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経営者が持つべき判断軸とは / オフィスに立っている実業家のグループ。

「経営者の仕事は決めること」優秀な経営者が持っている5つの判断軸とは?

「経営者の仕事は決めること」といっても過言ではないでしょう。まだシード期にあるベンチャー企業や中小企業では、経営陣が大なり小なり業務の多くの決定に携わることはそう珍しいことではありません。

今回は、いろいろな局面で判断を下さなければいけない立場にある経営者が、判断をしていく際に重視すべき基準について考えてみたいと思います。

1:「判断をすること」を絞ること

まずは、判断軸について考える前に、判断をするべき事項を絞ることが重要です。冒頭で、ほぼすべての決定に携わることはそう珍しいことではないと述べたものの、この状態は健全な状態とはいいがたい状態です。意思決定というのは、その質もさることながら、数も意思決定者にとって大きな負担になるものです。集中力を維持するためにも、判断しなければいけない局面を絞ることを検討しましょう。

些細なことを削るだけでも、マインドシェアをセーブすることができると筆者は考えます。たとえば、スティーブ・ジョブスやマーク・ザッカーバーグは、ほぼ毎日同じブランドの服を着ていることで知られています。彼らは、同じ服を着ることでどの服を着るかを決めるという選択を省いているのです。実際の仕事の例で考えると、ルーティン業務などいつも繰り返し同じ答えを要求されるタスクについては、信頼できる部下を決裁者とし、自分が判断を求められる回数を減らすなど、できることは意外とあるものです。

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2:「やらないこと」を決めること

次に検討すべき事項は、やらないことを決めることです。これは、前出の判断することを絞るという観点で考えても理にかなう話です。やる前提で考えるとうまく進めるためにさまざまな施策・対策を考えなければいけなくなり、判断をすべき事項がさらに増える傾向にあります。そもそもやらないことを決めることで、判断をしなければいけない事項を大幅に削減することができるのではないでしょうか。

また、やらないことを決めることは、ベンチャー企業や中小企業など、投下できるリソースが限られた企業にとっては重要な選択肢です。たとえば自由に使える資金が2億円あるとして、成功させるために2億円が必要と見積もられたプロジェクトが2つあったシチュエーションを想像してみます。

このとき、ひとまず1億円ずつ2つのプロジェクトに投下するというのは、まったく好ましい判断ではありません。十分なリソースを投下できないことにより、どのプロジェクトもうまく行かず、せっかく投下したリソースが無駄になってしまいます。こういった状況においては、そのときに会社が持つ事業資産との親和性や事業環境などを検証して投資対象を一つに絞る、つまり他方のプロジェクトを“やらない”選択を取ることが重要といえるでしょう。

3:スピードはいつでも大切

経営者が下す判断は、基本的には早ければ早い方がよいというのが筆者の考えです。会社規模の小さな企業では、決めないことによるネガティブが多くの局面で噴出しがちです。意思決定までの時間をかけることにより、その対象となる事業の進捗が時間をかけた分だけ遅れるということですし、その時間分リソースを寝かせてしまうことにもなります。また、意思決定が間延びすることで社内外のプロジェクトチームのモチベーションが下がったり、モメンタム(相場の勢いを表す指標)が下がることで当初想定していたリソースが投下されなくなったりする可能性もあると思います。

こういう状況においては、「試してみなければわからない」というマインドセットで、やりながら自社が動きやすいように状況を変えていくという方が結果的にうまく行くことが多いのが筆者の経験談です。

その一方で、特定の判断については「決めないこと」を選ぶ方が望ましい場合があります。時間が解決する類の問題や、感情が絡む問題については、“決めないこと”を決めた方がいい結果につながることが多い印象です。たとえばうまく行っていない提携の解消や、従業員問題の一部については、あえて決めずに待った方が望ましい結果となる場合もあるかと思います。

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4:納得のいかないことはやらないこと

経営者は”49か51のような判断”、つまりどちらの選択肢がうまく行くか分からない状況で判断を迫られることが多いです。意思決定の厄介なところは、すべての情報を加味して考えればどちらの選択肢の成功確率が高いかを知ることができますが、すべての情報を持って判断することは実際にはできず、ある程度、想像や期待値をベースに意思決定をしなければいけないことです。加えて、やり直しが効くわけではないので結果から見るとどちらかをやったことで0か100、つまり49か51ではなく、うまく行ったか行かなかったかだけとなる点です。

そうだとすれば、その選択を正解にするためにコミットできる状況で臨み、少しでも100に近い結果を引き出せるようにしていくことが最良の選択ではないでしょうか。自身が納得している選択に対して人は最もコミットできるという観点からは、よい選択は自身が腹落ちしている選択であるということかと思います。

いろいろな可能性を検討したうえで決断を下す人、定量的なデータを信じる人から、自身の直感を信じる人まで、さまざまな意思決定方法や判断軸があると思います。それらの意思決定方法ないしは判断軸は、経営者のタイプによりすべてが正しい決め方であるということです。自身にとって最もよい意思決定方法を尊重することをおすすめします。

5:迷えば失敗する

意思決定を失敗する原因の一つとして、最終的に迷った末の判断である場合が多いです。たとえば、困難な経営判断に臨むにあたり、いろいろな人に話を聞くことがあると思います。このとき、他者の意見を基に意思決定をしてしまうと、その選択に自信が持てなくなる状況を引き起こしがちです。活動に迷いが生じれば、それが仮に本当はよい意思決定だったとしても、前述のとおり、成功確率を著しく下げてしまうこととなります。

このことから、他者の意見を尊重しすぎることは、特にベンチャー企業の経営者としては避けるべき意思決定の方法だと筆者は考えます。(適切なアドバイスを受け、適切な進め方に従った意思決定であればうまく行かなくとも評価されるべきという考え方もあるかもしれませんが、「経営者は結果がすべて」というのが筆者の信条です……)

よい選択をするためには、他者のアドバイスを鵜呑みにせず、意思決定の主体が自分自身しかいないという事実を認識し、情報をうまく使う意識を持つことが大切だと感じます。他者と話した結果として自身の意見が変わったとしても、「自身がよし」と考え変えた判断であればそれは立派な自身の意志です。

仮にうまく行かなかったとしても、意思決定のプロセスに不満がなければ後悔が残ることもなく、迷いを持たずに次の選択肢に臨むことができるでしょう。相当な強運の持ち主であっても100回の選択で100回とも成功させることはほぼ不可能ですし、「自身が納得してやったことだからしょうがない」と思い、次の経営判断に際して意識を切り替えられることが重要だと筆者は考えます。

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