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出資 投資

融資と出資の違いは?メリット・デメリット、押さえておくべき落とし穴も【経営の基礎知識をわかりやすく解説】

2022.07.21

「起業をしたいけど自己資金だけでは思い描く事業展開ができず、どこからか資金調達したい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時に、資金調達の方法として融資や出資を検討することもあるでしょう。しかし、安易に実行してしまうと、後々大きな不利益を被ってしまうということにもなりかねません。そこで今回は、融資と出資についてそれぞれの特徴や注意すべき点について解説していきます。

融資とは?

融資とは、事業のために金融機関から借入をすることを指します。個人の住宅や車の購入資金のために、金融機関から借入をするということもありますが、これは融資ではありません。融資とは、“事業を興すためや事業を継続するための借入”となり、“個人の消費等のための借入”とは違いがあります。当然、融資は金融機関からお金を借りているので返済する義務が生じます。また、借入金の返済に加え一定の利息を支払うことが一般的です。

融資を受けるにはどうすればいいの?

金融機関は融資をする際、返済が滞るリスクを背負っています。そのため、代表者の背景や資金使途等、様々な観点から金融機関の審査が行われることになり、この審査を通過しなければ融資を受けることはできません。

ここで重要なことは、“これからどのように事業を展開していくか”という妥当性のある“創業計画書”や“事業計画書”を作成することです。「事業の展望はどうなっているか」「なぜ資金が必要なのか」「どういうスケジュールで返済していくのか」等について妥当性のある計画がなければ、金融機関としても融資を実行していいか判断をすることが難しいからです。

【参考】「中小企業金融対策のご案内」 / 中小企業庁

【もっと詳しく】融資を受けるには、どうすれば?金融機関が「融資を避ける」中小企業の特徴と解決策

融資のメリットとデメリット

以下に融資の主なメリットとデメリットをみていきましょう。

【メリット】その1:事業のスピードを速めることができる

将来の起業へ向けた資金を給料の中から貯金していくとします。そうすると、必要資金額が貯まるまでに長期間を要してしまい、その間に起業のアイデアが古いものになってしまうかもしれません。このような場合に、融資を受けることができれば短期間で起業資金を確保することができ、事業のスピードを速めることにつながります。

【メリット】その2:ビジネスの幅が広がる

例えば製造業や卸売業では、製品を販売してから代金の回収までにタイムラグが生じる掛け取引が一般的です。また、店舗販売をする小売業であれば、一定の商品在庫を保有することが必要になるでしょう。このように、事業形態によってはある程度の資金を確保しておかなければ、「提供したい商品やサービスを展開できない」「取引したい顧客と取引ができない」ということが起こりかねません。このような意味で、融資を受けることはビジネスの幅を広げることにつながるといえます。

【デメリット】その1:返済義務・利息が発生する

融資を受けた場合、決められた期日に金融機関に返済しなければなりません。また、通常は利息も発生することになります。融資で受けた資金を用いて利益を上げ、その利益を元手に返済していくということが基本になります。

【デメリット】その2:経営者が連帯保証人になる

近年では無保証で融資を行う事例が増えているものの、多くの場合は経営者が連帯保証人になる必要があります。融資を受けた後、滞りなく返済していれば問題ありませんが、万が一返済できなくなってしまった場合、経営者が連帯保証人として自らの財産を使って返済を行う必要があります。

【こちらの記事も】「実質無利子・無担保の融資政策」「危機対応融資の申し込みの期限延長」企業が押さえておくべきポイントは?

出資とは?

出資とは、企業等が団体や個人から資金提供を受けることを指します。出資する側は、対象となる企業の成功や成長を期待してお金を出すことになり、出資した金額以上のリターンを期待しています。例えば、出資者は未上場の株を取得する代わりに資金を提供し、その企業が上場した後に株式を売却し大きな収益を上げるというような手法です。

どのように出資を受ければいいの?

出資を受ける場合の代表的な方法を3つご紹介します。

①ベンチャーキャピタル

未上場の新興企業(ベンチャー企業)に資金を提供して株式を取得し、将来対象企業が上場した後に株式を売却することで値上がり益の獲得を狙う手法です。通常、ベンチャーキャピタルは対象企業に対して経営のアドバイスを行い、企業価値の向上を図ります。銀行、証券会社、保険会社等、大手企業をバックボーンとしたベンチャーキャピタルも多く、比較的投資額が大きいことに特徴があります。

②エンジェル投資家

ベンチャーキャピタルはなんらかの組織が資金を提供するのに対し、個人投資家は名前の通り”個人”が対象企業に投資をする形になります。そして、ベンチャーキャピタルと同様に、対象企業の上場等による株式の値上がり益の獲得を狙う手法です。証券会社等を通じて上場企業の株式を購入して継続的な配当や売却益を狙うこととは異なり、これから起業する、または創業間もない企業に投資します。エンジェル投資家の中には、対象企業のビジネスを通じて社会の課題を解決したいという思いから出資するというケースもあります。

③クラウドファンディング

近年、資金調達方法の手法として注目されているのがクラウドファンディングです。インターネット等を通じて、プロジェクトや新商品開発のための資金提供を呼びかけます。そして、不特定多数の人がそれに対して資金提供するというものです。出資者がお金を寄付する“寄付型”、商品やサービスを受け取る“購入型”、利息を受け取る“融資型”等いくつかの種類があります。

【もっと詳しく】中小企業の強い味方「クラウドファンディング」で資金調達にトライしてみませんか?

出資のメリットとデメリット

以下に出資の主なメリットとデメリットをみていきましょう。

【メリット】その1:返済不要かつ利息がかからない

出資の条件にもよりますが、基本的に出資は返済不要の資金援助を受けるということです。また、融資とは異なり元金の返済に加え利息がかかるということもありません。

【メリット】その2:出資者からのアドバイスを受けることができる

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受ける場合、企業価値向上のため経営に関するアドバイスを受けることができます。創業したばかりで事業運営が不安定という時に、経験豊富な出資者からアドバイスを受けられるというのは非常に大きなメリットでしょう。

【デメリット】その1:株式売却により経営権を握られてしまう可能性がある

株式を譲渡することで出資を受けることが一般的であり、その割合によっては出資者に経営権を握られてしまう可能性があります。

【デメリット】その2:経営の自由度が減少する

その1にも関連しますが、出資者が一定割合の株式を保有することで、その意向に沿った意思決定を行う必要があります。出資者が保有する株式の割合によっては大幅に経営の自由度が減少します。

 

今回は、融資と出資について解説しました。「これから起業したい」または「起業直後で事業を軌道に乗せたい」という場合には、一定の資金が必要になることが多いでしょう。そこで融資や出資による資金調達は有効な手段であるといえます。一方で、特に出資については株式の譲渡を前提とする場合があるため注意が必要です。経営の自由度が低下してしまい、思うように事業展開できないということにもなりかねません。もし融資や出資の活用を検討する場合は、上記で挙げたメリット・デメリットを考慮した上で慎重に行いましょう。

【こちらの記事も】【運転資金に困ったら】いざというときのために知っておきたい「資金調達方法」4つ

*tiquitaca / PIXTA(ピクスタ)