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「人によって現実が異なる」とはこういうこと!; 対立の価値

総務の森』コラムをご覧のみなさま


こんにちは! 合同会社5W1Hの高野潤一郎と申します。

プロフィールとバックナンバーは、こちらからご覧いただけます。
http://www.soumunomori.com/profile/uid-97755/
============================================================
HR総研様の『人事白書2014』の2箇所(育成関連および人事
戦略関連)で、弊社サービスをご紹介いただきました。
https://www.hrpro.co.jp/hks_kyosan.php
併せてご覧いただければ幸いです。
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本コラムでは、弊社配信の無料ニューズレター第96号(2011年7月4
日配信)で公開した記事の一部をシェア差し上げます。
今回のタイトルに興味をお持ちいただけた方は、是非、お役立てく
ださい。

<以下、抜粋記事となります。その旨、予めご了承くださいませ。
 なお、システム上、本コラムでご紹介できない『図表』などを含
 めた『全文』は、後述のリンク先より、無料で、何の登録手続き
 もなく、ご覧いただけますので、ご安心ください。>

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(前略)

先日、「他者と自分で現実が異なるって、どういうことですか?」
「対立とかコンフリクト・マネジメントと、創造性ってどういう関
係があるのですか?」といった質問をいただく機会がありました。

そこで、今回は、この辺りの話について、私の考えを少し紹介して
みようと思います。


■「対立」って避けたり、解消したりした方がいいのでは?

2011年06月08日配信の第94号「5つの対立モード→妥協を協働に
変えれなければ価値はない」でお伝えしたように、私は、さまざま
な制約条件の下、仕方なく「妥協」「回避」「強制」「服従」を選
ぶことはあっても、それらについて、わざわざセミナーや研修とい
った場を設けて学ぶ必要はなく、意識して学ぶ価値があるのは「対
立を活用して協働に向かう」アプローチであると考えています。

「対立を活用して協働に向かう」アプローチについては、問題解決
の場面で、対症療法的な処置を繰り返すのではなく、本質的問題解
決に向かうため、議論を深めるために、「デビルズ・アドボケイト」
(devil's advocate:※1)の役を買って出ることがあるといった
例を挙げることもできるでしょう。

昨年、「大きなスケールのイノベーションを成し遂げるには、組織
内部に『正しい対立』を起こし、衝突する異論の中から将来の道筋
を見出していく戦術眼が必要だ」という趣旨の内容が書かれた「ザ・
ライト・ファイト」 という翻訳書も出版されるなど、価値観の多
様化やグローバル・ビジネスの進展に伴い、さまざまな場面で、
「対立」の有効性が見直されてきているように思います。

※1 デビルズ・アドボケイト(devil's advocate)
議論を通して、「創造的摩擦」や「対立」を引き起こし、見落とし
を発見したり、今までの議論よりも一段高い視点を得たりするため
に、反対意見を意図的に述べる人


他にも、ソニーの共同創業者などとして知られる盛田昭夫さんの著
書「MADE IN JAPAN ―わが体験的国際戦略」から、「対立」の大切
さについて、非常にわかりやすい話をご紹介したいと思います。

------------------------------------------------------------
「盛田さんが副社長で、田島道治さんが会長(…宮内庁長官などを
歴任)だったときの話」です。「対立」の有用性について理解する
のにお役立てください。

     ↓     ↓     ↓     ↓     ↓

「盛田君、君と私とは意見が違う。私は絶えず意見が対立するよう
な会社にいようとは思わない。今すぐ辞める。」

この点に関しては、私(盛田さん)は強い信念を持っていたので、
臆せず返答した。

「お言葉ではありますが、あなたと私がすべての問題についてそっ
くり同じ考えを持っているなら、私たち二人が同じ会社にいて、給
料をもらっている必要はありません。

その場合は、私かあなたのどちらかが辞めるべきでしょう。 この
会社がリスクを最小限に抑えて、どうにか間違わないですんでいる
のは、あなたと私の意見が違っているからではないでしょうか。」

「どうぞお怒りにならず私の考えを検討してみてください。私と意
見が違うからと言ってお辞めになるというのでは、会社はどうなっ
てもよいというのでしょうか。」
------------------------------------------------------------

いかがでしょうか?

「対立」に対するイメージ、変わってきましたか?


■「価値観の多様化」「創造性」と「対立」について

かつて、グローバル・ビジネスと言えば、最大公約数的ニーズに応
える商品・サービスを提供する製造業・運輸業、あるいは、本社の
人間が全体像を描き各地域の現場はその全体像に従って作業を行う
ビジネスをイメージする方が多かったように思います。

ところが、近年になって、世界を均質な市場と見なし、「生産性」
と「効率」を追求するモデルを前提にして、業務内容などの「標準
化」と「世界分業」を考える人々と、「各国・地域・文化・慣習独
特のニーズ」に応えようとする人々の「対立」が顕在化してくるよ
うになってきました。

(各国・地域・文化・慣習独特のニーズに応えることで成功を収め
ている電機メーカーの例で言えば、メッカの方向表示やコーラン・
イスラム暦を内蔵したイスラム教徒向けの携帯電話「メッカフォン」
、「施錠できる冷蔵庫」@インド、「キムチ収納庫付き冷蔵庫」@
韓国、「熱帯病を媒介する蚊を寄せつけない効果を持つエアコン」
@インドネシアなどが良く知られていますね。)

そして、全体最適と部分最適の「ジレンマ」(※2)など、各種
「対立」を乗り越える「創造性」を発揮しよう!「イノベーション」
を起こそう!という風潮が強まってきたように感じています。

※2 ジレンマ(dilemma)
対象とする問題に対して2つの選択肢が存在し、そのどちらを選ん
でも不利益を被ることがわかっているため、意思決定できていない
状態。


また私は、地域経済開発論・都市社会学を専門とするリチャード・
フロリダ(Richard L. Florida)さんも、間接的に「対立」の重要
性を訴えていらっしゃっるように感じています。

彼が「クリエイティブ資本論」などで、イノベーションによって経
済発展を遂げる地域に共通する条件として、

・「技術」(Technology)
・「才能ある人材」(Talent)
・「寛容性」(Tolerance)

という3つのTを挙げていたのを記憶されている方も多いのではな
いでしょうか。

3つのTの中でも特徴的な「寛容性」については、「多様性指標」
(diversity index)を用いて計測するとし、「多様性指標」を構成
する副指標として、「人種のるつぼ指標」(melting pot index)
「同性愛指標」(gay index)「ボヘミアン指標」(Bohemian index)
の3つを挙げていらっしゃいました。

…リチャード・フロリダさんは、「人間1人1人が創造的であり、
 まだ引き出し得ていない創造性を引き出すことが、人々の繁栄や
 生活の向上につながる」という考えをお持ちで、

 種々の調査研究の結果に基づき、「いろんな人種の建築家、美術
 専門家、エンジニア、科学者、芸術家、作家、上級管理職、プラ
 ンナー、アナリスト、医師、金融・法律の専門家などが活動し、
 
 同性愛者への偏見が少なく、自分たちと異質な人を受け入れる文
 化的素地を持った地域は、イノベーションによる経済発展を遂げ
 る」という主張をされています。

 (指標の適切さなどについては議論があるようですが、「価値観
 の多様性を認める寛容性を備えた地域が経済的発展を遂げる」と
 いうのは興味深いですね。)


個人が創造性を発揮して生み出したモノは、当初「異端である」と
か「違和感を覚える」とされ、既存のモノとの間で、「摩擦」「対
立」を生じ、そのほとんどは社会に容認されずに消え去っていきま
すが、ごく一部のモノについては、社会が受け入れ、逆にそれを新
たな文化・標準的なスタイルなどとして社会に定着していきます。

つまり、「創造性を生み出す土壌としての社会的寛容性(多様な価
値観の共存を認める社会)→個人が創造性を発現→創造的摩擦・対
立→社会的創造性の発現」というプロセスを通じて、創造性を地域
の経済発展に結びつける際にも、「対立とどのように付き合うか」
(コンフリクト・マネジメント)が大切になってくるという訳です。


■多くの「対立」は、「認識の違い」から生じる

これまでの話で、「対立を活用して協働に向かう」「創造的摩擦を
活用してイノベーションを起こす」ことの価値について、少しイメ
ージを持ち始めていただけたのではないかと思います。

今度は、「他者と自分で現実が異なるって、どういうことですか?」
という質問に戻って、対立が生じる原因である「認識の違い」につ
いて、図1を用いて説明してみることにしましょう。

図1は、「同じL社に勤めるAさん、Bさん、Cさんの3人が、長
年取引を続けている大切なお客様との打ち合わせが終わる頃、次の
図に示すような言葉を聞いた。A・B・Cさんは、打ち合わせから
戻り、先方の言葉から考えたことについて話をしている。」という
場面を表しています。

図1:事実認識(主観的世界)の違い

Cさん:
「さっきの話だけだと、顧客が本当に望んでいるものが何か、よく
 わかりませんでしたね。」

Aさん:
「何を言っているの?あの顧客が望んでいるのがエコ路線だってこ
 とは、彼の発言で明白だったじゃない?」

Bさん:
「おいおい、2人とも冗談はよしてくれよ。これからは今まで以上
 に徹底的にコストダウンに取り組まないと、顧客を取り逃がして
 しまうんだぞ。」


図1では、「情報の取捨選択→解釈→判断→結論」という形で、
認知の違い」から「対立」が生じることを示しています。

…「自分は現実を正しく認識している」という思い込みを持ってし
 まうと、さまざまな角度から状況を把握する可能性を排除してし
 まいます。(経営幹部層や、各分野のリーダーなどは、特に注意
 しましょう!)

言葉巧みに相手を丸めこんだり、屁理屈などで相手を煙に巻いたり
していては、相手に「妥協」「回避」「強制」「服従」を強いてし
まい、心に不満や不信感、時には怒りなどを抱えた相手は、やがて
大きな障害を生じる原因となってしまう恐れがあります。

ですから、「こういうときには、このフレーズで切り返す」などと
いった言葉を覚えたり、交渉「術」を身につけたりするのではなく
て、「相手も自分も妥協せず、納得できる新しい道を探る」という
コンフリクト・マネジメントのアプローチが重要であると考えてい
ます。

(図1は一例にすぎませんが、相手との認識のズレにより、生産的
 なコミュニケーションがとれずお困りの方や、立場や価値観の違
 いなどを乗り越えて「協働」を進めるのに必要な「コミュニケー
 ション能力」を身に着けたい方は、是非「フレームワーク質問力」
 セミナーをご活用ください。「フレームワーク質問力(後編)」
 では、ヒトの認知のメカニズムに基づき、より詳細な解説を行っ
 ています。もちろん、より直接的に対立を扱う「コンフリクト・
 マネジメント入門」もご活用いただければ幸いです。)

さて、「他者と自分で現実が異なるって、どういうことですか?」
「対立とかコンフリクト・マネジメントと、創造性ってどういう関
係があるのですか?」といった質問をいただいた時のことを思い出
しながら、いろいろご紹介してきたわけですが、「対立を活用して
協働に向かう」「創造的摩擦を活用してイノベーションを起こす」
ことの価値について、あなたは、どのような印象をお持ちになった
でしょうか?

(後略)

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冒頭でご案内差し上げましたように、本記事の『全文』は、下記
よりご覧いただけます。上記抜粋記事をご覧になった上で、詳細
についてお知りになりたい方は、是非ご活用くださいませ。

●ニューズレター第96号
 人によって現実が異なるとはこういうこと!;対立の価値
 → http://5w1h.hatenablog.jp/entry/096(ブログ版)
 → http://www.5w1h.co.jp/newsletter/no96.pdf(PDF版)
============================================================
出典を明記していただき、『著作権法』で認められる『引用』の
範囲を超えなければ、許可なしで部分引用可能です。
また、内容を改変せず、元のままの形(あるいは上記リンク先)
であれば、お知り合いなどに転送していただいて構いません。
============================================================


以上、何か少しでも、『総務の森』コラムをご覧のみなさまの
お役に立てることがあれば幸いです。

お忙しいところ、目を通していただき、ありがとうございました!

               高野潤一郎@合同会社5W1H

P.S.1
● 【 早割:7月18日(金)まで 】 9月13日(土)スタート
 合同会社5W1H流『コーチング学習プログラム』
 http://www.5w1h.co.jp/pl/clp.html

 ~「自らを制約から解放し、境界を超えていく能力」
  「自ら適切な課題を設定する能力」を高めるのに有効!~

「参加者の声」は、こちら↓からご確認いただけます。
  http://www.5w1h.co.jp/pl/clp.html#comments


P.S.2
●6月28日(土)~29日(日)
 7月24日(木)~25日(金)
 「フレームワーク質問力(総論)」セミナー
 http://www.5w1h.co.jp/pl/saimf.html

●6月13日(日)ほか: 月に一度、日曜朝の「教養醸成の会」
 http://www.5w1h.co.jp/pl/CGG.html

●8月9日(土)~10日(日)
 2日間「コーチング漬け」体験
 http://www.5w1h.co.jp/pl/two_days_coaching.html


P.S.3
もし『図表』を用いた解説も多い弊社発信情報にご興味をお持ち
いただけたようでしたら、下記もご覧になってみてください。

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 「自律共栄の納得人世」の実現に向け、
 「人財と組織の育成を支援」する 合同会社5W1H

         代表 高野 潤一郎 [ 博士(先端科学技術) ]

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