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京セラ会計学に学ぶ3、キャッシュ・フロー情報の使い方

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■■■■ ■■■■ ■■■■ 中小企業経営塾 第20号 2001年06月06日
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■ ■ ■ ■ 発行:株式会社イーシーセンター
■■■■ ■■■■ ■■■■ http://www.ecg.co.jp/
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原稿執筆の励みになりますので、
ご意見・ご感想を、是非お聞かせ下さい > > > info@ecg.co.jp
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■ 目次
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▼京セラ会計学に学ぶ その3 税理士 榎本恵一

▼キャッシュ・フロー情報の使い方 MBA 井手健二

▼編集後記 副編集長 井手健二
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京セラ会計学に学ぶ その3 税理士 榎本恵一
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第18号及び第19号の京セラ会計学のコーナーで稲盛氏の名前が誤っており
ました。関係者並びに読者の皆様に大変ご迷惑をお掛けいたしました。ここに
お詫び申し上げます。

「京セラ会計学に学ぶ」の最終回は、人材と経理管理システムについてスポッ
トを当てます。大企業は、優秀な社員が辞めても、次ぎから次に新たな優秀な
社員が組織の内外より出てきます。しかし、中小企業はそうはいきません。嘘
のような話をですが私も「わが社は少数精鋭主義だ」と当初は言っていたが、
何とその精鋭が辞めてしまい、少数で何にも出来ない人の集団になってしまっ
たというを会社を目の当たりにしたことがあります。

京セラに学ぶ新・会計経営のすべての著者である田村繁和氏によれば、人材に
は、3タイプあると指摘しています。中小企業には、優秀な社員がなかなかい
ません。よく、2・6・2の原則というルールがあります。この原則は、結構
何事にもあてはまりますが(商品の種類や得意先・仕入先・人材など)、2割
はスペシャル・6割は普通・2割は問題という意味です。田村氏は、人材を下
記の3タイプに分類しています。

タイプ1:人財(いれば財産となる社員)20%
タイプ2:人在(ただいるだけの社員)60%
タイプ3:人罪(いることが罪となる社員)20%

厳しい言葉ですが、タイプ3に分類されている人材は、管理者から見るといま
すぐやめて欲しいタイプです。問題は、社員の管理をしっかり行うシステムを
構築しておかないと、60%いる人在が、人罪に下がってしまう恐れがあるこ
とです。(メルマガ第24号では、コンピテンシー(出来る人の行動特性 概
http://www.ecg.co.jp/mail/back_vol1.htm )を考えていきます。この
理論を活用すると、人在・人罪が人財に変わることが可能になります。楽しみ
にしていて下さい。)

稲盛氏も経理のみならず、あらゆる分野で、人と組織の健全性を守る為に、
ダブルチェック」を取り入れる事を提唱しています。稲盛氏によれば「仕事
が、公明正大にガラス張りの中で進められるということは、その仕事に従事す
る人を、不測の事態から守ることになる」としています。上記の通り、人材は
3タイプに分類されます。どういう人材であれ、業務に関しては(特に経理)、
ダブルチェック」システムが必要だとおもわれます。このシステムが機能す
ることにより、社員が罪を作ることを未然に防ぎ、緊張感がある職場が出来ま
す。京セラにおける「ダブルチェックシステム」とは、具体的には、入出金の
取り扱い・現金の取り扱い・会社印鑑の取り扱い・金庫の管理・購入手続き・
売掛金、買掛金の管理・作業屑の処分・自動販売機、公衆電話の現金回収など
があります。

最後に、稲盛氏は「トップ自らが、本当に守られているのかを現場に出向き、
時々チェックしなければならないのである。繰り返し確認していくことによっ
て初めて、制度は社内に定着していく。しかし、その根底には、社員に決して
罪を作らせないという思いやりが、経営者の心の中になくてはならない」といっ
ております。皆様も是非ご検討してみて下さい。


参考図書:実学(経営と会計)稲盛和夫著 日本経済新聞社
京セラに学ぶ新・会計経営のすべて 田村繁和他著 実業之日本社



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■ キャッシュ・フロー情報の使い方 井手健二
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前回までに、キャッシュ・フロー計算書で認識されるキャッシュ(資金)の範
囲と計算書の表示の区分を概観しました。

それでは、キャッシュ・フロー計算書が新たに制度化されたことによって、ど
のような会計情報が提供されるのでしょうか。「利益は意見、キャッシュは事
実」といわれることがあります。このように、経営者の企業業績(成果)に対
する意見が利益であるとすると、キャッシュはこの流れを一視点から把握して
いるので、利益に比べると客観性が高い(事実)といえます。わが国の企業会
計上の利益は、企業の業績や配当可能額もしくは課税所得の算定基礎として役
立てられています。

これに対して、キャッシュ・フロー情報は、キャッシュの出入りと有り高を明
らかにします。利益は企業がどの程度の業績を上げているのかが分かる指標だ
とすると、キャッシュは、資金の出入りだけでなくそれが現在の企業活動上で
足りているのかどうかが分かるわけです。企業活動には欠かせないキャッシュ
の有り高および流れをつかむことは、商品の有り高や流れを把握するのと同様
に、キャッシュという企業の資源の有効利用をする際に、大いに役立てられる
ことができるはずです。

商品有高帳は通常、月次で単位で作成されます。商品が頻繁に搬入・搬出され
ている状況を的確に把握するためには、年単位よりも短い月次の方が適してい
ると考えてこのようになっているものと思われます。当然のことですが、キャッ
シュ・フロー計算書は、制度化されている財務諸表なので、1年単位で一つの
ものを作らなければなりません。しかし、自らの企業の資金繰りを適宜把握す
るために、月次単位のキャッシュ・フロー計算書を経営管理用の資料として作
成するのは、経営者の勝手(判断)でよいものと思います。むしろ、商品有高
帳のように、キャッシュを月次で把握することにより、資金のショート早期発
見できたり、毎年、資金が足りなくなる月もしくは季節が容易に把握すること
ができます。

キャッシュ・フロー計算書は、一般的に、投資家が企業価値を測定する際に必
要な「フリー・キャッシュ・フロー」の計算や「営業からのキャッシュ・フロ
ー」情報の開示の面から、その利用法が多く紹介されています。キャッシュ・
フロー計算書は、企業価値もしくは株主価値の予測情報として役立つことは誰
もが認めるところです。しかし、経営者本人が、企業活動の道具として役立て
ることができることも再認識した方が良いのかも知れません。



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■ 編集後記 副編集長 井手健二
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今年も衣替えのシーズンが到来しました。わが国の多くの会社や組織では、衣
替えの日が、6月1日のような気がします。現在の私たちは、年に2回の衣替
えを行いますが、江戸時代の武士は、年に4回だったそうです。


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