日現在推計人口)に比べて約8万人の減少となったのに対し、65歳以上の高齢者人口は、過去最高の2,822万人(前年比76万人増)で、総人口に占める割合(高齢化率)は22.1%(前年21.5%)と、22%を超える結果となりました(注2)。
 
 65歳以上の高齢者のうち、無年金者と低年金者(約980万人)が占める割合はなんと3分の1を超えているのが実情のようです。
 
 「平成21年度高齢者白書」によると、高齢者の経済状況として、『「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」の計)と感じている者の割合は26.4%を占めています。一方、「ゆとりがある」(「大変ゆとりがある」と「ややゆとりがある」の計)と感じている者の割合は8.5%』と記されており、貧富の格差が拡大している現状が伺えます。
 
 民主党の高齢者に対する今回の税制改正は、このような状況を改善しようとするものですから、理に適った政策と言えます。これにより、生活困窮を感じている高齢者の経済状況が少しでも改善されるといいですね。
 
3 住宅ローン減税
 
 「住宅ローン減税については、いたずらに最大控除可能額を拡大するのではなく、バリアフリー化や省エネなどの社会ニーズの高い分野に対して重点的な負担軽減策を講じます。また、自らの資金で住宅を新改築・購入した場合でも、住宅ローン減税と同程度の負担軽減を受けることができる制度(投資減税)を創設し、団塊世代などの建て替えやリフォームのニーズに応えます。
 生損保など民間保険会社の保険料控除については、社会保障制度を補完する遺族・医療・介護・老後(年金)といった保険商品に対応した、新しい保険料控除制度を創設した上で、所得控除限度額を所得税において15万円程度に引き上げます。」
 
 住宅のバリアフリー化や省エネ化、投資減税については、自民党政権が既に平成21年度の税制改正でこれらの内容を反映した大幅な住宅減税を導入済みです(注3)。景気刺激策として効果が高いと言われる住宅減税ですが、課税の公平と経済対策という相矛盾する側面を持つ住宅税制に民主党が今後どのように取り組んでいくのか注目されるところです。
 
 次に所得控除である保険料控除については、自民党政権下で、民主党の内容が先取りされ、平成24年分から次のように改正することが予定されています(注4)。
 
1 これまでの一般生命保険料控除、個人年金保険料控除に加え、介護医療保険料控除を作る。
2 この3種の控除の適用限度額をそれぞれ4万円とし、最大12万円までの控除を可能とする。
 
 このため、これに対する民主党の政策の注目点は、最大適用限度額を15万円に引上げるのはいつかという点に絞られて来ますが、その前に、保険料控除という所得控除が本当に必要かどうかを検証し、不要ならば廃止することや他の控除、例えば基礎控除を増やすことにより吸収することなども検討すべきでしょう。
 

 皆さんはどう考えますか?

 
 次回は、『民主党による税制改正』 その4 所得税改革3 「給付付き税額控除制度の導入」と「金融所得課税改革の推進」について見ていきます。
 
 その他の『ちょっとためになる情報』は、次のサイトの「お知らせ」と「ブログ」でどうぞ!!
http://www.ksc-kaikei.com/
 

 See you next !
 


(注1)「無年金・低年金者と高齢者の所得保障」(田中敏)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0528.pdf
 
(注2)平成21年版 高齢社会白書(共生社会政策統括官)
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2009/zenbun/pdf/1s1s_1.pdf
 
(注3)平成21年度改正における住宅税制について(国税庁
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/090400/index.htm
 
(注4)平成21年度税制改正「生命保険料控除の見直し」(財務省)
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/zeisei09/05/index.htm
 

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    札幌市豊平区  税理士 溝江 諭 KSC会計事務所  
          http://www.ksc-kaikei.com/
 
    札幌学院大学  客員教授 溝江 諭 税務会計論担当 
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