労働実務事例
[ 質問 ]
4月に入社して1カ月は勤務したのですが、その後病気のため3カ月間休業してしまった社員がいます。休職期間中は無給で、健康保険法に規定がある傷病手当金を受給していました。そこで復職後の年休付与日数の算定方法について質問があります。年休は、休職した3カ月間を除いて入社からトータルで6カ月間勤務した日か、あるいは純粋に6カ月間継続勤務をした日のどちらで与えるべきなのでしょうか。
長野・D社
[ お答え ]
ご質問の場合は、入社後1カ月間は勤務し、その後3カ月間の休職期間を経た後に復職したということです。復職後の6カ月間を8割以上継続勤務したならば、
① 1カ月勤務+(3カ月休職)+5カ月継続勤務=トータル6カ月勤務となった入社から9カ月目
② (1カ月勤務+3カ月休職)+6カ月継続勤務=純粋に6カ月間の継続勤務を終えた入社から10カ月目
どちらの方法で年休を付与する義務があるのでしょうか、というのがご質問の趣旨のようです。
労基法第39条に規定がある年次有給休暇ですが、6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤することによって当然に権利が発生します。
6カ月間の継続勤務には、休職理由には関係なく、単純に入社日から6カ月を起算します。そのうえで、全労働日の8割以上出勤しているかどうかを判断するわけです。仮に6カ月の期間内に業務上の疾病があれば、その期間は出勤したものとみなしますから、出勤率算定上は有利になります(労基法第39条第7項)。
しかし、ご質問のように休職した3カ月間を「6カ月の継続勤務」から除くという規定はありません。
年休付与の起算日である入社日から6カ月を経過した段階で8割出勤の条件を満たしていない場合、次は最初の年休付与日である入社6カ月経過後から1年間の出勤率で判断することになります。これは、年休の付与日数が、起算日から6カ月後は10日、1年6カ月後は11日…と規定されていることからも明らかです。
つまり、ご質問にある労働者の方は、残念ながら入社後6カ月の段階で全労働日の8割を出勤するという要件を満たしていないため、今年の年休はゼロです。入社から1年6カ月を経過した段階で直近1年について8割出勤の要件を満たしていれば、11労働日が付与されることになります。
半年後に法的には年休を付与する義務はありませんが、入社から1年6カ月後まで、年休がゼロになってしまうことを考慮して、復職後8割以上出勤しているならば、入社から10カ月の段階で、半分の5日でも付与してみてはいかがでしょうか。
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