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TOP > 記事一覧 > 経営・財務 > 業績が右肩上がり!急成長し続ける企業の特徴4つ【事例も解説】
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業績が右肩上がり!急成長し続ける企業の特徴4つ【事例も解説】

現代の市場環境は、変化が早く不確実性も高いため、企業が継続的に成長することは容易ではありません。しかし、その中で一部の企業は急成長を遂げており、それらの企業には共通する特徴があります。本記事では、急成長企業の共通点と、業績を伸ばすためにできることについて解説します。

急成長企業の特徴

日本政策金融公庫の調査月報2019年No.127によると、急成長企業に共通する特徴は主に4つあります。この調査では1,268社の企業の成長フェーズを従業員の増加率に応じて「自己雇用企業(自営業、個人事業主など)」「縮小企業」「現状維持企業」「成長企業」「急成長企業」に分類しています。

1)資金調達により財務基盤が強固である

特徴の一つとして、財務基盤の強さが挙げられます。その中で、開業前に資金調達を受けていた企業は以下のような結果でした。

自己雇用企業・・・75.7%
縮小企業・・・71.1%
現状維持企業・・・76.4%
成長企業・・・77.1%
急成長企業・・・80.0%

さらに5年後にも追跡調査では、以下のような結果でした。

自己雇用企業・・・19.3 %
縮小企業・・・19.8%
現状維持企業・・・26.0%
成長企業・・・31.9%
急成長企業・・・66.7%

開業前やその5年後も、急成長企業は資金調達を受け、堅固な財政基盤をもっていることが分かります。また、急成長企業ほど事業が軌道にのっても資金調達を継続的に続けていることも分かります。

2)専門家の支援を活用

急成長企業の一つの特徴として、外部の専門家からの支援を積極的に活用している点が挙げられます。

たとえば、資金調達以外にも開業5年後に「法律や会計の知識の習得」について外部からの支援を受けている企業は以下のように、圧倒的に急成長企業が多いのです。また、その他の支援についても同様の傾向が見て分かります。

自己雇用企業・・・33.6%
縮小企業・・・37.4%
現状維持企業・・・44.2%
成長企業・・・54.4%
急成長企業・・・79.2%

企業が急激に成長すると、成長フェーズで発生するさまざまな課題を解決していかなければ成長が頭打ちになってしまいます。資金調達、法律、会計、マーケティングなどの専門家たちは、それぞれの分野で豊富な経験と知識をもっており、企業の成長を助けるために最適なアドバイスや戦略を提供してくれるため、それらをうまく活用することが急成長するためには必要であると考えられます。

3)安さで勝負していない

急成長企業のもう一つの顕著な特徴は、安易に安さだけを売りにしないことです。先述した日本政策金融公庫の調査月報を見ると、急成長企業ほど安さを売りにしていないことがわかります。逆に成長していない企業は安さを売りにしている場合が多いです。

「同業他社と比べてどこが優れているか」という質問に対し、縮小企業は「安さ」という回答が10.6%である一方、急成長企業は2.5%しか「安さ」と答えていません。逆に、急成長企業が多く回答しているのは「速さ」です。縮小企業は「対応の速さ」という回答が19.6%である一方、急成長企業の40%が「対応の速さ」と答えています。

つまり、低価格競争に走ることなく、対応の速さといった”ホスピタリティの高さ”を売りにしているのです。もちろん、安いに越したことはないかもしれません。しかしそれ以上に、対応が素早いサービスは顧客満足度を向上させ、リピートや口コミでの評判を高めることに繋がります。その結果、ブランド力が向上し、競合他社との差別化を図ることができると考えられます。

4)デジタル技術の活用に積極的である

急成長企業は、デジタル技術を活用することに積極的です。最も急成長企業が多い業種は「情報通信業」です。もちろん、IT市場自体の成長率が高いことも一因ですが、ノウハウを社内で活用していることも要因として挙げられます。

デジタルマーケティングやSNSを通じて顧客とのコミュニケーションを図り、認知度向上や顧客獲得に努めることは企業の急成長に寄与します。また、ビッグデータやAI技術を駆使して、市場のニーズを把握し、効果的な戦略を立てることもできます。このように、インターネットを活用したマーケティング活動により、大勢の顧客に自社製品をPRし、スピード感を持ったビジネス展開が可能となります。こうした取り組みによって、急成長企業は競争力を維持し、持続的な成長を実現しているのです。

【参考】調査月報2019 No127/日本政策金融公庫

急成長企業の事例2選

大企業の急成長事例:中外製薬株式会社

中外製薬株式会社は、長期にわたって2桁成長を維持するなど、高い成長を続けている企業です。ここまでの高成長を支えている要因には親会社であるスイス製薬大手ロシュの支援と、DXへの投資が挙げられます。「DX銘柄2022」グランプリ企業に選出され、AIやロボティクスを活用して革新的新薬の開発や生産プロセスの効率化に取り組んでおり、リアルワールドデータ(RWD)を用いて、患者一人ひとりに対応した医療を提供する事例も注目されています。また、トップがDX推進にコミットメントし、DXの専門組織を設置するなど、全社的に取り組んでいる点が大きな特徴です。

【参考】
他社との比較でわかる中外製薬/中外製薬
「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」において「DXグランプリ2022」に選定/中外製薬

スタートアップの急成長事例:TANREN株式会社

TANREN株式会社は、2014年に創業し、接客教育アプリ「TANREN」を開発・提供している企業です。同社は3年で社員3名で顧客数を100社に伸ばすという驚異的な成功を収めました。IT活用やクラウドサービス連携による業務効率化を強みとして、迅速な顧客対応を実現しています。創業者の佐藤氏のプレゼン力により、創業時からさまざまな資金調達に成功したのも急成長を実現した一因といえます。同社はデジタル活用と資金調達の重要性を示す成功事例です。

【参考】
ITで時間と場所の制約を乗り越え〜販売技術の向上を支援/日本政策金融公庫
「TANREN株式会社」ITで鍛錬する次世代の接客教育/J-Net21

業績を伸ばすためにできること

①財務基盤を強化する

業績を延ばすためには財務基盤の強化が不可欠です。財務基盤が脆弱なまま無理に事業を急拡大すると、膨張する必要経費に耐えられずに黒字倒産してしまいかねません。財務基盤の強化には以下のような対策が考えられます。

  • 資金調達先の確保・・・銀行融資や公的資金、株式発行など、資金調達の適切な方法を検討しましょう。また、投資家や金融機関と良好な関係を構築しましょう。
  • キャッシュフローの改善・・・売掛金や在庫の回転率や支払いのタイミングを見直しましょう。
  • 予算の策定と管理:・・・事業計画に基づく予算を策定し、定期的に予算と実績を比較・分析して、財務状況を適切に把握しましょう。

【もっと詳しく】
中小企業の資金調達方法は?弁護士兼中小企業診断士が代表的な方法を解説
エクセルでキャッシュフロー計算書を作成する
エクセルで予実管理表を作成する

②外部専門家の支援を積極的に受ける

業績が急拡大していくにつれて組織に求められるあり方も変わってきますし、さまざまな課題を解決していく必要があります。自己判断だけではリスクが高いため外部専門家の支援を積極的に受けましょう。急成長企業がよく受けている外部の支援には以下のようなものがあります。

  • 資金調達に関する支援
  • 法律や会計の知識の習得
  • 総合的なマネジメント
  • 商品やサービスの企画・開発

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③ホスピタリティの向上

成長性があまり高くない企業によくある課題として「顧客開拓・マーケティングがうまくいかない 」というものがあります。

自社の商品に対する顧客の反応がいまいちなときは、ついつい値下げや安売りなどで誘引したくなりますが、安易な値下げは収益性を余計に悪化させるため、慎重に考えるべきでしょう。急成長企業は、安さで勝負せずに、品質や対応の早さといったホスピタリティの高さを売りにしています。なぜ顧客の反応がよくないのかを検証し、改善と品質の向上に取り組むことで顧客を惹きつけましょう。

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④デジタル技術を積極的に活用する

デジタル技術の積極的な活用は、企業の競争力向上や業績拡大に不可欠です。AI(人工知能)、IoT(インターネット・オブ・シングス)、ビッグデータ解析などの技術を利用し、業務プロセスの効率化や新たな価値創出を目指しましょう。ビッグデータ解析を通じて、市場トレンドや顧客ニーズの把握が容易になり、適切な戦略立案や意思決定が可能となります。

また、インターネットの活用は、企業の業績向上に大きく寄与します。オンラインマーケティングを最大限に活用し、顧客獲得やブランディングを効果的に行うことが重要です。SNSやSEO対策、コンテンツマーケティングなどを通じてターゲット顧客へアプローチしましょう。

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まとめ

急成長企業には共通する特徴があり、強固な財務基盤、外部専門家からの支援、安さで勝負しない、デジタル技術の活用に積極的であることなどが挙げられます。これらの要素を取り入れることで企業は業績向上の基盤を築くことができます。柔軟で強靱な経営を実現し、急成長企業を目指しましょう。

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*OKADA, emma, チキタカ(tiquitaca) / PIXTA(ピクスタ)

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