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TOP > 用語解説 > 【用語】総務・法務 > BCP(事業継続計画)【用語解説】
BCPBusiness Continuity Plan 事業継続計画

BCP(事業継続計画)【用語解説】

2021.01.15

2020年は新型コロナウイルスに振り回された1年でした。その影響もあってか、最近、BCPという言葉を耳にする機会が増えているように感じます。

しかし、まだまだ一般に知られているとは言い難いBCPについて、皆さんに分かりやすく解説していきます。

BCPとは

BCPとはBusiness Continuity Planの略語であり、事業継続計画と訳されます。

事業継続計画とは、企業が緊急事態に遭遇したときに、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、重要な事業を中断させない、あるいは中断しても可能な限り短期間で復旧させるための方針や体制、方法・手段・手順等をあらかじめ取り決め、それを文書化しておくことをいいます。

大規模災害のリスク

新型コロナウイルスによる従業員の感染や社内クラスターの発生のリスク以外にも、ここ数年の間に、台風や集中豪雨による暴雨・暴風災害や大地震など、様々な自然災害が発生しています。また、オリンピック開催に際し、テロの危険も取り沙汰されていました。この他にも、サイバーテロや大規模火災、大規模停電、洪水などのリスクもあります。

このような不測の災害が発生した場合でも、会社は事業を継続していかなければなりません。

たとえ休業せざるを得ない場合でも、できる限り早く復旧する必要があります。復旧の遅れによって、大切な顧客を失うことも考えられますし、サプライチェーン全体が止まってしまうことだってあり得ます。

このような事態に陥らないよう、不測の災害が発生した際に役立つのがBCP、すなわち事業継続計画です。事前にBCPが策定されているかどうかで、非常時からの復旧・復帰がどれだけスムーズに進むかに大きな違いが出ます。

スムーズな復旧によって、既存の顧客からの信頼を獲得できるだけでなく、他社の復旧の遅れから受注が増加したり新規顧客の獲得にも繋がったりすることが考えられます。BCPを策定しておくことが自社の強みとなり得ますし、逆に、BCPを策定していなかったことで、他社に顧客や市場を奪われることになりかねません。

BCP策定のポイント

では、どのようにしてBCPの策定を進めていけばよいのでしょうか?

BCP策定の目的は、あくまで非常時でも事業を継続していくことですので、BCP策定では以下のポイントを押さえておくことが重要となります。

(1)   優先的に継続または早期復旧を必要とする重要業務を特定する

(2)   当該業務をいつまでに復旧させるのか、目標復旧時間等を定めておく

(3)   それを実現するために必要な経営資源を特定し、確保に努める

緊急事態時には、限られた人員や資機材の範囲内で事業を継続させなければなりません。したがって、優先的に製造や販売する商品・サービスをあらかじめ定めておく必要があります。

自社の売上に大きな影響があるものや顧客への影響が大きいものを中心に定めていくことになるでしょう。

また、それぞれの重要業務について、停止が許されると考える時間の許容限界を推定し、その許容限界よりも早く復旧しなければ、顧客を失い、事業は縮小してしまうでしょう。

会社は、顧客をはじめとした利害関係者のニーズと期待を十分に認識したうえで、これらのことを策定していく必要があります。会社には、顧客や社会への供給責任を果たすことが求められていることを忘れてはいけません。

復旧の際に必要な経営資源としては、人員、事務所や工場などの拠点、工程、機械、金型、工具、原料・部品、サービス、ライフライン、物流、データ、システム、資金などが挙げられます。

それぞれの重要業務の実施に不可欠となる重要な経営資源を把握し、その中で、目標復旧時間や目標復旧レベル達成のボトルネックになりそうな要素を把握します。

ボトルネックとなるものについては、被害の軽減や事前確保あるいは早期確保に向けて、対策を施しておく必要があります。

人員の確保

従業員がいなければ、事業の復旧や継続がままならないのは明らかです。

従業員の安全を確保するための取り組みや従業員やその家族の安否確認方法・連絡体制の整備、緊急時のコミュニケーションの取り方などについて定めておくことが重要です。代替要員の確保も考えておくべきでしょう。

そのためには、代替要員の事前育成や一定期間普段と違う部署や立場での業務を行うクロストレーニングの導入、新規雇用による人員確保措置、応援受け入れ態勢やその手順の策定が必要でしょう。

また、在宅勤務やサテライトオフィスでの勤務を可能にするような態勢を整えておくことも有効な対策となります。

BCPの定着・見直し

以上のことを踏まえてBCPを策定していきますが、BCPは、一度策定したらそれで終わりというわけではありません。

策定しただけでは、災害発生時に十分に機能しない恐れもあります。従業員へのBCPの定着を図るために、社内教育研修や演習を実施していくことが重要です。また、顧客の状況や商品・サービス、人員等に大幅な変更があった場合には、BCPの見直しを行う必要があるか検討していくことになります。

さらに、事前対策の進捗状況や問題点を定期的にチェックし、必要に応じた見直し・変更も行っていかなければなりません。

いきなり完璧なBCPを策定することは難しいことを理解し、まずは自社の身の丈に合った取り組みから始め、その後は継続的に改善していく姿勢が大切です。

*designer491 / PIXTA(ピクスタ)