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シリーズ「
コンピテンシーをレビューする!」
<第373回>[(第31話)「失敗を許す多角化経営を通じて
仕事のできる人の集団を作る!」]
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今話題の「会社を救う
コンピテンシー」とは何かと
コンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「
コンピテンシー
をレビューする!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきま
す。中小企業の経営者の方、管理者の方、
人事担当者の方に是非ともお読みいた
だきたいと思います。
===========================
今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論
1.家庭用ミシンメーカー3社の運命を分けたものは!
2.44の国と地域に進出したグローバル企業!
3.ユニークな人が山っ気を持って入ってきてほしい!
【3】今日のまとめ
【4】編集後記
===========================
テレビ東京のカンブリア宮殿になぜ採り挙げられないのかと不思議に思っていた
ブラザー工業が、ついに採り挙げられた。1908年(明治41年)に安井ミシン商会
として創業し、1962年にブラザー工業に改称している。
登場した小池利和社長は入社3年目からアメリカに赴任し23年間「物言う現地社員」
として活躍してきた猛者である。2007年に社長に就任後も改革の手を緩めること
はしない。小池社長は「ブラザー工業は、製造業ではなく創造業と」語り、仕事
のできる人の集団を益々強固にするつもりだ。
高度経済成長期に家庭用ミシンは家計を助ける目的の嫁入り道具だった。訪問販
売員が家庭を訪問してお金を積み立ててもらい、一定金額が溜まったところでミ
シンなどの商品を買ってもらうという販売スタイルが定着し、家庭用ミシンのト
ップメーカーになった。コンペティターは「蛇の目」と「リッカー」だった。リ
ッカーは
粉飾決算で倒産し、蛇の目はかろうじて生き残ってはいるが、年商はブ
ラザー工業の5,028億円に対したったの361億円だ。
ブラザー工業は44の国と地域に進出し、ミシンの売上げは全体の6%弱、大半は
他の商品で稼いでいる。しかも売上げに占める海外比率は8割というグローバル
企業だ。
超円高などの経済状況を鑑み、これまで静観してきた中小企業がチームを編成し
て海外に脱出する動きが加速しているが、あわてて海外に進出しても成功はおぼ
つかない。
そこで今回は「失敗を許す多角化経営を通じて仕事のできる人の集団を作る!」
と題して、「多角化経営を成功させる」ための幹部や上司のマネジメントについ
て解説する。
【1】心に刻んでおきたい言葉
***********************************************************************
ブラザー工業という会社は、過去を振り返るよりも新規事業が優先という企業文
化が根付いている。
村上 龍
***********************************************************************
【2】メルマガ本論
[(第31話)失敗を許す多角化経営を通じて仕事のできる人の集団を作る!]
1.家庭用ミシンメーカー3社の運命を分けたものは!
前述したとおり、家庭用ミシンメーカーはブラザー、蛇の目、リッカーの3社が
あった。だが、既製服が巷にあふれるようになり、デザインもよく価格も手ごろ
になった。奥様たちは近くのスーパーや飲食店などでパートとして働くほうが現
金収入が得られる。かくしてミシンは嫁入り道具から消えていった。
□ 多角化の走りは家電製品!
ミシンのほかに編み機もラインナップしていたが、それほど普及しなかった。そ
こでオルガンや家電製品に進出した。オルガンはミシンの木工技術が生きると考
えたがパッしなかった。1956年には扇風機、続いて洗濯機などを矢継ぎ早に世に
送り出した。だが、国内には強力な家電メーカーが目白押しだ。そこでヨーロッ
パなど海外で勝負する道を選び、早くからグローバル化を進めるきっかけとなっ
た。
1961年にはタイプライターを生産販売した。当時アメリカでは一台70$が相場だ
ったがブラザーは50$で勝負したため好評で、ピーク時はシェアを27%も取った。
1984年のロス五輪の時3,000台をオリンピック組織
委員会に無償提供して喜ばれ
た。だが、当時アメリカにいた現小池社長は危機感を感じていた。電子式タイプ
ライター、つまりワープロやPCのワードのような商品にいずれ取って代わると
予見したからだ。
□ 複合機、プリンター、そして通信カラオケ!
ワープロやPCはコンペティターが多すぎる。その頃アメリカではスモールビ
ジネスとあいまってスモールオフィスが流行りだした。現小池社長は、小さな
オフィスでは電話、ファックス、コピー機などを別々に取り揃えるのはコスト
高になり、場所も食う。一台で兼用できる複合機なら売れると踏んだ。この複
合機は大当たりした。
さらにはレーザー式プリンターだ。キャノンやエプソンの後塵を拝しているが
昨年タイの大洪水でキャノンが大減産を強いられた。今、ブラザー工業のレー
ザープリンターが量販店でも売れている。じりじりシェアを伸ばしているとこ
ろだ。
1992年には通信カラオケJOYSOUNDを開発して売り出した。以前のようにディス
クがゆっくり移動しおもむろに曲が流れ出すタイプは消滅した。通信カラオケ
は新曲が出ても数日のうちに配信OKだからお客に喜ばれる。何よりもリモコ
ンにタッチすれば瞬時に選曲できて曲が流れ出すのが嬉しい。今、カラオケ店
のシェアを第一興商と二分している。
2.44の国と地域に進出したグローバル企業!
ミシンの売上げが全体の6%弱に落ちるように経営をコントロールしたわけだ
が、そのミシンもかなりのハイテク機だ。写真などをメモリーカードに取り込
み、ミシンに挿入するだけで、自動で刺繍してくれるという優れものだ。気に
入った写真を刺繍にして楽しむ。新しいミシンの楽しみ方を提供しているのだ。
売上げ比率を見てみるとプリンターなどの情報機器で67.7%、工作機械で13.2%、
通信カラオケで10.5%、ミシンで5.8%となっている。社員数は44の国と地域で
28,900人の大所帯だ。
年に一回全世界から社員の代表を集団で日本に呼び、パーティを開催して優秀
な社員を表彰する。会場は国際色豊だ。
現小池社長がアメリカでまだペエペエだった頃、危機感を募らせ、こんな商品
を開発すべきだと本社に具申したら本社は直ぐに動いた。他の会社ならペエペ
エの言うことに直ぐ反応して動いたりはしないのではないか。職位によらず社
員の言うことに聴く耳を持つ企業文化が根付いている証拠だ。
3.ユニークな人が山っ気を持って入ってきてほしい!
通信カラオケを開発したのが通信系新規事業部長の安友雄一氏だ。彼が最初に開
発した通信カラオケは電話回線を使って曲をダウンロードする方式だった。1千
万円売り上げるのに電話代が1千万円以上も掛かったと言う。失敗作だったわけ
だ。だが、これがベースになり、JOYSOUNDが生まれた。
小池社長は「失敗はブラザーの歴史の中では事業を変革する原動力。会社が傾く
ほど大きな失敗でなければどうってことはない」と言っている。金太郎飴のよう
に一種類の人たちでは新規事業というのは絶対にできないと考えるからだ。失敗
を許す企業文化はサントリーとよく似ている。
さらに小池社長は「なるべくユニークな人が山っ気を持って会社に入ってきてほ
しい」とラブコールを送っていたのが印象的だ。製造業ではなく創造業と断言す
るだけあって、多角化得意企業になったわけだが、多角化が仕事のできる人の集
団を作っているのである。
【3】今日のまとめ
1.3社の運命を分けたものは危機感からくる多角化推進だったこと。
2.ペエペエ社員の意見具申に対しても、トップは聴く耳を持ち対応する企業文
化が根付いていること。
3.国内で不利と見るや海外に活路を見出すフットワークの良さを根付いている
こと。
4.失敗は事業を変革する原動力だから会社が傾くほどの失敗でなければ許され
る企業文化が根付いていること。
5.小池社長自ら山っ気のある人が入社してほしいとラブコールを送っているこ
と。
コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒
3223898301@jcom.home.ne.jp
【4】編集後記
2008年にブラザー工業も例のスティールパートナーズに狙われたことがあった。
株を大量に購入し、「選択と集中」を求められた。つまりカラオケなどの非中核
事業を売却せよと迫るわけだ。株が上がったら売り抜けて儲ける魂胆だ。これが
「物言う
株主」だ。ブラザー工業は断固拒否を貫いた。
多角化推進で多様性のある人材が育つ。鶏と卵の関係がうまく回るから仕事ので
きる人の集団が強固になっていくのだ。
=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=
次回に続く。
***********************************************************************
発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから
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<第373回>[(第31話)「失敗を許す多角化経営を通じて
仕事のできる人の集団を作る!」]
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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「コンピテンシー
をレビューする!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきま
す。中小企業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいた
だきたいと思います。
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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論
1.家庭用ミシンメーカー3社の運命を分けたものは!
2.44の国と地域に進出したグローバル企業!
3.ユニークな人が山っ気を持って入ってきてほしい!
【3】今日のまとめ
【4】編集後記
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テレビ東京のカンブリア宮殿になぜ採り挙げられないのかと不思議に思っていた
ブラザー工業が、ついに採り挙げられた。1908年(明治41年)に安井ミシン商会
として創業し、1962年にブラザー工業に改称している。
登場した小池利和社長は入社3年目からアメリカに赴任し23年間「物言う現地社員」
として活躍してきた猛者である。2007年に社長に就任後も改革の手を緩めること
はしない。小池社長は「ブラザー工業は、製造業ではなく創造業と」語り、仕事
のできる人の集団を益々強固にするつもりだ。
高度経済成長期に家庭用ミシンは家計を助ける目的の嫁入り道具だった。訪問販
売員が家庭を訪問してお金を積み立ててもらい、一定金額が溜まったところでミ
シンなどの商品を買ってもらうという販売スタイルが定着し、家庭用ミシンのト
ップメーカーになった。コンペティターは「蛇の目」と「リッカー」だった。リ
ッカーは粉飾決算で倒産し、蛇の目はかろうじて生き残ってはいるが、年商はブ
ラザー工業の5,028億円に対したったの361億円だ。
ブラザー工業は44の国と地域に進出し、ミシンの売上げは全体の6%弱、大半は
他の商品で稼いでいる。しかも売上げに占める海外比率は8割というグローバル
企業だ。
超円高などの経済状況を鑑み、これまで静観してきた中小企業がチームを編成し
て海外に脱出する動きが加速しているが、あわてて海外に進出しても成功はおぼ
つかない。
そこで今回は「失敗を許す多角化経営を通じて仕事のできる人の集団を作る!」
と題して、「多角化経営を成功させる」ための幹部や上司のマネジメントについ
て解説する。
【1】心に刻んでおきたい言葉
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ブラザー工業という会社は、過去を振り返るよりも新規事業が優先という企業文
化が根付いている。
村上 龍
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【2】メルマガ本論
[(第31話)失敗を許す多角化経営を通じて仕事のできる人の集団を作る!]
1.家庭用ミシンメーカー3社の運命を分けたものは!
前述したとおり、家庭用ミシンメーカーはブラザー、蛇の目、リッカーの3社が
あった。だが、既製服が巷にあふれるようになり、デザインもよく価格も手ごろ
になった。奥様たちは近くのスーパーや飲食店などでパートとして働くほうが現
金収入が得られる。かくしてミシンは嫁入り道具から消えていった。
□ 多角化の走りは家電製品!
ミシンのほかに編み機もラインナップしていたが、それほど普及しなかった。そ
こでオルガンや家電製品に進出した。オルガンはミシンの木工技術が生きると考
えたがパッしなかった。1956年には扇風機、続いて洗濯機などを矢継ぎ早に世に
送り出した。だが、国内には強力な家電メーカーが目白押しだ。そこでヨーロッ
パなど海外で勝負する道を選び、早くからグローバル化を進めるきっかけとなっ
た。
1961年にはタイプライターを生産販売した。当時アメリカでは一台70$が相場だ
ったがブラザーは50$で勝負したため好評で、ピーク時はシェアを27%も取った。
1984年のロス五輪の時3,000台をオリンピック組織委員会に無償提供して喜ばれ
た。だが、当時アメリカにいた現小池社長は危機感を感じていた。電子式タイプ
ライター、つまりワープロやPCのワードのような商品にいずれ取って代わると
予見したからだ。
□ 複合機、プリンター、そして通信カラオケ!
ワープロやPCはコンペティターが多すぎる。その頃アメリカではスモールビ
ジネスとあいまってスモールオフィスが流行りだした。現小池社長は、小さな
オフィスでは電話、ファックス、コピー機などを別々に取り揃えるのはコスト
高になり、場所も食う。一台で兼用できる複合機なら売れると踏んだ。この複
合機は大当たりした。
さらにはレーザー式プリンターだ。キャノンやエプソンの後塵を拝しているが
昨年タイの大洪水でキャノンが大減産を強いられた。今、ブラザー工業のレー
ザープリンターが量販店でも売れている。じりじりシェアを伸ばしているとこ
ろだ。
1992年には通信カラオケJOYSOUNDを開発して売り出した。以前のようにディス
クがゆっくり移動しおもむろに曲が流れ出すタイプは消滅した。通信カラオケ
は新曲が出ても数日のうちに配信OKだからお客に喜ばれる。何よりもリモコ
ンにタッチすれば瞬時に選曲できて曲が流れ出すのが嬉しい。今、カラオケ店
のシェアを第一興商と二分している。
2.44の国と地域に進出したグローバル企業!
ミシンの売上げが全体の6%弱に落ちるように経営をコントロールしたわけだ
が、そのミシンもかなりのハイテク機だ。写真などをメモリーカードに取り込
み、ミシンに挿入するだけで、自動で刺繍してくれるという優れものだ。気に
入った写真を刺繍にして楽しむ。新しいミシンの楽しみ方を提供しているのだ。
売上げ比率を見てみるとプリンターなどの情報機器で67.7%、工作機械で13.2%、
通信カラオケで10.5%、ミシンで5.8%となっている。社員数は44の国と地域で
28,900人の大所帯だ。
年に一回全世界から社員の代表を集団で日本に呼び、パーティを開催して優秀
な社員を表彰する。会場は国際色豊だ。
現小池社長がアメリカでまだペエペエだった頃、危機感を募らせ、こんな商品
を開発すべきだと本社に具申したら本社は直ぐに動いた。他の会社ならペエペ
エの言うことに直ぐ反応して動いたりはしないのではないか。職位によらず社
員の言うことに聴く耳を持つ企業文化が根付いている証拠だ。
3.ユニークな人が山っ気を持って入ってきてほしい!
通信カラオケを開発したのが通信系新規事業部長の安友雄一氏だ。彼が最初に開
発した通信カラオケは電話回線を使って曲をダウンロードする方式だった。1千
万円売り上げるのに電話代が1千万円以上も掛かったと言う。失敗作だったわけ
だ。だが、これがベースになり、JOYSOUNDが生まれた。
小池社長は「失敗はブラザーの歴史の中では事業を変革する原動力。会社が傾く
ほど大きな失敗でなければどうってことはない」と言っている。金太郎飴のよう
に一種類の人たちでは新規事業というのは絶対にできないと考えるからだ。失敗
を許す企業文化はサントリーとよく似ている。
さらに小池社長は「なるべくユニークな人が山っ気を持って会社に入ってきてほ
しい」とラブコールを送っていたのが印象的だ。製造業ではなく創造業と断言す
るだけあって、多角化得意企業になったわけだが、多角化が仕事のできる人の集
団を作っているのである。
【3】今日のまとめ
1.3社の運命を分けたものは危機感からくる多角化推進だったこと。
2.ペエペエ社員の意見具申に対しても、トップは聴く耳を持ち対応する企業文
化が根付いていること。
3.国内で不利と見るや海外に活路を見出すフットワークの良さを根付いている
こと。
4.失敗は事業を変革する原動力だから会社が傾くほどの失敗でなければ許され
る企業文化が根付いていること。
5.小池社長自ら山っ気のある人が入社してほしいとラブコールを送っているこ
と。
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【4】編集後記
2008年にブラザー工業も例のスティールパートナーズに狙われたことがあった。
株を大量に購入し、「選択と集中」を求められた。つまりカラオケなどの非中核
事業を売却せよと迫るわけだ。株が上がったら売り抜けて儲ける魂胆だ。これが
「物言う株主」だ。ブラザー工業は断固拒否を貫いた。
多角化推進で多様性のある人材が育つ。鶏と卵の関係がうまく回るから仕事ので
きる人の集団が強固になっていくのだ。
=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=
次回に続く。
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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
彩愛コンサルピア代表 下山明央
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