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平成22年10月26日
『役に立つ
特許実務者マニュアル』
第12号
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本メールマガジンは、
弁理士である著者が、
特許の実務に携わっている方を対象に、
(主に化学系について)
特許の実務を進める上で役立つ情報、
日常の業務の中で得た考え方やノウハウを公開するものです。
-------------------------------------------------------------------
■こんにちは。田村です。
今回も、
特許請求の範囲の不明確な記載について、
お話をさせていただきます。
特許庁の審査基準によれば、
特許請求の範囲の不明確な記載として、
比較の基準又は程度が不明確な表現があるか、あるいは、用語の意
味があいまいである結果、発明の範囲が不明確となる場合が例として、
あげられています。
具体的には、「やや比重の大なる」、「はるかに大きい」、「高温」、
「低温」、「滑りにくい」等の用語を用いた場合がこれに該当します。
■例えば、
「やや比重の大なる」と記載した場合、どの範囲までが「やや比重の
大なる」に該当し、どの範囲からが「やや比重の大なる」には該当
しないのかが、はっきりしないため、発明の範囲が不明確となります。
化学分野の明細書では、「高温」や「低温」といった記載が頻繁に
用いられますが、これも、
特許請求の範囲の記載に用いる場合は、
注意が必要です。
どの範囲であれば「高温」に該当し、どの範囲であれば「高温」に
該当しないのかが明確ではないため、
特許請求の範囲でこれらの
用語を使用すると、多くの場合、不明確であるとすいて認められ
ません(もちろん、明細書の中で使用する分には問題とはなりません)。
例えば、水系媒体中で化合物を反応するような発明では、「100℃」
でも高温に該当しますが、焼結によりセラミックスを得るような発明
の場合は、「700℃」でも低温になります。
■この他に、化学分野の発明について用いられがちで、発明の範囲が
不明確とされる可能性のある用語として、「主成分」という用語が
あります。
例えば「A成分を主成分として含む・・・」と
特許請求の範囲に記載
した場合、全体の何%以上の場合が主成分に該当し、何%未満の
場合が主成分に該当しないのかがは、はっきりしません。
■発明の範囲が不明確であると審査で指摘されないように、このような
不明確になる可能性のある用語を使用しないように、心がけることが
重要ですが、そのようなあいまいな用語を全て覚えておくわけにも
いきません。
できれば、
特許請求の範囲に記載した用語の中に、範囲のあいまいな
ものがないか、1つずつ検証していくのが良い方法だと思います。
-------------------------------------------------------------------
<書籍紹介>
■今回から、
特許関係の書籍をご紹介させていただきます。
本日、ご紹介するのは、
『死蔵
特許-技術経営における新たな脅威 Patent Hoarding訴訟』
著者:榊原憲 出版社:一灯舎
■本書は、
特許された後に長期間、特に注目もされなかった
特許が、
特許権の存続期間の満了間際に突如として、大きな問題となる
『死蔵
特許』について、JPEG
特許を題材として書かれたもの
です。
本書では、前半から中盤にかけて、JPEG
特許の権利者である
フォージェント社の成り立ちから、フォージェント社がパテント
トロールとして活動し、100億円以上の収入を得るに至るまで
の経緯を、順を追って説明しています。
そして、後半部分で、JPEG
特許という死蔵
特許が大きな問題
となった原因について、解説しています。
■本書を読んで衝撃的なのは、標準化されているJPEGという技
術が、実は、
特許権の問題がクリアーにされおらずに、フォージェ
ント社の
特許権の権利侵害という大きな問題を内在していたとい
う事実です。
メーカー側としては、標準化されている技術でも、
特許権侵害の
問題が発生する可能性があると十分に認識し、標準化技術を
採用
する際は、標準化に至った経緯についても、十分に検証する必要
があるということかもしれません。
■以下、印象に残った箇所の抜粋です。
・生き馬の目を抜く米国の
特許訴訟ビジネスの中で、この
特許は
だれでも検索さえすればすぐに閲覧できる公開済登録
特許である
にもかかわらず、その存在や価値をほとんど知られることなく、
発明者や権利者からも忘れさられ、十五年間眠りこけていた。
・この
特許はその有効期限の最後の二年間である二○○二年から
二○○四年、そして
特許有効期限が過ぎた後も二○○六年一一月
に権利者がすべての訴訟の
和解を宣言するまでの間、激動の歩み
を見せたのである。
-------------------------------------------------------------------
<編集後記>
■先週の土曜日から運動をはじめました。
毎日、夜に、自宅の近辺を約20~30分程度、走っています。ま
ともに運動するのは、3年ぶりくらいですので、体を慣らしながら、
走るスピードを上げつつ、距離も伸ばしていければと思っています。
-------------------------------------------------------------------
メールマガジン「役に立つ
特許実務者マニュアル」は
いかがでしたでしょうか。
すべてにご返信はできないかもしれませんが、メールにてご意見、
ご感想等いただけましたら、幸いです。
また、このような話題を取り上げてほしい等のご要望が
ありましたら、可能な範囲で対応したいと思っておりますので、
よろしくお願いいたします。
業務が多忙となり、配信が遅れることがあるかもしれませんが、
できるだけ、定期的に配信をしていきたいと思います。
-------------------------------------------------------------------
<お願い>
メールマガジン「役に立つ
特許実務者マニュアル」は、
著作権により保護されています。
また、メールマガジン「役に立つ
特許実務者マニュアル」は、
私個人の
特許に対する考え方やノウハウをお伝えするものであり、
ご紹介する内容のすべてが絶対的に正しいとは、考えておりません
ので、その点について、予めご了承いただき、お読みいただけまし
たら幸いです。
-------------------------------------------------------------------
発行元:ライトハウス国際
特許事務所 田村良介
問い合わせ先: mail@lhpat.com
注:@は「@」に変換して、ご送信下さい。
登録・解除はこちらから
http://www.mag2.com/m/0001132212.html
Copyright (c) 2010 Ryosuke Tamura All rights reserved.
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特許庁の審査基準によれば、特許請求の範囲の不明確な記載として、
比較の基準又は程度が不明確な表現があるか、あるいは、用語の意
味があいまいである結果、発明の範囲が不明確となる場合が例として、
あげられています。
具体的には、「やや比重の大なる」、「はるかに大きい」、「高温」、
「低温」、「滑りにくい」等の用語を用いた場合がこれに該当します。
■例えば、
「やや比重の大なる」と記載した場合、どの範囲までが「やや比重の
大なる」に該当し、どの範囲からが「やや比重の大なる」には該当
しないのかが、はっきりしないため、発明の範囲が不明確となります。
化学分野の明細書では、「高温」や「低温」といった記載が頻繁に
用いられますが、これも、特許請求の範囲の記載に用いる場合は、
注意が必要です。
どの範囲であれば「高温」に該当し、どの範囲であれば「高温」に
該当しないのかが明確ではないため、特許請求の範囲でこれらの
用語を使用すると、多くの場合、不明確であるとすいて認められ
ません(もちろん、明細書の中で使用する分には問題とはなりません)。
例えば、水系媒体中で化合物を反応するような発明では、「100℃」
でも高温に該当しますが、焼結によりセラミックスを得るような発明
の場合は、「700℃」でも低温になります。
■この他に、化学分野の発明について用いられがちで、発明の範囲が
不明確とされる可能性のある用語として、「主成分」という用語が
あります。
例えば「A成分を主成分として含む・・・」と特許請求の範囲に記載
した場合、全体の何%以上の場合が主成分に該当し、何%未満の
場合が主成分に該当しないのかがは、はっきりしません。
■発明の範囲が不明確であると審査で指摘されないように、このような
不明確になる可能性のある用語を使用しないように、心がけることが
重要ですが、そのようなあいまいな用語を全て覚えておくわけにも
いきません。
できれば、特許請求の範囲に記載した用語の中に、範囲のあいまいな
ものがないか、1つずつ検証していくのが良い方法だと思います。
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■今回から、特許関係の書籍をご紹介させていただきます。
本日、ご紹介するのは、
『死蔵特許-技術経営における新たな脅威 Patent Hoarding訴訟』
著者:榊原憲 出版社:一灯舎
■本書は、特許された後に長期間、特に注目もされなかった特許が、
特許権の存続期間の満了間際に突如として、大きな問題となる
『死蔵特許』について、JPEG特許を題材として書かれたもの
です。
本書では、前半から中盤にかけて、JPEG特許の権利者である
フォージェント社の成り立ちから、フォージェント社がパテント
トロールとして活動し、100億円以上の収入を得るに至るまで
の経緯を、順を追って説明しています。
そして、後半部分で、JPEG特許という死蔵特許が大きな問題
となった原因について、解説しています。
■本書を読んで衝撃的なのは、標準化されているJPEGという技
術が、実は、特許権の問題がクリアーにされおらずに、フォージェ
ント社の特許権の権利侵害という大きな問題を内在していたとい
う事実です。
メーカー側としては、標準化されている技術でも、特許権侵害の
問題が発生する可能性があると十分に認識し、標準化技術を採用
する際は、標準化に至った経緯についても、十分に検証する必要
があるということかもしれません。
■以下、印象に残った箇所の抜粋です。
・生き馬の目を抜く米国の特許訴訟ビジネスの中で、この特許は
だれでも検索さえすればすぐに閲覧できる公開済登録特許である
にもかかわらず、その存在や価値をほとんど知られることなく、
発明者や権利者からも忘れさられ、十五年間眠りこけていた。
・この特許はその有効期限の最後の二年間である二○○二年から
二○○四年、そして特許有効期限が過ぎた後も二○○六年一一月
に権利者がすべての訴訟の和解を宣言するまでの間、激動の歩み
を見せたのである。
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<編集後記>
■先週の土曜日から運動をはじめました。
毎日、夜に、自宅の近辺を約20~30分程度、走っています。ま
ともに運動するのは、3年ぶりくらいですので、体を慣らしながら、
走るスピードを上げつつ、距離も伸ばしていければと思っています。
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