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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
石下雅樹法律・
特許事務所 第36号 2009-11-11
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http://www.ishioroshi.com/
法律相談のお申し込みは
http://www.ishioroshi.com/btob/soudan_firstb.html
顧問
契約についての詳細は
http://www.ishioroshi.com/btob/komon_firstb.html
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0 お詫びと再刊のご挨拶
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大変ご無沙汰をいたしております。当メールマガジンは、多忙等の諸事情から、
2008年4月7日の第35号をもって休刊となっておりました。休刊によってご迷惑を
おかけしたことをお詫びいたします。
この度事情の調整がつき、復刊の運びとなりました。今後は以前の轍を踏まず、
できる限り末永く発行を続けて参る所存でございますので、何卒引き続きのご愛
読を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
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1 今回の判例 「こくうま」
商標と記述的
商標
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
H21.07.21 知財高裁判決
平成19年1月26日、A社は、指定商品を「キムチ」とする「こくうま」と
いう
商標の登録を受けました。
これに対し、「こく旨」と表記してキムチを販売してきたB社は、上記
商標は
「その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる
商標」
(
商標法3条1項3号)であるとして、
特許庁に対して、無効審判の請求をしま
した。
平成20年12月19日、
特許庁は、B社の無効審判の請求を認めない審決を
したため、B社がこの審決の取消を求め、知財高裁に提訴しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2 判決の概要
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【結論】請求棄却(審決維持)
【理由】
知財高裁は、以下のように判断しました。
● 「こくうま」の語が国語辞典に掲載されていたことを認めるに足りる証拠が
なく、「こくうま」の語は、日本語として一般的に用いられているとまでいうこ
とはできない。
● 食品の品質等を暗示ないし間接的に表示するものとはいえても、直接的に表
示したものとまでいうことはできず、平仮名の「こくうま」の表記がキムチに使
用されている例がA社の商品以外は認められないことなどから、「こくうま」の
商標を「キムチ」に用いた場合、需要者が、「こくがあってうまい」というキム
チの品質それ自体を表示するものと認識されるとまでいうことはできない。
● 当該
商標が、「その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみ
からなる
商標」(
商標法3条1項3号)に当たるとは認められない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3 解説
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【記述的
商標とは】
商標法は、一定の場合に
商標の登録ができない事由(不登録事由)を定めてお
り、その中の一つが、この裁判で問題となった、その商品の品質などを普通に用
いられる方法で表示する標章のみからなる
商標(
商標法3条1項3号)です。
正確には、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状
(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又
はその
役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、
価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章の
みからなる
商標」が登録できません。
このような
商標を「記述的
商標」といいます。さらに例を挙げれば、アサヒビー
ルの「本生」についても、知財高裁平成19年3月28日判決は、「
本願商標は、
これを本願指定商品中『熱処理をしていないビール風味の麦芽発泡酒』に使用し
ても、これに接する需要者をして、単に商品の品質を表示したものと認識させる
にすぎず、
商標法3条1項3号に該当する」と判断しました。
しかし、具体的な事例において、記述的
商標と判断されるものとそうでないもの
の区別は難しい場合があります。
前記「こくうま」の事例では、A社は、平成17年6月21日に「食用油脂、乳
製品、卵、冷凍野菜、肉製品、加工水産物、加工野菜及び加工果実、豆乳、カレー
・シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、なめ物」等を指定商品
として「こくうま」の
商標登録出願をしました。しかし、
特許庁から「本件
商標
を指定商品に使用しても、該商品が美味であることを理解させるにとどまるから、
商標法3条1項3号に該当する」旨の
拒絶理由通知を受けたため、指定商品を
「キムチ」のみとする補正を行って、本件
商標登録をしたという経緯がありまし
た。
つまり、「こくうま」の
商標については、「食用油脂、乳製品、卵、冷凍野菜、
肉製品、加工水産物、加工野菜及び加工果実、豆乳、カレー・シチュー又はスー
プのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、なめ物」などに使う場合には、記述的
商標
となりますが、「キムチ」に使う場合には、記述的
商標とはならなかった訳です。
【商品名選定の際の注意点】
商品名の選定の際には、以上のような
商標法の考え方を踏まえて検討する必要
があります。
多くの場合、その商品の特徴・種類・内容を示す
商標が好まれて使用されてい
ます。このネーミングは、消費者に商品・サービスの特徴を比較的短期間に記憶
してもらえる効果が期待できます。それで、今まで世の中になかった画期的な技
術又は機能を
採用した商品である場合、同様の商品がなかったという商品の場合、
商標が短期間使用される予定のものである場合には、効果的でしょう。
ただし、上で述べたとおり、商品の性質・特徴・用途を直接示す言葉は、「記
述的
商標」として、登録を受けることができません。それで、ネーミングでその
商品の特徴・種類・内容をうまく暗示しつつ、記述的
商標と判断されることを避
けるためにはそれなりの考慮が必要であり、このバランスについて判断が難しい
場合があります。
この点については、ネーミングの候補選定の段階で、弁理士・
商標法を扱う弁
護士に、過去の判例・審決例等からの検討をしてもらい、そのネーミングについ
て
商標登録を受けられる可能性を踏まえた上で商品名の選定を行うことは重要と
いえるでしょう。
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本マガジンの無断複製,転載を禁止します。
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【編集発行】石下雅樹法律・
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〒220-0011 神奈川県横浜市西区高島2-10-13
横浜東口ビル4階
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1 今回の判例 「こくうま」商標と記述的商標
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H21.07.21 知財高裁判決
平成19年1月26日、A社は、指定商品を「キムチ」とする「こくうま」と
いう商標の登録を受けました。
これに対し、「こく旨」と表記してキムチを販売してきたB社は、上記商標は
「その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」
(商標法3条1項3号)であるとして、特許庁に対して、無効審判の請求をしま
した。
平成20年12月19日、特許庁は、B社の無効審判の請求を認めない審決を
したため、B社がこの審決の取消を求め、知財高裁に提訴しました。
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2 判決の概要
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【結論】請求棄却(審決維持)
【理由】
知財高裁は、以下のように判断しました。
● 「こくうま」の語が国語辞典に掲載されていたことを認めるに足りる証拠が
なく、「こくうま」の語は、日本語として一般的に用いられているとまでいうこ
とはできない。
● 食品の品質等を暗示ないし間接的に表示するものとはいえても、直接的に表
示したものとまでいうことはできず、平仮名の「こくうま」の表記がキムチに使
用されている例がA社の商品以外は認められないことなどから、「こくうま」の
商標を「キムチ」に用いた場合、需要者が、「こくがあってうまい」というキム
チの品質それ自体を表示するものと認識されるとまでいうことはできない。
● 当該商標が、「その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみ
からなる商標」(商標法3条1項3号)に当たるとは認められない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3 解説
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【記述的商標とは】
商標法は、一定の場合に商標の登録ができない事由(不登録事由)を定めてお
り、その中の一つが、この裁判で問題となった、その商品の品質などを普通に用
いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)です。
正確には、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状
(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又
はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、
価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章の
みからなる商標」が登録できません。
このような商標を「記述的商標」といいます。さらに例を挙げれば、アサヒビー
ルの「本生」についても、知財高裁平成19年3月28日判決は、「本願商標は、
これを本願指定商品中『熱処理をしていないビール風味の麦芽発泡酒』に使用し
ても、これに接する需要者をして、単に商品の品質を表示したものと認識させる
にすぎず、商標法3条1項3号に該当する」と判断しました。
しかし、具体的な事例において、記述的商標と判断されるものとそうでないもの
の区別は難しい場合があります。
前記「こくうま」の事例では、A社は、平成17年6月21日に「食用油脂、乳
製品、卵、冷凍野菜、肉製品、加工水産物、加工野菜及び加工果実、豆乳、カレー
・シチュー又はスープのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、なめ物」等を指定商品
として「こくうま」の商標登録出願をしました。しかし、特許庁から「本件商標
を指定商品に使用しても、該商品が美味であることを理解させるにとどまるから、
商標法3条1項3号に該当する」旨の拒絶理由通知を受けたため、指定商品を
「キムチ」のみとする補正を行って、本件商標登録をしたという経緯がありまし
た。
つまり、「こくうま」の商標については、「食用油脂、乳製品、卵、冷凍野菜、
肉製品、加工水産物、加工野菜及び加工果実、豆乳、カレー・シチュー又はスー
プのもと、お茶漬けのり、ふりかけ、なめ物」などに使う場合には、記述的商標
となりますが、「キムチ」に使う場合には、記述的商標とはならなかった訳です。
【商品名選定の際の注意点】
商品名の選定の際には、以上のような商標法の考え方を踏まえて検討する必要
があります。
多くの場合、その商品の特徴・種類・内容を示す商標が好まれて使用されてい
ます。このネーミングは、消費者に商品・サービスの特徴を比較的短期間に記憶
してもらえる効果が期待できます。それで、今まで世の中になかった画期的な技
術又は機能を採用した商品である場合、同様の商品がなかったという商品の場合、
商標が短期間使用される予定のものである場合には、効果的でしょう。
ただし、上で述べたとおり、商品の性質・特徴・用途を直接示す言葉は、「記
述的商標」として、登録を受けることができません。それで、ネーミングでその
商品の特徴・種類・内容をうまく暗示しつつ、記述的商標と判断されることを避
けるためにはそれなりの考慮が必要であり、このバランスについて判断が難しい
場合があります。
この点については、ネーミングの候補選定の段階で、弁理士・商標法を扱う弁
護士に、過去の判例・審決例等からの検討をしてもらい、そのネーミングについ
て商標登録を受けられる可能性を踏まえた上で商品名の選定を行うことは重要と
いえるでしょう。
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