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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 弁護士に聞く!問題社員への指導で「パワハラ」とされないために知るべきこと
最後に

弁護士に聞く!問題社員への指導で「パワハラ」とされないために知るべきこと

2022.02.17

中小企業でもパワハラ対策への関心が高まるなか、いったいどこまでが“パワハラ”なのかという疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか? パワハラを恐れて、適切な指導ができないとなれば、業務に差し支えてしまいますよね。

そこで今回は、弁護士の筆者が、『パワハラ防止法』のパワハラの3つの要件をもとに、パワハラとならない例を解説しましょう。

筆者の実務経験から分類した“パワハラの3つのタイプ”やパワハラとされないためのアドバイスについても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

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中小企業もパワハラ防止法が適用

2022年4月から『パワハラ防止法』(改正労働施策総合推進法)が適用されるということで、多くの中小企業の方が対応に悩んでいるようです。これまでは大企業のみに適用されていた、パワハラ(マタハラやセクハラも含まれます)への対応が、中小企業にも義務付けられるからです。

それに加えて、パワハラなどの問題提起した社員への不利益行為も、公益通報者保護法の改正により、これまでよりも一層厳しく禁止されることになりました。

パワハラに対する、社会の非難と法律の規制が、以前とは比較できないほど強くなってきているのです。

【もっと詳しく】2022年4月に中小企業に完全義務化!「パワハラ防止」で押さえておくべき対策まとめ

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「パワハラ」とならない3つの要件とは?

そんな中で、「一体何がパワハラにあたるんですか?」という疑問を筆者の事務所でもよく伺います。これは、単純なだけになかなか奥の深い質問です。

『パワハラ防止法』では、以下の3つの要件を満たさない場合は、パワハラとならないとされています。

1つ目は、職務上優位な立場にあるものの言動でなければ、パワハラには当たらないということです。通常は上司による言動がこれにあたります。これは、ある意味常識ですよね。

2つ目は、就業環境が客観的に害されたと認められる場合でなければ、パワハラにならないということも規定されています。これもある意味当然ですよね。変な社員が「私が傷ついたからパワハラだ!」と言った場合、それだけで「パワハラ」とされたならたまりません。客観的にパワハラと言えるものでなければいけないということです。

そして、3つ目が、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であることというものです。業務と全く無関係なことをさせるような場合、「パワハラ」にあたることは特に疑問もないでしょう。昭和の時代には、上司が自宅の引越し作業を部下に手伝わせたなんて事例はたくさんありました。今の時代では、そんなことすればパワハラであることは疑いもありません。

問題となるのは、業務上“必要”とされることでも、“相当”といえる範囲を超えた行為を行うような場合です。失敗した部下を叱るのは、ある意味業務上必要なことです。しかし、そのような行為も度を越えれば、“相当性”を超えた、“パワハラ”となるわけです。

【もっと詳しく】パワハラ事例集:そのやり方、パワハラかも!? パワハラの定義・具体例・対策

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昭和のパワハラと令和のパワハラ

パワハラについて、いろいろな分類がされています。ですが、筆者の実務経験をもとにわかりやすくパワハラを表現すると次のように3分類できます。

①体育会系しごきパワハラ
②陰湿系いじめパワハラ
③問題社員対処型パワハラ

①体育会系しごきパワハラ②陰湿系いじめパワハラは、昭和の昔は本当にありました。私も会社員を長く経験していたので、よく分かりますが、昔ながらの経営体質の企業では今でもあるのではないでしょうか。ただ、このようなパワハラについては、誰もが令和の今では「やってはいけないこと」という認識をしているはずです。明らかな“シゴキ”や“いじめ”に対して、「どこまでが許されるのか?」なんて考える人はいませんよね。

現在のパワハラを考えるうえで、悩ましいのは、③問題社員対応型のパワハラです。当事務所でパワハラが問題となった事案でも、基本的にはこれが問題となります。

世の中には、同じことを何度言っても改善が見られない社員がいるものです。答えを8割方教えて、最後の部分だけやるようにと指導しても、自分で一から始めて、訳の分からない回答を持ってくる。「少なくとも報告だけは上げるように」と散々言っているのに、自分の判断でおかしなことをして、いよいよダメになってからやっと報告を上げてくる。このようなことは筆者も経験があります。

最初は我慢強く教えていた上司も、こういう問題社員にはどんどんあたりが強くなっていきます。そして、周りから見てもやりすぎと思えるほど、いつも叱責しているような状況になってきます。こうなると、パワハラと言われてもしようがない場合もあるのです。

パワハラとされないために

パワハラかどうかの境界線

パワハラとなるかならないかの境界線を知りたいというのは、ほとんどの場合このような問題社員への指導を、どこまで厳しく行ってよいのかの問題となります。これはなかなか単純には判断できない問題です。「厳しく指導したらパワハラと言われてしまうのなら、何も注意できなくなるではないか!」という不満の声を何度も聞きました。たしかにもっともです。

ただ、指導するというのは、間違いを指摘してどうすればよいのかを教えることです。その限度では、パワハラとされることは考え難いです。現実にパワハラと認定されたのは、指導を超えた、“叱責”“非難”“罵倒”“いやみ”が続いているような事案です。“教える”行為を超えたならば、基本的にはパワハラの問題が生じると覚えておくべきだと考えます。

パワハラを防ぐために

問題社員への対応は、簡単には解雇できない法制度の中で、会社が取り組むべき問題のはずです。それを、多くの会社が管理職に委ねてしまうのが一つの要因だと考えます。こうして、追い込まれた管理職がパワハラという形で対応してしまいます。

昭和の時代では、耐えられずに問題社員が退職して、会社としては万々歳なんてことがありました。しかし今は時代が違うのです。会社としてはこのことを理解したうえで、パワハラ問題に取り組むべきです。

筆者は、パワハラをしてしまいそうな管理職には、次の2点を常に頭に置くようにアドバイスしていますので、参考にしてみてください。

1:問題社員は、社長の子供だと考えること
2:自分の姿が、常にビデオ撮影されていると考えること

【こちらの記事も】弁護士事務所の経営者が考えるメンバー育成とは?

最後に

パワハラの問題は、これからますます社会問題化していくでしょう。できるだけ早い段階で、弁護士など外部の人間の助力を求めていくことも大切だと考えます。イジメやシゴキのパワハラなら、すぐにでも止めさせるお手伝いができます。問題社員対応型パワハラに対しては、問題社員への対応という点にまでさかのぼり、退職勧奨なども含めたサポートを会社に提供しています。手に負えない……というときは一度、弁護士など第三者に相談することを検討してみてください。

【こちらの記事も】問題社員はどう対処すればいい?トラブル回避法と過去の事例を一挙紹介

*takeuchi masato、maroke、Fast&Slow、PIXTA(ピクスタ8×10 / PIXTA(ピクスタ)