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出生時育児休業 産後パパ育休

【2022年10月から】未着手の企業は要注意…男性育休取得促進のために企業が対応すべきこと【育児・介護休業法改正】

2022.07.29

2021年に育児・介護休業法が改正され、男性の育児休業取得を促進するための対応が求められる運びとなりました。特に中小企業の場合、一人ひとりが担う業務が多いことから、休業の申し出をしづらい環境に置かれているケースが非常に多くみられます。今回は、改正内容の概要や男性社員が育児休業を取得する際のメリット、取得推進のために具体的に企業が取り組まなければならない対応について、順を追って見ていきましょう。

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法は、正式名を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といい、育児休業や介護休業の取得をする労働者や、育児・介護と仕事を両立する労働者を支援するための法律です。ここでは、育児介護休業法で定められている内容のうち、主な制度の一つである育児休業制度の概要について説明しましょう。

育児休業は、幼い子どもを養育している労働者が申し出を行うことで取得できる休業のことです。育児休業期間は、子どもが1歳を迎えるまでが原則ですが、保育園へ入所できなかった場合などの事情により、1歳半まで延長することができます。なお、子どもが1歳半を迎える時期にも保育園事情などの状況が変わらない場合は、さらに子どもが2歳になるまで延長することが可能です。

会社側は、労働者が育児休業の取得を申し出た場合は、継続雇用期間が1年に満たない場合や1年以内に退職する予定の場合、1週間に2日以下の短時間出勤者である場合などを除き、申し出を断ることはできません。

男性育休取得に向けた育児・介護休業法の改正内容とは

共働き世帯の増加により育児休業の取得率は増加傾向にあるものの、男性社員の育児休業取得率の低さが依然として問題視されています。まだまだ育児のメインを担うのは女性というイメージが強く、一般的に男性が家事・育児にかかわる時間が短い*ことや、職場で育児休業希望を言い出しづらい男性社員が少なくない等の問題が原因として挙げられるでしょう。

【参考】*「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等」 / 厚生労働省

このような状況を受け、2021年に育児・介護休業法が改正されました。今回の改正ではさまざまな内容が変更される予定ですが、その中のメインとなる内容が「男性の育児休業取得を促進するための施策」になります。具体的な内容について見ていきましょう。

【こちらの記事も】【2022年4月から】育児・介護休業法が大改正!中小企業が押さえるべき制度概要【社労士が解説】

①産後パパ育休制度

別名を「出生時育児休業」といい、男性社員が育児休業とは別に、子どもの出生後8週間以内の期間で、最大で4週間まで休業を取得することができる制度です。休業をする2週間前までに申し出を行うことで、2回に分けて休業を取得することもできます。

子どもの出生後8週間は、女性社員の場合は産後休業の期間にあたります。産後休業は、母親自身の体力の回復と育児リズムを整える重要な期間となることから、この時期に男性社員が休業を取得することで、産後の生活リズムを両親がともに作り上げることが可能になり、男性が育児に携わる習慣をつくるきっかけになると考えられています。

②育児休業の分割取得

改正前までは、育児休業の取得回数は出産回数につき1回で、延長が選択できる時期についても子どもが1歳、1歳半、2歳を迎えるタイミングと決められていました。

今回の法改正により、この育児休業が2回に分けて取得できるようになりました。この制度が設けられた経緯には、育児休業の分割取得を認めることで、両親が交代で育児休業を取得することが可能になり、女性社員に加えて男性社員も積極的に育児休業を取得できるようにするという狙いが含まれています。

【参考】 「令和3年改正法の概要」 / 厚生労働省

【もっと詳しく】【2022年10月施行】改正育児介護休業法で育休の分割取得が可能に、企業の対応は?

男性社員の育休取得を推進するメリットとは

社員が育児休業を取得すると、休業期間の仕事の穴埋めなど企業側には懸念点が生じることも事実です。

その一方で、企業にとってはこれまで特定の社員がこなしていた仕事を洗い出せるメリットがあるとも言えます。長時間労働を強いる時代はとうに過ぎ、現在は業務をより効率化させ、少ない投資で生産性を上げる経営が推奨されています。特定の社員しか業務を把握しておらず、その社員が抜けた場合に仕事が回らない、という事態は避けなければなりません。男性社員の育児休業取得は、非効率的な仕事を見つけるタイミングだと考えるようにしてみてはいかがでしょうか。

また、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革が推奨される中、男性社員の育児休業取得を促進している企業は、対外的なイメージアップを図ることができます。仕事だけではなく、家庭などのプライベートな時間を重要と考える優秀な人材が集まるきっかけになる可能性もあるでしょう。

取得推進のために取り組まなければならないこと

2022年の育児・介護休業法の改正では、育児休業をより多くの社員が取得できるような環境を整備するため、雇用環境の整備や本人または配偶者が妊娠・出産をする旨を申し出た社員に対して個別の対応をすることが義務づけられています。

雇用環境の整備は、次の4種類の措置のうちいずれかを講じなければなりません。ただし、複数の措置を講じることが望ましいとされています。

①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業・産後パパ育休に関する相談窓口の設置、受入れ態勢の整備
③実際に育児休業や産後パパ育休を取得した自社社員の事例紹介
④育児休業・産後パパ育休制度の概要や、取得促進に関する方針の周知

また、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た社員に対する個別対応の際には、以下の内容を周知した上で、休業の取得意向を確認しなければなりません。

①育児休業・産後パパ育休制度の内容
②育児休業・産後パパ育休を申し出る相手先(誰に申し出れば良いか)
③育児休業給付に関すること
④労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

上記は2022年4月1日に施行されている内容ですが、産後パパ育休については、2022年10月1日から対象となります。

【参考】「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」 / 厚生労働省

【もっと詳しく】【2022年4月・10月】育児・介護休業法改正で企業が対応すべきことは?

まとめ

今回の法改正では、男女問わず育児休業を取得しやすい環境づくりが義務づけられることから、国も男性の育児休業取得率の低さを重く見ていることが伺えます。各企業はくれぐれも、雇用環境の整備や個別対応の際に育児休業の取得を社員に控えさせる対応を取らないよう気をつけましょう。以下の厚生労働省のサイトでは雇用環境整備や個別対応に活用できるページも紹介されていますので、社内で検討する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

【参考】「育児・介護休業法について」 / 厚生労働省

【こちらの記事も】導入したはいいけれど…育休復帰後の社員を円滑に進めるために知っておきたい3つのこと

【参考】「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等」 / 厚生労働省
「令和3年改正法の概要」 / 厚生労働省
「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」 / 厚生労働省

*mits、ururu、jessie、こんざい / PIXTA(ピクスタ)