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在宅勤務手当を導入する際のポイントは?

在宅勤務手当の相場はいくら?導入のポイントや注意点を解説

2022.01.31

コロナ禍の影響により、出社日数を減らして在宅勤務を実施した会社も多かったのではないでしょうか?

社員にとって在宅勤務は、感染予防や効率的な働き方につながる側面がある一方で、パソコンなどの業務に使用するデジタル機器をはじめ、自宅で快適に作業をするためのデスク・椅子、また光熱費や通信費が余計にかかってしまうことがあります。

在宅勤務が一つの選択肢として定着している会社も多くなってきており、その負担軽減のために在宅勤務手当の導入を開始するケースも増えてきているようです。

そこで今回は、在宅勤務手当導入のポイントや相場等について取り上げます。後半で手当の相場や事例についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

在宅勤務手当とは?なぜ導入している会社が増えているの?

そもそも在宅勤務手当とは?

在宅勤務手当とは、名前のとおり“在宅で勤務している社員に対して支給する手当”です。

自宅で仕事をする際には、自宅で快適に作業をするためのデスク・椅子が必要になるでしょう。そして、ネット環境を整えるための通信費や、日中にエアコンを使うことで光熱費も余計にかかります。そのような費用を補助するということが在宅勤務手当の目的になります。

2020年5~6月に行われた東京商工会議所の『テレワークの実施状況に関する緊急アンケート』では、テレワークを実施した際に生じた課題を調査したところ、1位が「ネットワーク環境の整備」56.7%、2位が「PC・スマホ等機器の確保」55.9%となっていました。在宅勤務を行うと何らかの設備投資が必要になるケースが多いということを示しているといえます。

在宅勤務手当の導入が進んでいる背景は?

新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う緊急事態宣言発令等により、在宅勤務を余儀なくされる会社が増えました。また、ワークライフバランスの推進や働き方の多様化等も在宅勤務の普及を後押ししているといえるでしょう。

さらに、オンライン会議システムなどのIT技術の進歩も在宅勤務の普及を促す要因となったといえます。

このように在宅勤務が広まる中、従来の通勤スタイルでは会社として負担していた費用を、結果的に社員が負担しなくてはならないことが課題となっています。そこで、社員の負担を軽減するために、多くの会社で在宅勤務手当の導入が進んでいるのです。

【こちらの記事も】リモートワーク時の会議の課題と円滑にするツール4選

在宅勤務導入によるメリットは?

1:コスト削減につながる

会社に通勤する必要がなくなると社員の通勤手当の削減につながります。仮に社員1人あたり毎月2万円の通勤手当を支給していた場合、年間で24万円の削減が可能になります。毎月の通勤手当の大きな会社であればあるほど、コスト削減できる余地が大きくなります。

そして、削減した通勤手当を原資として在宅勤務手当を支給すれば追加の財源を確保する必要がありません。後述の在宅勤務手当相場にあるとおり、月々の固定費等の維持費として支給する在宅手当は通勤手当よりも少額になることが多く、トータルでみてコスト削減につながるでしょう。

2:業務効率化や生産性の向上につながる

会社に通勤する場合は、長距離移動や満員電車等により何らかの肉体的・精神的負荷がかかるでしょう。

在宅勤務をすることでこのような負荷から解放され、結果として業務効率化や生産性の向上につながります。

3:ワークライフバランスの実現につながる

在宅勤務を行うことで時間や場所の制約がなくなり、例えば子育てや介護などと仕事の両立をしやすくなるでしょう。

社員に対して柔軟な勤務スタイルを提供することで、貴重な人材を確保する手段となり得ます。

【もっと詳しく】テレワークで残業が減り個人の時間が増える!企業にもメリットがある理由

在宅勤務手当を導入する際のポイントとは?

1:明確なルールを定める

在宅勤務手当を導入する際は、支給対象や金額等のルールをしっかりと定めたうえで、社員にわかりやすく説明することが重要です。

在宅勤務手当は決まった金額を一律で支給する場合が一般的です。しかし、なかには実費や現物で支給する場合もあります。

実費を支給する場合は、対象範囲や計算方法について社員が納得できる形でルールを定めましょう。また、事務用品などの現物支給の場合は、申請手順を整理して社員が必要な時に確認できる状態にしておくことをおすすめします。

すでに在宅勤務の経験がある社員がいれば、支給方法や金額等についてヒアリングすることも有効でしょう。そして、導入後も随時意見を聞きながら、必要に応じてルールの変更をしていくことも必要となります。

2:就業規則の変更をする

常時10人以上の社員を雇用している会社は、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。

在宅勤務手当の導入でルールが変更になるのであれば、就業規則の改定または付則として『在宅勤務規程』を作成し、労働時間や費用として認められる対象等を明確にしておく必要があるでしょう。

厚生労働省の『テレワークモデル就業規則~作成の手引き~』も参考にしてみてください。

【こちらの記事も】  テレワークガイドライン改定を踏まえた規程作成のポイント

3:社会保険料等が変わる可能性がある

在宅勤務を導入することで、通勤手当の代わりに在宅勤務手当を支給するという場合が想定されます。

ここで注意すべき点は、通勤手当には非課税枠がある一方で、毎月固定で在宅勤務手当を支給する場合は給与とみなされ、課税対象になるということです。

そのため、在宅勤務手当の増額により標準報酬月額が変動し社会保険料が変わるということがあります。

さらに、通勤手当とは違い、在宅勤務手当は割増賃金の基礎となる賃金として算入されます。1時間あたりの賃金が増加することで、割増賃金にも影響がでることに注意しましょう。

在宅勤務手当の相場は?

それでは、在宅勤務手当の相場はどのくらいが適正なのでしょうか?

在宅勤務の環境を整備するための一時金として、そして、光熱費や通信費の補助のため毎月の手当として、一律で支給するケースが多くなっています。

一時金は50,000~100,000円程度、毎月の手当は月額3,000~5,000円程度が標準的な相場といえるでしょう。

参考としていくつかの会社の事例をみてみましょう。

事例1:富士通株式会社

2020年7月に『富士通株式会社』はニューノーマルにおける新たな働き方“Work Life Shift”を推進すると発表しました。

その一環で、在宅勤務のための環境整備費用補助として月額5,000円の支給を開始しています。

事例2:株式会社ウィルゲート

中小企業向けWebマーケティング支援会社『株式会社ウィルゲート』では、在宅で業務を行う環境構築などに対し、2021年8月よりテレワーク手当として月額4,000円の支給を開始しています。

事例3:株式会社メタップス

DX支援事業を手掛ける『株式会社メタップス』では、リモートワークを軸とした“新たな働き方”を本格化するために、継続的に発生する通信費や水道光熱費などの補助として月額5,000円の在宅勤務手当としています。

また、在宅勤務に伴うネット回線工事、デスク・椅子、モニター等のPC周辺機器の整備費用に対する一時支援金として、100,000円の在宅勤務支援金を支給しています。

 

今回は在宅勤務手当について取り上げました。働き方改革の進展やIT技術の進化により、今後も在宅勤務を導入する会社が増えてくると予想されます。

在宅勤務に対する手当を検討する際には、本記事で紹介したポイントや相場などをぜひ参考にしてください。

【こちらの記事も】
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【参考】
テレワークの実施状況に関する緊急アンケート』 / 東京商工会議所
テレワークモデル就業規則~作成の手引き~』 / 厚生労働省
ニューノーマルにおける新たな働き方「Work Life Shift」を推進』 / 富士通株式会社
【お知らせ】テレワーク手当を2021年8月から支給開始』 /  株式会社ウィルゲート
在宅勤務支援金として10万円を支給』 /  株式会社メタップス

* Kワタコ、azuA、jessie、kou / PIXTA(ピクスタ)