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1 今回の判例 「あらごしみかん」
商標と識別力
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知財高裁令和6年5月28日判決
A社が、「あらごしみかん」(標準文字)という
商標を、清酒、洋酒、果実酒、カクテル等を指定商品として
商標の出願をしました。
本件は、この出願に対して
特許庁が行った拒絶の審決の取消を求めた裁判ですが、裁判所は、以下のとおり判断し、登録を認めませんでした。
・ 「商品の原材料が粗くこされたものであること」等を表現するための語として、「あらごし」の文字等が広く使用されている実情がある。その中には、原材料である果実をあらくこして、果実の繊維や果肉などを残した商品の事例も存在するなど、「あらごし」の語は、当該指定商品を取り扱う分野において広く親しまれている。
・ 当該
商標をその指定商品に使用するとき、それに接する需要者は、単にそれが「商品の原材料であるみかんが粗くこされた商品」という商品の品質を認識するから、当該
商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる
商標である。よって、
商標法3条1項3号に該当する。
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2 解説
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(1)
商標法3条1項3号の規定の概要
商標法3条1項3号は、商品やサービスの内容や品質などを普通の方法で記述する
商標(いわゆる「記述的
商標」)は
商標登録を受けることができないという原則を定めています。
こうした規定があるのは、商品やサービスの内容や品質を表す語を誰かに独占させることは適切ではないからです。例えば、納豆を対象として「ひきわり」という
商標が登録されてしまうと、他者はひきわりタイプの納豆の販売に支障が出ることになります。
(2)ビジネス上の留意点
もっとも、ビジネス上、自社の製品やサービスにおいて、他社との差別化を図ることができる優れた機能や特色などを商品名に取り入れてアピールしたいと考えるのは自然なことです。そしてこうしたことが一切できないわけではありません。
なぜなら、
商標法3条1項3号が「登録できない」としている
商標は、品質等を、「普通に用いられる方法」で表示する「のみからなる」
商標だからです。つまり、表示の方法が「普通に用いられる」ものでない場合や、または他の要素が加わって「のみからなる」とはいえない場合には、登録を受けられ得ることになります。
この点、過去の例でいうと、「普通に用いられる方法」ではないとされた例として、以下のような事例があります。
■品質などを間接的に表示す場合
「夜もパワフル」(登録第6286863号)
指定商品:薬剤、サプリメント等
■指定商品の品質等と
商標の関係が薄い場合
「吟醸」 (登録第3281840号)
指定商品:せっけん類、香料類、化粧品等
以上のとおり、弁理士や
商標実務に詳しい弁護士のアドバイスを考慮しつつ、記述的
商標という
商標法の制限を克服しながら商品の特徴をアピールできるような
商標を考えてみることができるかもしれません。
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3 弊所ウェブサイト紹介~
商標法 ポイント解説
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。
例えば本稿のテーマに関連した
商標法については
https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/shouhyou/index/
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なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイトにおいて解説に加えることを希望される項目がありましたら、メールでご一報くだされば幸いです。
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出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
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1 今回の判例 「あらごしみかん」商標と識別力
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知財高裁令和6年5月28日判決
A社が、「あらごしみかん」(標準文字)という商標を、清酒、洋酒、果実酒、カクテル等を指定商品として商標の出願をしました。
本件は、この出願に対して特許庁が行った拒絶の審決の取消を求めた裁判ですが、裁判所は、以下のとおり判断し、登録を認めませんでした。
・ 「商品の原材料が粗くこされたものであること」等を表現するための語として、「あらごし」の文字等が広く使用されている実情がある。その中には、原材料である果実をあらくこして、果実の繊維や果肉などを残した商品の事例も存在するなど、「あらごし」の語は、当該指定商品を取り扱う分野において広く親しまれている。
・ 当該商標をその指定商品に使用するとき、それに接する需要者は、単にそれが「商品の原材料であるみかんが粗くこされた商品」という商品の品質を認識するから、当該商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。よって、商標法3条1項3号に該当する。
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2 解説
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(1)商標法3条1項3号の規定の概要
商標法3条1項3号は、商品やサービスの内容や品質などを普通の方法で記述する商標(いわゆる「記述的商標」)は商標登録を受けることができないという原則を定めています。
こうした規定があるのは、商品やサービスの内容や品質を表す語を誰かに独占させることは適切ではないからです。例えば、納豆を対象として「ひきわり」という商標が登録されてしまうと、他者はひきわりタイプの納豆の販売に支障が出ることになります。
(2)ビジネス上の留意点
もっとも、ビジネス上、自社の製品やサービスにおいて、他社との差別化を図ることができる優れた機能や特色などを商品名に取り入れてアピールしたいと考えるのは自然なことです。そしてこうしたことが一切できないわけではありません。
なぜなら、商標法3条1項3号が「登録できない」としている商標は、品質等を、「普通に用いられる方法」で表示する「のみからなる」商標だからです。つまり、表示の方法が「普通に用いられる」ものでない場合や、または他の要素が加わって「のみからなる」とはいえない場合には、登録を受けられ得ることになります。
この点、過去の例でいうと、「普通に用いられる方法」ではないとされた例として、以下のような事例があります。
■品質などを間接的に表示す場合
「夜もパワフル」(登録第6286863号)
指定商品:薬剤、サプリメント等
■指定商品の品質等と商標の関係が薄い場合
「吟醸」 (登録第3281840号)
指定商品:せっけん類、香料類、化粧品等
以上のとおり、弁理士や商標実務に詳しい弁護士のアドバイスを考慮しつつ、記述的商標という商標法の制限を克服しながら商品の特徴をアピールできるような商標を考えてみることができるかもしれません。
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3 弊所ウェブサイト紹介~商標法 ポイント解説
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