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登録第5793033号:「SPACCIO」

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□■□【真似とは言わせない!ネーミングのツボ】□■□
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□                       7月5日号
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 弁理士 深澤です。

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★このメルマガの目的♪
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 このメルマガでは、商標の審判・裁判事例等を通して、

○どんな商標が類似といわれたのか
○識別力のある商標とはどんなものなのか

 といったことから、ネーミングを考える際のツボを明らかにして
いきます。

(配信中止はこちらまでhttp://www.mag2.com/m/0000241197.html)

 それでは、今週も始めます。

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★今回の事例♪
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 今回取り上げるのは、

○登録第5793033号:「SPACCIO」

 指定商品・役務は、第3類の各商品です。


 ところが、この商標は、

 登録第5033713号商標

 「SPASIO」の欧文字及び「スパシオ」の片仮名を二段に
横書きしてなる構成

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。


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★判断の分かれ目♪
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 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服
の審判(不服2015-009013号)が請求されました。

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 まず、この商標

「文字は、伊和辞典に「密売。販売。小売り店。」などの意味
(伊和中辞典[第2版]小学館)を有する語である旨の記載がある
ものの、我が国において、該文字がそのような意味を有する既成の
語として一般に広く知られているとはいい難いものである。」

「そうとすると、「SPACCIO」の文字からなる本願商標は、
特定の意味を有しない一種の造語として認識されるというのが相当
であるから、特定の観念を生じないものである。」

「そして、特定の語義を有しない造語にあっては、我が国において
広く親しまれているローマ字読み又は英語読みに倣って称呼される
とみるのが自然であるから、本願商標は、「SPACCIO」の
構成文字に相応して「スパッチオ」又は「スパッシオ」の称呼を
生じるものである。」

 一方、引用商標

「「SPASIO」及び「スパシオ」の文字は、いずれも我が国に
おいて一般的に使用されている辞書等に掲載されていないもので
あり、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるもので
あるから、引用商標は、その構成全体として特定の観念を生じない
ものである。」

 そして、

「下段の「スパシオ」の片仮名は、上段の「SPASIO」の欧文字の
読みを表したものと無理なく理解されるものであるから、引用商標は、
「SPASIO」及び「スパシオ」の構成文字に相応して
「スパシオ」の称呼を生じるものである。」

 そこで、両商標を対比すると、外観は、

本願商標が7文字の欧文字を横書きした構成であるものに対し、
引用商標は6文字の欧文字と4文字の片仮名を二段に横書きした
構成であって、両商標は、全体として、外観上明かな差異を有する
ものである。」

「また、両商標の構成中、独立して自他商品の識別力を有する
「SPACCIO」及び「SPASIO」の欧文字部分においても、
語頭の「SPA」の3文字及び語末の「IO」の2文字が共通
しているものの、」

本願商標は7文字、引用商標は6文字と構成文字数が異なるほか、
少ない文字数の中にあって、中央部において「CC」と「S」の
文字が異なっており、しかも、差異となっている「C」の欧文字が
重ねて配されており、看者の目にとまりやすいことをも勘案する
ならば、視覚上、一見してその差異を把握し得るものである。」

 として、

「外観上、明確に区別し得るものといえる。」

 称呼は、

本願商標の「スパッチオ」の称呼と引用商標の「スパシオ」の
称呼、さらに、本願商標の「スパッシオ」の称呼と引用商標
「スパシオ」の称呼を比較するに、」

「両商標の称呼は、ともに短い5音と4音という簡潔な音構成から
なるものであって、その中で、前者の称呼の比較においては、促音
の有無及び「チ」の音と「シ」の音が異なり、また、後者の称呼の
比較においては、促音の有無が異なり、語調、語感が異なるもの
であるから、該差異がこれらの称呼に及ぼす影響は決して小さい
ものとはいえず、本願商標引用商標とは、称呼上、相紛れる
おそれはないものといえる。」

 観念は、

「ともに特定の観念を有しないものであるから、観念上、相紛れる
おそれがあるということはできない。」

 として、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれ
はないものであるから、非類似の商標とされました。


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★事例からわかったネーミングのツボ♪
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 今回は、欧文字標記の商標の類否が問題となりました。

 特定の語義を有しない造語にあっては、我が国において広く親し
まれているローマ字読み又は英語読みに倣って称呼されるとみる
のが自然とされます。

 英語読みではどう読むかを考えることが真似とは言わせないツボ
になります。

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 お役に立ちましたでしょうか?

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

 
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真似とは言わせない!ネーミングのツボ(毎週火曜日発行)

ご質問・ご感想お待ちしております!

  編集・発行 深澤 潔
  http://brand-service.biz/

 各種商品・サービスのネーミング、会社ロゴ等の商標登録関連
を扱っております
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