
仕事を辞める前兆とは?社員の退職フラグを見逃さない対応策
人材不足が謳われる中、社員一人ひとりの存在はこれからますます重要になるでしょう。その一方で、退職者が後を絶たなかったり、突然の「退職します」発言に驚いたりするなど、度重なる社員の退職に対処できていない会社もあります。
そこで今回は、退職を考えている社員の前兆について紹介をしていきたいと思います。前兆がみられる社員の言動や対処法を具体的に解説しますので、ぜひ参考にして下さい。
目次
仕事を辞める人の前兆とは

出典: 川竜 / PIXTA(ピクスタ)
仕事を辞めようと考えている社員には、何らかの前兆が多くみられます。どのようなケースが考えられるでしょうか。
ケース1:不満をいわなくなった
会社に対して見切りをつけたような態度を取る場合です。これまでは、会社や同僚、上司に対する不満を並べていた社員が、突然何もいわなくなったときは注意が必要です。「この会社に何をいっても無駄だ」「この会社に改善を求める時間や労力がもったいない」と考え、退職の準備をしている可能性があります。
ケース2:コミュニケーションを取らなくなった
同僚との会話が減ったり、これまで複数人で取っていたランチを一人でとるようになったり、会社の飲み会を断るようになったときもその兆候の一つと考えられます。「もう退職するから会社のメンバーと必要以上にコミュニケーションを取る必要がない」と考えている可能性があるからです。一般的に断りづらいと考えられる上司からのお誘いやいつもは参加していた集まりを、複数にわたって断っている場合は要注意といえるでしょう。
ケース3:仕事の整理を始めた
自身の仕事の整理や引き継ぎ書、マニュアルなどを作成し始めた場合も、退職を前提とした行動の一つとして考えられます。意図を尋ねても、「いざというときに備えている」「たまには仕事の見直しをしないといけないよね」などと返され、本当の理由を煙に巻かれてしまうこともあるため、見逃しやすいケースでもあります。また、後輩の指導に急に熱が入る場合なども前兆の一つになる場合があるので注意が必要です。
ケース4:残業をしなくなった
その他の要因として、残業をしなくなった場合も注意が必要だと心に留めておきましょう。長時間労働が社会問題化して久しい昨今、業務の効率化を推進している会社が多いことから、残業時間が減って成果を感じて喜ぶ会社も少なくありません。しかし、その残業時間のカットは本当に社員の能力や効率化によるものなのかを検討してみてください。他の社員に仕事を任せることに抵抗がなくなっている場合や、目の前の仕事を放り出して帰社しているかもしれません。退職を視野に入れた社員が、会社や他の社員に気を使う必要がなくなり、退社時間になったらあっさりと帰るパターンに陥ったため残業時間が減っている可能性があるためです。
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なぜ社員は辞めてしまうのか
社員が会社を辞めてしまう要因はさまざまです。とくに若い世代で多くみられるのは、仕事へのやりがいや仕事量が挙げられます。“ワーク・ライフ・バランス”という言葉もすでに浸透し、昔のように「会社に身を捧げる」社員は減少しました。転職に対するハードルも低くなり、自身の生活スタイルを崩されるような仕事量や、本当にやりたいことではない仕事を任されたりすると退職を検討するケースが多くみられます。また、仕事のやりがいには、賃金や待遇面への不満も含まれます。自身の成果に対する正当な評価が得られないと判断した場合は、別の会社への転職を視野に入れる人も少なくありません。
さらに、人間関係のトラブルによる退職も依然として問題視されています。とくにコロナ禍を経て、社員同士のコミュニケーション不足により人間関係が希薄になりがちな傾向があります。さまざまな要因が合わさってメンタルに支障をきたすケースも少なくなく、退職という選択肢を取る人も多くみられます。
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退職を検討しているという前兆をキャッチするには
社員の退職を食い止めるためには、退職の前兆を見逃さず、適切な対応をしていく必要があります。
1)前兆をキャッチできるような体制づくり
まずは各部署の長に対して、退職の前兆となる言動を共有しておきます。実際に「あれ?」と思うような言動が増えた社員や行動に違和感がある場合は、早急に直属の上司と1on1で面談の機会を設けることから開始しましょう。
面談の際に心がけるポイントとしては、社員の心の奥底にある“本音”を引き出すことです。退職の要因となる内容が明らかにならないことには、目の前の社員はもちろん、他の社員にも退職の連鎖が広がってしまう可能性があります。
業務量に対する不満がみられる場合は仕事分担の再確認を、仕事へのやりがいに対する不満がみられる場合はキャリアプランの共有を行うなど、迅速な対応で問題を解決していくのが重要になります。あらかじめ、社内で考えられる不満内容やその対処法を想定しておくことで、より効果的に問題解決の糸口がつかめるようになるでしょう。
2)社内ネットワークの充実
常日頃より社内で円滑にコミュニケーションを取れるような機会を設け、社内ネットワークを充実させておく方法も有効です。社員同士が気軽に意見交換や雑談ができるような環境を整えておくことで、「辞めたい」と考える社員の話をより迅速にキャッチできるようになります。
また、社内イベントやコミュニケーションゲームなどの導入も効果がありますが、社員同士が気軽に会議や打ち合わせ、ちょっとした話ができるような座席配置やスペースを設けることも有効な手段の一つとなるでしょう。
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会社への不満が退職理由には要注意!組織全体で改善を
転職を前提にキャリアを考える時代になった昨今で、すべての退職がネガティブなものではないでしょう。しかし、辞めてしまう要因が、自己実現や「次のステップへ進む」などのポジティブな理由ではなく、「●●に納得がいかない」「この会社では将来性が見込めない」などネガティブな要因である場合は、退職してしまう当該の社員だけではなく、他の社員も同じように感じており、連鎖退職が発生する可能性もあります。
そのため、退職してしまう前に自社に満足していないポイントや改善点などのヒアリングを行いましょう。見えていなかった課題が顕在化するかもしれません。その場合は、経営者を主体に会社として問題意識を持ち、改善を進めていきましょう。
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* 川竜,RichR,徳宮なっつ,poosan / PIXTA(ピクスタ)