労働実務事例
[ 質問 ]
各都道府県に点在する支社で36協定や就業規則の届出漏れが発覚したため、「本社での一括届」により対応しようと考えています。本社の使用者と過半数代表者が締結すれば、一括することは可能でしょうか。
【愛知・O社】
[ お答え ]
36協定は、これを所轄の労基署に届け出てはじめて適法に時間外労働を行い得るのであって、単に協定の締結のみでは、法違反の責を免れないとされています(労基法コンメンタール)。労使間で36協定を締結していても、届出を怠れば届出義務の違反だけでなく、時間外・休日労働をさせることもできません。
36協定は必要事項を記載した書面において締結します。様式第9号に所要の事項を記載し、労働者代表の押印を加えれば、その様式自体が36協定となるとされています。この場合は様式の写しを保存する必要があります(昭53・11・20基発第642号)。
本来、36協定は事業場単位で締結し、事業場の所在地を管轄する労基署長に届け出ますが、複数の事業場を有する企業においては、本社の使用者が一括して本社の所轄労基署長に届出を行う場合には、本社以外の事業場の所轄労基署長に届出があったものとして差し支えないとされています。
その要件について、通達(平15・2・15基発第0215002号)は、以下のように定めています。
① 本社と全部または一部の本社以外の事業場に係る協定の内容が同一であること
② 本社を含む事業場数に応じた部数の協定を提出すること
36協定の一括届出をするためには、協定の締結当事者が同一でなければなりません。したがって、各事業場に労働組合がある場合で、「労働組合が各事業場ごとにその事業場の過半数で組織されている限り、有効なものと取り扱って差し支えない」としています(前掲通達)。
一方、就業規則については、常時10人以上の労働者を使用するに至った後、遅滞なく所轄労基署長に対して届け出なければなりません。ただし、学説では届出自体は、効力発生の要件ではないという考え方が一般的のようです。
就業規則の一括届出についても、原則として上記①②の要件はほぼ同じです(平15・2・15基発第0215001号)。さらに、「法第90条第2項に定める意見聴取の書面について、その正本が各事業場ごとの就業規則に添付されていること」としています。労働組合がなくても、各事業場ごとに意見聴取の手続きを行った書類として「意見書」を提出すれば、差し支えありません。
36協定、就業規則ともに「一括届」はありますが、過半数労働組合がない場合は、36協定の一括届を行うことはできません。
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