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中小企業診断士【第2次試験突破のノウハウ】
第46号
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ご講読いただきましてありがとうございます。
このメールマガジンでは、新試験制度移行後の中小企業診断士【第2次試験】
の過去問題を中心に、解答作成のプロセスを詳細に解説していきます。
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当メルマガと連動する形で「事例構造化」資料を作成し、ホームページに掲載
しております。ここでの分析・解説の参考資料としてご覧ください。
※ホームページ
http://www.geocities.jp/lazybird_jp/
「事例構造化資料」の「平成14年度」から「事例 III」のリンクをクリッ
クしてください。
前回は「平成14年度:事例 III」の与件文の構成、および事例テーマ分析・
解説を行いました。
平成14年の生産・技術事例はとても複雑な事例文であると感じました。なに
やらいろいろな数字がたくさん出てきます。ロット数や納期の変化、各工程の
生産性など、余白等を活用して整理しないとかなり混乱しそうです。また、本
工程の問題点についても、余白等で一旦整理してからでないと原因の特定など
に時間が掛かってしまいそうです。前回のメルマガにも書きましたが、やはり
整理には「図による表現」が有効です。ただし、それ以外の方法のほうがやり
やすいという方もいらっしゃるでしょうから、最も有効とは言い切れませんが
...そろそろ模擬試験を活用して、独自の「80分での事例攻略法」を確立
しておく必要がありそうです。
それでは、「平成14年度:事例 III」の第1問の分析・解説を始めます。
<<<<<<<<<< 分 析・解 説 >>>>>>>>>>
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ┃
┃ 平成14年度 事例 III(生産・技術戦略) ┃
┃ ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
【第1問】//////////////////////////////
最近、同業者に得意先の注文をとられるケースが出てきている。C社の外部環
境・内部環境(経営資源など)の分析に基づいて、C社が得意先への優位性を
確保するために、何を自社の生産面におけるセールスポイントとすべきか。環
境分析およびそこから導かれるセールスポイントを200字以内で説明せよ。
///////////////////////////////////
【題意の把握】----------------------------
この設問で出題者が答えて欲しいことは
「C社の生産面におけるセールスポイント」
です。ただし、これだけではあまりにも漠然とした題意になってしまうので、
解答作成にあたっての制約が書かれています。
「外部環境・内部環境(経営資源など)の分析に基づいて」
「得意先への優位性を確保するため」
といった箇所が制約になると考えられます。外部環境・内部環境の分析とは、
もちろんSWOT分析にあたると考えられます。また、得意先への優位性につ
いては「競争戦略(事業戦略)」のフレームを使うことができそうです。
したがって、
1.SWOT分析の結果から
2.競争戦略を策定して
3.C社の生産面のセールスポイントを考える
というロジックで解答を組み立てるのが望ましいと思われます。
ここで、SWOT分析について少し考えてみたいと思います。通常、SWOT
分析の結果から導かれる最も有利な方向性としては
「強みを機会に投入する」
~~~~ ~~~~
になりますが、今回の事例については他の戦略も一応考えておいたほうが良さ
そうな気がしています。というのも、事例文を読んだ限りではあまり「生産面
の強み」といった記述がなかったように感じたためです。
したがって、以下の戦略も選択肢として検討しておきたいと思います。
「弱みを克服して機会に投入する」
~~~~ ~~~~
解答スペースが200字あるあため、S・W・O・Tのすべてを記述すること
も可能なのかも知れませんが、基本的には「機会」を軸として
・投入できる優位性のある「強み」があるか
・克服することで優位性となる「弱み」があるか
を与件文から探してみたいと思います。したがって、外部環境については「機
会」を中心に、内部環境については「強み」か「弱み」のどちらかを中心に、
解答の前半部分を記述するようになるのではないかと思われます。
C社のセールスポイントについても、1つ挙げればいいのかそれとも複数挙げ
るのかがはっきりしていませんので、次の【与件文との関連】で検討していき
たいと思います。
【与件文との関連】--------------------------
まずは上記の解答ロジックに従い、SWOT分析から始めようと思います。
【外部環境】
┌────┬─────────────────────────┐
│ 機会 │1)受注の小ロット化の進展 │
│ │2)短納期要請の傾向が強い │
├────┼─────────────────────────┤
│ 脅威 │1)上製本需要の低迷 │
│ │2)価格競争の激化 │
└────┴─────────────────────────┘
【内部環境】
┌────┬─────────────────────────┐
│ 強み │1)顧客に距離的に近い位置に立地 │
│ │2)誠実・品質が高いという顧客の評価 │
│ │3)中堅出版社との直接取引が大半を占める │
├────┼─────────────────────────┤
│ 弱み │1)他社と比較して価格がやや高い │
│ │2)
売上高の減少と相対的なコストの上昇 │
│ │3)生産管理能力(生産計画、工程管理、作業管理) │
└────┴─────────────────────────┘
機会および脅威については、今回の事例ではあまり記述されていないように思
われます。それと、機会/脅威それぞれついて、解答欄に記述する際は「小ロ
ット・短納期要請」「上製本需要の低迷と価格競争の激化」と1つにまとめて
も良さそうですが、ここでは個別に認識しておきたいと思います。
強みについては、すべて与件文の2段落目から拾っています。1番目と2番目
については拾いやすいですね。3番目をなぜ挙げたか、については与件文の4
段落目を根拠としています。
「製本業は、通常、出版社、印刷業者、または同業者から製本を受注」
の部分ですね。出版社からの受注以外は下請け的な受注であると考えました。
C社は、
・得意先の大半が出版社であることから下請的は受注が少ない
・それは利益面等において強みと言えるのではないか
というロジックです。
弱みの3点目については、第2問の設問1~設問3で問われている内容をその
まま挙げました。
以上をC社の環境分析として、続いて解答ロジックの2番目である「競争戦略
の策定」について検討していきたいと思います。ここではポーターの「3つの
基本戦略」を使って考えてみます。
競争の源泉
コスト 差別化
┌─────────────┬─────────────┐
広│ │ │
競 い│ コスト・リーダーシップ │ 差別化 │
争 │ │ │
の ├─────────────┼─────────────┤
範 │ │ │
囲 狭│ コスト集中 │ 差別化集中 │
い│ │ │
└─────────────┴─────────────┘
C社の場合は中小企業ですので、競争の範囲を広くとることは基本的には困難
であると考えられます。したがって、「広い」の象限にある戦略はここでは対
象外となります。もともとC社の対象としている市場が
・上製本
・中堅出版社
を中心としているため、競争の範囲は既に「集中化」されていると仮定して差
し支えないと考えられます。では、「コスト集中」「差別化集中」のうち、ど
ちらの戦略を
採用すべきなのでしょうか?
まず「コスト集中」を
採用した場合には、
「生産管理の強化によりコスト競争力を高め、低価格競争で優位性を発揮」
が競争戦略の方向性になると考えられます。競争の源泉を「コスト」に求める
場合、基本的には低価格でのシェア拡大が重要な目的のひとつ、になるのでは
ないでしょうか。
その点を踏まえて、C社が「コスト集中」戦略を
採用した場合どうなるか、を
考えてみます。
【良いシナリオ】
価格を基準とする受注競争には勝てる可能性が高まる
~~~~
【悪いシナリオ】
上製本需要は低迷しており、
売上高も10年前の75%しかないため、
シェアの拡大を狙うことが困難であるとともに、利益率が更に低下する
恐れがある
中小企業の戦略として「低価格化によるシェア拡大」は基本的には難しいでし
ょう。良いシナリオについても単なる消耗戦となってしまう可能性があります。
これにより、C社にとって「コスト集中」戦略はふさわしくない、と判断でき
そうです。
次に「差別化集中」戦略を
採用した場合には、
「生産管理の強化により小ロット/短納期対応を可能とし優位性を発揮」
が競争戦略の方向性になると考えられます。競争の源泉を「差別化」に求めた
場合、C社の「他社と比較して価格がやや高い」という不利な状況を克服でき
る可能性が高まります。つまり「高価格の維持」が可能になるのではないか、
ということです。これは差別化を図るうえでの重要な目的のひとつである、と
いえるのではないでしょうか。
では、C社が「差別化集中」戦略を
採用した場合はどうなるのか、についても
考えてみます。
【良いシナリオ】
小ロット/短納期ニーズへの対応により差別化を図り、価格競争の回避
と受注獲得の機会損失を低減させる
【悪いシナリオ】
段取り替え回数の増加や工程の混乱によって約束した納期を守れないこ
とが多くなる
通常、短納期対応といった場合には在庫の増加が懸念されますが、C社の場合
はすべて受注生産のため、在庫で問題が発生することは考えにくいでしょう。
【悪いシナリオ】については既に与件文にも書かれていますね。顧客ニーズに
応え、機会を捉えるためにも生産管理を強化しなければならないようです。
ここまでの検討によって、C社の「戦略ドメインの再構築」が可能になりまし
た。以下のようになると考えられます。
誰に:直接取引が可能な中堅出版社を中心に
何を:小ロット/短納期での上製本加工を
どのように:誠実な対応と高品質な加工技術によって
C社の「今後の生産面におけるセールスポイント」が入った戦略ドメインにな
っていると思いますがいかがでしょうか。
なんだか長くなってしまいましたが、ここまでの検討内容をもとにして参考解
答を組み立てていきたいと思います。
【使用可能なキーワード】-----------------------
ここまでの検討で出てきたキーワードの中から参考解答に使えそうなものを挙
げておきます。
【SWOT分析】
「外部環境」
・小ロット・短納期要請
・上製本需要の低迷と価格競争の激化
・受注の機会損失
「内部環境」
・顧客と距離的に近い立地
・誠実な対応と高品質な上製本加工
・他社と比較してやや高い価格と高コスト体質
・生産管理の不備
【競争戦略】
・差別化集中戦略
【生産面でのセールスポイント】
・生産管理の強化による小ロット・短納期対応
こんなところでしょうか。ちょっとSWOT分析のキーワードが多めですね。
参考解答にうまく入れることができるでしょうか。とりあえずこれらをうまく
使って参考解答を書いてみたいと思います。
【文章構成の設計】--------------------------
文章構成は【題意の把握】で書いたように
1.SWOT分析の結果
2.競争戦略を策定
3.C社の生産面でのセールスポイント
というロジックをそのまま記述することで、質問に対応した解答とすることが
できそうです。
文章の書き始めは
「C社の外部環境は、1)「機会」、2)「脅威」などがある。内部環境は、
1)「強み」、2)「弱み」などがある」
として、SWOT分析をまとめたいと思います。それに続いて
「優位性を確保するための生産面でのセールスポイント」
を記述していこうと思います。もちろん、文章の締めは
「~すべきである」
としたいところです。設問文で「~すべきか」と問われてますからね。
あとは、それぞれの内容についてどのくらいのボリュームで記述するかを考え
なければいけませんね。SWOT分析は100文字程度は使ってしまいそうで
す。キーワードを織り交ぜながら内容のバランスを考慮して参考解答を記述し
ていきたいと思います。
「参考解答」=============================
C社の外部環境は、1)小ロット・短納期要請の高まり、2)上製本需要の低迷
と価格競争激化による機会損失の発生などである。内部環境は、1)顧客と距離
的に近い立地と誠実で品質が高いという顧客からの評価、2)他社と比較してや
や高い価格と高コスト体質、生産管理の不備などである。今後は、生産管理の
強化による小ロット・短納期対応をセールスポイントとして差別化を図り、誠
実な対応と高品質な上製本加工を提供すべきである。
===================================
結果的にはS・W・O・Tをすべて記述する形になってしまいました。SWO
T分析だけで100字超えてますね。バランス的にどうかと思いますが...
本当は「~をセールスポイントとすべきである」で文章を締めたかったですね。
最後の部分は蛇足的な感じがしています。設問文では「~を提供すべきか」と
は聞いてませんからね。これは減点対象かな?長い文章もむずかしいですね。
今回はここまでとさせていただきます。
次回は「平成14年度:事例 III」の第2問(設問1)から分析・解説します。