相談の広場
未上場の株式を発行会社に買取させようと思います。この発行会社は信託銀行等に証券代行業務委託の契約をせず、自社管理としているようです。信用ある第三者が介在していないので、取引について若干不安です。留意点があればお教え下さい。また売買代金の受領については通常の形になるのでしょうが、株の引渡しは、実際問題として発行会社が現物を保管しています。株の引渡しは名義書換えの依頼書を提出するだけになると考えて良いのでしょうか。
ご教示、宜しくお願い致します。
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知ろうと集団さんこんにちは。
御社が所有している未上場会社(A社)の株式を
A社に買取させると言う話でよいでしょうか?
まず確認するのは、A社が
御社が所有しているA社株式が譲渡制限があるかを確認してください。
譲渡制限ありの場合は、A社の取締役会(取締役会非設置会社の場合は株主総会)による承認が必要です。
譲渡制限なしの場合は、相対取引になるのでお互いの合意でできます。
次にA社が株券発行会社か株券不発行会社か?です。
株券発行会社の場合は、おそらく株券不所持となっているので、株券不所持証明書をA社から入手してください。
御社には株主名簿の閲覧権がありますので
株券発行の有無に限らず株主名簿のコピーを入手して置いたほうがよいです。
売却価格の算定については、いろいろな方法がありますが、
明らかに不当な価格とならないようにしてください。
(会計監査、税務調査などで不正取引とされることがあります)
名義書き換え等は、受け取り側がします。
あとは有価証券の売買として処理すればよいはずです。
簡単ですが。
> ご教示、宜しくお願い致します。
> 未上場の株式を発行会社に買取させようと思います。この発行会社は信託銀行等に証券代行業務委託の契約をせず、自社管理としているようです。信用ある第三者が介在していないので、取引について若干不安です。留意点があればお教え下さい。また売買代金の受領については通常の形になるのでしょうが、株の引渡しは、実際問題として発行会社が現物を保管しています。株の引渡しは名義書換えの依頼書を提出するだけになると考えて良いのでしょうか。
> ご教示、宜しくお願い致します。
株式会社は、会社法に規定されている場合に限り、自己株式を取得できます。(会社法第2編第2章第4節)
株式会社が自己株式を取得できるのは、
会社法
◆取得条項付株式を取得する場合(155条1号)
◆譲渡制限株式の譲渡承認請求があった場合(155条2号)
◆総会決議に基づき株主との合意により有償で取得する場合(155条3号)
◆取得請求権付株式を取得する場合(155条4号)
◆全部取得条項付種類株式を総会決議に基づき取得する場合(155条5号)
◆相続人等に対する売渡請求による取得(155条6号)
◆単元未満株式の買取請求があった場合(155条7号)
◆所在不明株主の株式を売却する場合(155条8号)
◆端数株を売却する場合(155条9号)
◆他の会社の事業全部の譲り受ける際に他の会社が有する自己株式を取得する場合(155条10号)
◆合併の際に消滅会社から承継する場合(155条11号)
◆吸収分割の際に分割する会社から承継する場合(155条12号)
◆法務省令で定める場合(155条13号)
会社法施行規則
◆自社の株式を無償で取得する場合(会社法施行規則第27条第1号)
◆他の法人等が行う剰余金の配当又は残余財産の分配により自社の株式の交付を受ける場合(会社法施行規則第27条第2号)
◆他の法人等の組織変更・合併等に際して自社の株式の交付を受ける場合(会社法施行規則第27条第3号)
◆他の法人等が新株予約権等の定めに基づく新株予約権等の取得と引換えに自社の株式の交付を受ける場合(会社法施行規則第27条第4号)
◆反対株主の株式買取請求(会社法第116条第5項、第469条第5項、第785条第5項、第797条第5項又は第806条第5項)に応じて自社の株式を取得する場合(会社法施行規則第27条第5号)
◆合併後消滅する会社以外の法人等から自社の株式を承継する場合(会社法施行規則第27条第6号)
◆会社及び外国会社以外の法人等の事業の全部を譲り受ける場合において、当該他の法人等の有する自社の株式を譲り受ける場合(会社法施行規則第27条第7号)
に限られます。
上記の場合以外で会社が自己株式を取得しても原則として無効になります。
知ろうと集団さんがお持ちの株式がどのようなものなのか、またどのような理由で発行会社に買取させようと思っているのか分かりませんのではっきりとは言えませんが、それぞれ規定された手続等を取る必要がありますので、名義書換えの依頼書を提出するだけでは無理だと思います。
補足いたします。
> 御社が所有している未上場会社(A社)の株式を
> A社に買取させると言う話でよいでしょうか?
>
> まず確認するのは、A社が
>
> 御社が所有しているA社株式が譲渡制限があるかを確認してください。
>
> 譲渡制限ありの場合は、A社の取締役会(取締役会非設置会社の場合は株主総会)による承認が必要です。
譲渡制限株式を発行会社が取得するには、譲渡制限株式の株主から第三者への譲渡承認請求(会社法第136条)または株式取得者(第三者)からの取得承認請求(会社法第137条)に対して、発行会社の株主総会(取締役設置会社の場合は取締役会)で承認をしない旨を決定し、更に株式総会において自社で買取る旨の決議を経なければなりません(会社法第140条)。
また、株主または株式取得者からの承認請求には、譲渡承認をしない場合に発行会社が株式を買取るよう請求する旨の記載が必要です(会社法第138条)。
※発行会社と株主との合意による場合は、下記参照してください。
> 譲渡制限なしの場合は、相対取引になるのでお互いの合意でできます。
お互いの合意による場合には、発行会社の株主総会での決議(特定の株主からの買取の場合には特別決議)が必要です。(会社法第156条~第164条、第309条第1項・第2項第2号)
※譲渡制限がついている場合も同様です。
> 橘高寛行政書士事務所 様
>
> ご回答戴き、お礼申し上げます。
> 本件、会社法に従い、すでに先方の社内手続き(定款に基づき取締役会の承認)は完了していますので。
> 詳細にわたるご教示、ありがとうございました。
知ろうと集団さんの言われている「取締役会の承認」が何についてのものなのかは分かりませんが、「取締役会の承認」だけでは、株式会社にその会社の株式を売ることは無理だと思います。
譲渡制限株式の譲渡承認請求に対する不承認の場合には会社法第140条で、また発行会社と株主との合意による場合には会社法第156条~第160条で、それぞれ株主総会の決議を必要としています。
※株主総会の特別決議になります(会社法第309条第2項)。
そして会社法で定められている株主総会の決議事項を、定款で取締役会等の決議事項とすることは出来ないように規定されています(会社法第295条第3項)。
また株主平等の原則や株主保護の面から見ても、株主総会の決議は必要です。
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