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「労働時間」正しく管理できてますか?立ち入り調査のポイント&よくある誤解と正解まとめ

2022.01.26

従業員をもつ企業であれば、日頃から行われている労働時間の管理。度重なる法律改正により、ますます厳しくなる従業員の労働時間の管理ですが、自社は正しく対応できているのかといった不安があるのではないでしょうか?

本記事では、残業時間上限や36協定(サブロク協定)、立ち入り調査でのポイント、誤解が多い管理職の扱いについて解説。労働時間についてよくある質問についてもまとめました。企業で労務管理をしている方はもちろん、すべての働く方に知っておいていただきたい内容ですので、ご自身の認識とあっているか確認してみてください。

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残業時間の上限と36協定(サブロク協定)とは?

残業時間の上限

従業員に残業をさせる場合、法令に則った手続きを事前に実施しておかないと、たとえ残業代をきちんと支払っていたとしても法令違反となります。

また、そもそも労働基準法32条では、原則として1日8時間あるいは1週間で40時間を超える労働を禁止しています。

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

36協定(サブロク協定)

しかし、会社と労働者の過半数労働組合(または労働者の過半数代表者)が、書面による協定を結び、それを管轄の労働基準監督署に届け出た場合には、上記の時間を超える残業を行わせることができます。

この協定は労働基準法36条の規定に則って作成されるため、一般に『36協定(サブロク協定)』といいます。

36協定では、残業時間と休日労働の上限を定めます。残業時間と休日労働の上限を定めます。具体的には、1日、1ヶ月、1年のそれぞれの残業の上限時間を定めることになります。

ここでいう残業時間とは、法定労働時間を超えた時間、すなわち原則として1日8時間あるいは1週間で40時間を超えた時間となります。

※ 変形労働時間制を採用している場合には、残業時間のカウント方法が異なります
※ フレックスタイム制を導入している場合には、1日の上限時間を定める必要はありません

36協定での残業時間の上限

残業時間は36協定を結べば何時間でも構わないのでしょうか。実は労働基準法で1ヶ月45時間、1年360時間という上限が定められています。

しかし、1ヶ月45時間、1年360時間の残業では足りないということもあるでしょう。そのような場合、“特別条項”付き36協定を結ぶことで、この上限を超えて残業を行わせることが可能となります。ただし、特別条項付きの場合も上限や条件があります。

まず残業の上限時間ですが、1ヶ月100時間未満、1年720時間以下となります。しかし、1ヶ月45時間を超える残業を行わせることができるのは、年6回(6ヶ月)までとなります。

さらに、1ヶ月45時間または1年360時間を超える残業を行わせる場合にどういった手続きを踏むか定めておかなければなりません。例えば“労働者代表者に対する事前の申し入れ”等の手続きを定めます。

【もっと詳しく】2021年4月より新しくなった36協定届を確認!「押印廃止」「新様式」への対応ポイント

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労働基準監督署の立ち入り調査とは?

企業の経営者の方に知っておいていただきたいのは、労働基準監督署が企業の労働時間の管理が適正に行われているかを、立ち入り調査する場合があるということです。

労働基準法第101条第1項により、「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の付随建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる」と規定されており、重大な労災事故が発生した場合や労働者からの申告があったときなどに、立ち入り調査が行われます。

主に下記の項目について、調査を受けます。

(1)労働条件のうち、賃金に関する事項について文書を交付しているか
(2)36協定が提出されているか
(3)時間外・休日労働に対する割増賃金が正しく支払われているか
(4)就業規則が提出されているか、また周知されているか
(5)定期健康診断が実施されているか
(6)労働災害防止のための必要な措置が講じられているか など

2年間の賃金台帳、タイムカード、雇用契約書などの提出が求められます。労働時間管理を行って記録を管理し、法令通りに割増賃金の支払いをしていて、36協定の範囲内で働いていることが必要です。

「長時間労働者に対する面接指導等に関する改正」については対応できていない企業がまだ多いので、次の3つのポイントを押さえましょう。

ポイント1:労働時間の状況の把握

企業は、労働安全衛生法(安衛法)の規定による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、社員の労働時間の状況を把握しなければなりません。

また、企業はこれらの方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければなりません。

(改正により5年間に変更予定)2023年4月1日施行

ポイント2:労働者への労働時間に関する情報の通知

企業は、時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1ヶ月当たり80時間を超えた社員本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。

※当該通知については、高度プロフェッショナル制度の適用者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働間制の適用者などを含めた全ての社員に適用されます。

昨年度から、一定時間の36協定の残業時間が超えた時や超えそうな時にアラート機能のある勤怠システムを導入している企業が多く見受けられます。

ポイント3:長時間労働に対する医師の面接指導

時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり80時間を超える労働者が申し出をした場合には、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません。そして、面接指導を実施した医師から意見を聞き、就業場所の変更、作業転換、労働時間の短縮、深夜業の回数削減など適切な措置を講じなければならないとなりました。

【もっと詳しく】中小企業だから関係ない…じゃない!労働時間を「管理しない」リスクとは

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誤解に注意!「管理職」の労務管理と残業上限とは?

従業員の労働時間管理について考える際、管理職は例外という認識をもっているかもしれません。しかし、厳密にいうと、この意見は正しいとはいえません。なぜならば、残業代や休日出勤手当などの労働時間などに関する制限を受けないのは、管理職ではなく“管理監督者”であるためです。

ここでは、まず管理職と管理監督者の違いについて理解をしておきましょう。

(1)「管理職」とは
管理職とは、会社内において、自分より下の立場の社員を統括管理する者の総称です。管理職と呼ばれるポジションについては会社によって異なり、“係長以上”と設定している場合もあれば、“部長以上”と設定している場合もあります。

(2)「管理監督者」とは
管理監督者は、上司の指示を受けて働く一般社員とは異なり、経営者側の立場に立つ者として法律で定められています。そして、管理監督者はその職務内容などから、前述の通り一般社員のような労働時間や休憩、休日の付与義務などの制限を受けないという特徴があります。

「管理監督者」の3つの要件

しかし、実際には、“管理監督者”と“名ばかり管理職”の判断が難しいケースもあるでしょう。管理監督者として認められるか認められないかについては、これまでに裁判で争われた例が積み上がっています。それらの裁判例から、管理監督者に該当するための要件は以下の3点に集約されています。

(1)労務管理について経営者と一体的な立場にあること
例えば、経営上の重要事項に関する権限や、部下の人事権を持っている、など。

(2) 自分の労働時間についての裁量権をもっていること
例えば、出退勤時刻の拘束がない、など。

(3)一般の従業員と比べて、賃金(基本給、手当、賞与)面でその地位と権限にふさわしい処遇を受けていること
例えば、充分な役職手当等を支給されている、など。

注意しておきたいのは、実際には、“管理監督者として認められるか”が争われた裁判では、管理監督者性が否定される、つまり管理監督者ではないと判断されるケースが多い点です。

結局のところ、管理監督者性の最終的な判断は裁判にゆだねるしかありません。そのため、“管理職に残業代は不要”という認識で労務管理を行っていると、裁判で争って管理監督者性が否定された際に、さかのぼって未払い残業代の支払いを請求されることになります。

残業代請求権の時効は、2020年3月31日までに発生したものについては2年、2020年4月1日以降発生のものについては3年です。2021年現時点では最大で過去2年分ですが、2022年4月以降になると過去2年分を超え、2023年4月以降は最大で過去3年分の残業代を請求される可能性が出てきます。

このとき企業側が労働時間を証明することができないのであれば、主張された始業・終業時刻が未払い残業代の算出根拠として採用されかねません。こういったリスクがあることも念頭に置いておきましょう。

【もっと詳しく】
思わぬ落とし穴も!? 義務化された「管理職の労働時間把握」罰則と勤怠管理法を解説
管理職に残業代不要は間違い?経営者が知るべき「管理監督者」の労務管理の注意点

Q&A:こんな場合は労働時間になるの?

労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことをいいます。労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと客観的に判断される否かによります。労働時間になるかならないか、具体的なケースを取り上げて解説します。

Q:出張先までの移動時間は労働時間になるか?

A:労働時間にはならない

<解説>
出張先までの移動時間は通勤時間と同様に労働時間とはなりません。このため出張先までの移動時間に対して、賃金を支払う必要はありません。しかし、出張は労働者の時間的拘束や体力的負荷が大きいため、出張手当や日当などの名目で経済的な補償を行うことが多いです。ただし、宝石など常に監視が必要なもの運ぶ出張や、会社に立ち寄ってから出張先に向かう時間は労働時間となる点にご注意ください。

Q:得意先から得意先への移動時間は労働時間になるか?

A:労働時間となる

<解説>
ある会社に訪問して、その後に別の会社に訪問した場合、移動時間中は自由に行動できるケースが多いと思われますが、時間的な拘束や場所的な拘束が高いため労働時間となります。

就業規則や雇用契約書に取り決めがあれば、移動時間中とその他の業務時間の時給を変更しても法違反ではありません。例えば訪問介護サービスの場合、介護サービスを提供している時間と移動時間の時給を変更することがあります。

Q:持ち帰り残業は労働時間になるか?

A:労働時間にはならない

<解説>
労働者が自分の判断で行った持ち帰り残業は労働時間とはならないという考え方が一般的です。理由はいつ仕事をするかという時間的な拘束がありません。自宅やカフェなど好きな場所で仕事ができるため場所的な拘束があるともいえません。テレビを見ながら行うこともでき事業主の支配下にあるともいえないためです。

ですが、持ち帰り残業が労働時間と認定される可能性があります。具体的には、ある労働者に所定労働時間内には到底処理切れない業務量が指示されていた場合、その労働者が持ち帰り残業を行ったとします。この場合、持ち帰り残業であっても労働時間と認定させる可能性があります。

また労働時間と認定されるか否かという問題とは別に持ち帰り残業には会社の管理の行き届いていない場所で業務が行われているという問題があります。このような状況だと情報漏えいの危険性があるので、持ち帰り残業はさまざま角度から実施させないようにしましょう。

【もっと詳しく】持ち帰り残業や出張先への移動時間…これって労働時間になる?5つのケースを一挙解説!

 

今回は、残業時間など労働時間の管理について、よくある誤解や質問について解説しました。ご自身の理解と相違はなかったでしょうか? 内容についてもっと知りたい場合は、各内容の【もっと詳しく】から詳細の記事を読むことができます。ぜひ参考にしてみてください。

※この記事は『経営ノウハウの泉』の過去掲載記事をもとに作成しています。

*freeangle、umaruchan4678、Graphs、 kouta、ふじよ / PIXTA(ピクスタ)