労働実務事例
[ 質問 ]
60時間を超える時間外が発生したとき、代替休暇を与える仕組みの導入を検討しています。労使で協定締結に向けて協議していますが、年休の出勤率の計算で疑問が生じました。労組側は、「代替休暇取得日は、当然、出勤したとみなして8割出勤の計算をすべき」と主張しますが、法的にはどうなのでしょうか。
【山口・Y社】
[ お答え ]
過半数労組(ないときは過半数代表者)と労使協定を結べば、代替休暇を与える代わりに、60時間超の時間外に対する割増賃金率を引き下げることができます(労基法第37条第3項)。
代替休暇とは、「通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(年次有給休暇を除く)」と定義されています。
年休発生要件の「8割出勤」の計算に際しては、法律上「出勤したものとみなす」と規定しているのは、次の3種類です(労基法第39条第8項)。
① 業務上傷病の休業期間
② 育児・介護休業期間
③ 産前産後休業期間
年休取得日については、解釈例規で「出勤したものとして取り扱う」(昭22・9・13基発第17号)と定めています。労組は、その類推解釈で「当然、出勤とみなすべき」と主張するのでしょう。
しかし、前述のとおり、代替休暇と年休は明確に区別されています。改正労基法の施行通達では、「正当な手続により労働義務を免除された日であることから、8割出勤の算定基礎となる全労働日に含まないものとする」(平21・5・29基発第0529001号)という取扱いが示されています。
全労働日と出勤日両方から代替休暇取得日を除き、8割出勤の要件を満たすか否か判断します。
ただし、半日の代替休暇と半日年休(または半日分の時間単位年休)を組み合わせ、丸1日の休暇を確保するケース等では注意が必要です。「出勤率の計算上の出欠は、労働日を単位としてみる」(労基法コンメンタール)ので、半日の年休も1日出勤とみなします。
厚生労働省のQ&Aでは、「代替休暇と年次有給休暇を合わせ終日勤務しなかった場合、全労働日に含めるか」という問に対し、「年次有給休暇を取得した日であるので、出勤したものとみなす」と回答しています。
バランス上、全日の代替休暇も出勤とみなすのは、法を上回る措置なので差し支えありません。
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