2026年9月2日号 (no. 1259)
3分労働ぷちコラム バックナンバーはこちら
(
https://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/)
残業月45時間の指導が変わる。会社が今すべきこと
■監督指導の重点が変わる
2026年9月1日から、
労働基準監督署による時間外労働に関する指導が見直されます。
これまで行われていた、
時間外・休日労働の時間数だけに着目し、
月45時間以内への削減を一律に求める指導は見直されます。
36協定で、できる残業は月45時間、
つまり、法定労働時間を超えてできる時間外の残業は月45時間なので、
その時間内に収めるようにという指導自体は間違ってないのですけれども。
今後は、
36協定に定めた「健康及び福祉を確保するための措置」の実施状況を重点的に確認し、
事業場の実態に応じて必要な指導を行う。
健康及び福祉を確保するための措置とは、
具体的に何をするのか。
気になるところですよね。
月45時間を超えて時間外労働をする方には、
このような措置が必要なのです。
ただし、
残業の上限規制そのものが緩和されたわけではありません。
過重労働による健康障害のおそれが高い場合は、引き続き指導の対象となります。
(厚生労働省「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75454.html)
残業のルールが緩和されたわけではない。ここがポイント。
時間外労働の時間数などは変更されていませんので。
時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します、
という情報を出したということは、
特別条項が付いた36協定を締結している職場に対しても、
月45時間以内で時間外労働を実施してくださいと指導していたのではないかと。
■36協定なしで残業はできない
使用者が法定労働時間を超えて労働させる場合には、
労働基準法第36条に基づく36協定を締結し、
所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
法定労働時間は、
原則として1日8時間、1週40時間です。
36協定を締結・届出せずにこれを超えて働かせると、
労働基準法第32条違反となる可能性があります。
ちなみに、1日8時間、1週40時間を超えない職場ならば、
36協定を締結しなくても構わないのです。
労使協定で、
時間外労働ができる時間数を決めておくと、
32条違反にはならずに仕事ができるというもの。
これが36協定。
■36協定は1年毎に締結する
36協定では、
1日、1か月、1年それぞれについて、
時間外労働をさせることができる時間数を定めます。
協定の対象期間は通常1年間ですので、
毎年、実際の勤務状況を確認して更新します。
毎年36協定は締結する必要があるので、
年度に合わせた更新にしてるところが多いでしょうから、
4月1日から3月31日まで有効なものを作って、
2月、3月ぐらいに協定書を作って、届け出ているのでは。
3月は混むので、
年末調整といっしょに36協定の作成もやると都合がいいです。
年明けに、36協定も一緒に、という感じで。
■月45時間は今も原則
36協定で定める時間外労働の限度時間は、
原則として月45時間、年360時間です。
月45時間というと、
毎日2時間程度、時間外労働をすると、
これぐらいの時間数になります。
これは
「監督署から月45時間以内と指導されなくなったから、
毎月45時間まで残業させてよい」
という意味ではありません。
過去1年間の勤怠を確認し、
繁忙期の実績や業務の特性を踏まえて、
必要最小限の時間数を協定することが重要です。
例えば、
通常は1日1時間程度の残業しか発生しない職場で、
恒常的に月45時間と定めることが適切とは限りません。
これだと、月25時間の設定でも足りますよね。
長時間労働を前提にせず、
業務量や人員配置を見直す必要があります。
当然のように1ヵ月45時間とするのではなくて、
過去1年分の勤務時間を見て、36協定の内容を決めます。
1日あたり何時間の時間外労働が発生しているのか、
1週間あたり何時間の時間外労働が発生しているのか、
1ヶ月あたりだとどうか、
という職場ごとの実績を見た上で、
過去の時間外労働の時間に少し余裕を持たせて、
何時間に設定するかを決めて、
労使協定である36協定をつくります。
36協定の範囲内であっても、
労働契約法5条の安全配慮義務はありますので。
■特別条項は例外として使う
臨時的な特別の事情がある場合には、
特別条項付き36協定を締結できます。
ただし、
特別条項を付けても、
時間外労働は年720時間以内、
月45時間を超えられるのは年6回以内としなければなりません。
また、
時間外労働と休日労働の合計は、
1か月100時間未満、
2か月から6か月までの各期間について平均80時間以内とする必要があります。
これらは労働基準法第36条第6項に定められています。
細かいんですよ。
特別条項を適用して、限度時間を超えていくと。
特別条項を発動する場合も、
36協定に定めた手続を守らなければなりません。
発動の対象となる労働者、
具体的な理由、
延長できる時間数、
健康・福祉確保措置を確認します。
「業務上必要な場合」「やむを得ない場合」だけでは、
臨時的な特別の事情を具体的に定めたとはいえません。
その都度、業務上の都合で、ポンポンと特別条項を発動するのはダメなんですね。
例えば、
急激な注文量の増加、
納期の逼迫、
急な欠員、
製品トラブルへの対応など、
発生する事態を具体的に記載します。
どうしても、時間を延ばさないといけない場面に限って発動。
それが特別条項。
■休日労働の集計を間違えない
36協定上の休日労働とは、
法定休日に行う労働です。
週休2日制の会社で、
日曜日を法定休日と定めている場合、
土曜日に出勤しても、土曜日は所定休日であり、
36協定上の法定休日労働には当たらないことがあります。
一方、
日曜日に出勤すれば、
法定休日労働となります。
休日に出勤したかどうかだけでなく、
就業規則や36協定で法定休日をどのように定めているかを確認してください。
どの休日が法定休日で、どの休日が所定休日なのか。
ここの区別が必要なんですね。
月45時間・年360時間は、
時間外労働の限度時間です。
月100時間未満や複数月平均80時間以内の判定では、
法定休日労働も含めて計算します。
■休日労働がなぜ36協定の時間に含まれるのか
それは、
休日労働そのものが既に法定時間外労働という扱いになっているからです。
休日労働は残業なんですね、法律での扱いでは。
休日労働の割増賃金は35%以上になりますけれども、
この中に法定時間外労働の25% 割り増しも含まれています。
つまり、
35%のうち、
25%ポイント分が法定時間外労働の割増賃金、
10%ポイント分が法定休日労働の割増賃金、
という内訳と考えていいでしょう。
なので、
法定休日労働で、
仮に1日10時間になっても、
割増賃金は35%です。
35%+25%=60%とはならないのです。
■健康・福祉確保措置、具体的に何をする?
36協定に定めた「健康・福祉確保措置」
これは、具体的にどのような措置をするか。
例えば、
年次有給休暇のまとまった取得の促進だと、
3連休以上で年次有給休暇を使ってもらう。
3日分以上をまとめて使えるように、手当を出す。
3連続以上で3,000円支給する。
休息期間は11時間以上にする。
仕事を終えて、終業時間から次の日の始業まで11時間以上空ける。
ちゃんと休めるように時間を空けます。
深夜勤務(22時〜5時)は
月に10回までとする
人の感情で納得できる措置であれば、
他の案も出てきますよね。
他にも、
特別条項を発動した月の翌月に、
特別休暇を各自で2日連休で取れるようにするとか。
所定休日や有給休暇とは別で。
このような
具体的な施策とセットで36協定の特別条項を作っていきます。
特別条項で時間外労働を延長したならば、
以上のような補塡策を講じて、
納得できる働き方にしていくと良いのですね。
■会社が今すべき確認
まず、
現在の36協定と特別条項を確認してください。
次に、
勤怠記録から、
時間外労働、法定休日労働、月45時間超の回数を集計します。
特別条項の発動理由が、
協定に記載した内容と一致しているかも確認します。
具体的な発動理由に合っているかどうか。
業務上の都合ではなく。
さらに、
健康・福祉確保措置を実際に実施した記録を残します。
例えば、医師による面接指導、勤務間インターバル、代償休日、年次有給休暇の取得促進、深夜労働の回数制限などです。
今回の見直しは、残業を自由に増やせるという話ではありません。36協定の内容、特別条項の発動手続、健康確保措置の実施状況を、実態に合わせて管理することが、これまで以上に重要になります。
参考:
厚生労働省「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」(
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75454.html)
厚生労働省「時間外労働の上限について」(
https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/36_pact.html)
厚生労働省「時間外労働の上限規制」(
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/overtime.html)
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残業月45時間の指導が変わる。会社が今すべきこと
■監督指導の重点が変わる
2026年9月1日から、
労働基準監督署による時間外労働に関する指導が見直されます。
これまで行われていた、
時間外・休日労働の時間数だけに着目し、
月45時間以内への削減を一律に求める指導は見直されます。
36協定で、できる残業は月45時間、
つまり、法定労働時間を超えてできる時間外の残業は月45時間なので、
その時間内に収めるようにという指導自体は間違ってないのですけれども。
今後は、
36協定に定めた「健康及び福祉を確保するための措置」の実施状況を重点的に確認し、
事業場の実態に応じて必要な指導を行う。
健康及び福祉を確保するための措置とは、
具体的に何をするのか。
気になるところですよね。
月45時間を超えて時間外労働をする方には、
このような措置が必要なのです。
ただし、
残業の上限規制そのものが緩和されたわけではありません。
過重労働による健康障害のおそれが高い場合は、引き続き指導の対象となります。
(厚生労働省「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75454.html)
残業のルールが緩和されたわけではない。ここがポイント。
時間外労働の時間数などは変更されていませんので。
時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します、
という情報を出したということは、
特別条項が付いた36協定を締結している職場に対しても、
月45時間以内で時間外労働を実施してくださいと指導していたのではないかと。
■36協定なしで残業はできない
使用者が法定労働時間を超えて労働させる場合には、
労働基準法第36条に基づく36協定を締結し、
所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。
法定労働時間は、
原則として1日8時間、1週40時間です。
36協定を締結・届出せずにこれを超えて働かせると、
労働基準法第32条違反となる可能性があります。
ちなみに、1日8時間、1週40時間を超えない職場ならば、
36協定を締結しなくても構わないのです。
労使協定で、
時間外労働ができる時間数を決めておくと、
32条違反にはならずに仕事ができるというもの。
これが36協定。
■36協定は1年毎に締結する
36協定では、
1日、1か月、1年それぞれについて、
時間外労働をさせることができる時間数を定めます。
協定の対象期間は通常1年間ですので、
毎年、実際の勤務状況を確認して更新します。
毎年36協定は締結する必要があるので、
年度に合わせた更新にしてるところが多いでしょうから、
4月1日から3月31日まで有効なものを作って、
2月、3月ぐらいに協定書を作って、届け出ているのでは。
3月は混むので、
年末調整といっしょに36協定の作成もやると都合がいいです。
年明けに、36協定も一緒に、という感じで。
■月45時間は今も原則
36協定で定める時間外労働の限度時間は、
原則として月45時間、年360時間です。
月45時間というと、
毎日2時間程度、時間外労働をすると、
これぐらいの時間数になります。
これは
「監督署から月45時間以内と指導されなくなったから、
毎月45時間まで残業させてよい」
という意味ではありません。
過去1年間の勤怠を確認し、
繁忙期の実績や業務の特性を踏まえて、
必要最小限の時間数を協定することが重要です。
例えば、
通常は1日1時間程度の残業しか発生しない職場で、
恒常的に月45時間と定めることが適切とは限りません。
これだと、月25時間の設定でも足りますよね。
長時間労働を前提にせず、
業務量や人員配置を見直す必要があります。
当然のように1ヵ月45時間とするのではなくて、
過去1年分の勤務時間を見て、36協定の内容を決めます。
1日あたり何時間の時間外労働が発生しているのか、
1週間あたり何時間の時間外労働が発生しているのか、
1ヶ月あたりだとどうか、
という職場ごとの実績を見た上で、
過去の時間外労働の時間に少し余裕を持たせて、
何時間に設定するかを決めて、
労使協定である36協定をつくります。
36協定の範囲内であっても、
労働契約法5条の安全配慮義務はありますので。
■特別条項は例外として使う
臨時的な特別の事情がある場合には、
特別条項付き36協定を締結できます。
ただし、
特別条項を付けても、
時間外労働は年720時間以内、
月45時間を超えられるのは年6回以内としなければなりません。
また、
時間外労働と休日労働の合計は、
1か月100時間未満、
2か月から6か月までの各期間について平均80時間以内とする必要があります。
これらは労働基準法第36条第6項に定められています。
細かいんですよ。
特別条項を適用して、限度時間を超えていくと。
特別条項を発動する場合も、
36協定に定めた手続を守らなければなりません。
発動の対象となる労働者、
具体的な理由、
延長できる時間数、
健康・福祉確保措置を確認します。
「業務上必要な場合」「やむを得ない場合」だけでは、
臨時的な特別の事情を具体的に定めたとはいえません。
その都度、業務上の都合で、ポンポンと特別条項を発動するのはダメなんですね。
例えば、
急激な注文量の増加、
納期の逼迫、
急な欠員、
製品トラブルへの対応など、
発生する事態を具体的に記載します。
どうしても、時間を延ばさないといけない場面に限って発動。
それが特別条項。
■休日労働の集計を間違えない
36協定上の休日労働とは、
法定休日に行う労働です。
週休2日制の会社で、
日曜日を法定休日と定めている場合、
土曜日に出勤しても、土曜日は所定休日であり、
36協定上の法定休日労働には当たらないことがあります。
一方、
日曜日に出勤すれば、
法定休日労働となります。
休日に出勤したかどうかだけでなく、
就業規則や36協定で法定休日をどのように定めているかを確認してください。
どの休日が法定休日で、どの休日が所定休日なのか。
ここの区別が必要なんですね。
月45時間・年360時間は、
時間外労働の限度時間です。
月100時間未満や複数月平均80時間以内の判定では、
法定休日労働も含めて計算します。
■休日労働がなぜ36協定の時間に含まれるのか
それは、
休日労働そのものが既に法定時間外労働という扱いになっているからです。
休日労働は残業なんですね、法律での扱いでは。
休日労働の割増賃金は35%以上になりますけれども、
この中に法定時間外労働の25% 割り増しも含まれています。
つまり、
35%のうち、
25%ポイント分が法定時間外労働の割増賃金、
10%ポイント分が法定休日労働の割増賃金、
という内訳と考えていいでしょう。
なので、
法定休日労働で、
仮に1日10時間になっても、
割増賃金は35%です。
35%+25%=60%とはならないのです。
■健康・福祉確保措置、具体的に何をする?
36協定に定めた「健康・福祉確保措置」
これは、具体的にどのような措置をするか。
例えば、
年次有給休暇のまとまった取得の促進だと、
3連休以上で年次有給休暇を使ってもらう。
3日分以上をまとめて使えるように、手当を出す。
3連続以上で3,000円支給する。
休息期間は11時間以上にする。
仕事を終えて、終業時間から次の日の始業まで11時間以上空ける。
ちゃんと休めるように時間を空けます。
深夜勤務(22時〜5時)は
月に10回までとする
人の感情で納得できる措置であれば、
他の案も出てきますよね。
他にも、
特別条項を発動した月の翌月に、
特別休暇を各自で2日連休で取れるようにするとか。
所定休日や有給休暇とは別で。
このような
具体的な施策とセットで36協定の特別条項を作っていきます。
特別条項で時間外労働を延長したならば、
以上のような補塡策を講じて、
納得できる働き方にしていくと良いのですね。
■会社が今すべき確認
まず、
現在の36協定と特別条項を確認してください。
次に、
勤怠記録から、
時間外労働、法定休日労働、月45時間超の回数を集計します。
特別条項の発動理由が、
協定に記載した内容と一致しているかも確認します。
具体的な発動理由に合っているかどうか。
業務上の都合ではなく。
さらに、
健康・福祉確保措置を実際に実施した記録を残します。
例えば、医師による面接指導、勤務間インターバル、代償休日、年次有給休暇の取得促進、深夜労働の回数制限などです。
今回の見直しは、残業を自由に増やせるという話ではありません。36協定の内容、特別条項の発動手続、健康確保措置の実施状況を、実態に合わせて管理することが、これまで以上に重要になります。
参考:
厚生労働省「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」(
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75454.html)
厚生労働省「時間外労働の上限について」(
https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/36_pact.html)
厚生労働省「時間外労働の上限規制」(
https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/overtime.html)
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