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「IT人材がいない、採用も難しい」中小企業が低コストでDXを進めるためには

2022.12.07

人手不足が恒常的な課題となってしまった現代日本において、DXをはじめ、需要が高いスキルを持った人材を採用することは大変困難な状況です。「社内の人材配置調整で進められたら」と思うところではありますが、最新のテクノロジーを理解し、機能性や市場の評判、価格合理性などを踏まえ判断できるようになるのは、一筋縄ではいかないでしょう。“人でなくてもできる作業を機械導入により適切にコスト比較しながら進める”そう思っても、それ自体の推進を担う人材がいないために進められないという矛盾状態に陥ってしまうことが、とくに中小企業においては少なくありません。

今回は、経営コンサルタントである筆者が、人材不足時代における中小企業のDX推進の始め方について解説します。このテーマは以前以下の記事でお伝えした、企業としての経営課題そのものとも密接にリンクしています。

前回の記事:リモートワークの弊害をどう乗り越える?コロナ禍で露呈した中小企業の経営課題

外部任せは最も避けるべき事態

「DX化、合理化はしたい、でも社内に担える人材はいない」となった場合にしばしば行われていることは、出入りの業者にその推進を任せてしまうことです。筆者は、多くの”無駄な過大IT投資”を行ってしまってから、事後に「どうしたら良いでしょう?」と相談をいただくことが少なくありません。

DX、RPA、AI導入などと直感的には具体的に何をするのか把握しにくい言葉を使って、製品・サービスを買ってもらおうとするシステム業者やコンサル業者が少なからず中小企業経営者の周りで虎視眈々と販売機会を狙っています。このような高額な投資を促す業者は、たとえ補助金や助成金を活用したとしても、決して安易に信用してはいけません。

筆者はテクノロジー活用においては“IT ROI(投資対効果)”という考え方を必須としています。ITに投資する場合、その投資額をどのような使い方でどのような効果を促してどれだけの期間で投資額を回収するのかという計画が具体的にない限り(業者から提案できない限り)、契約するべきではないと考えています。土地・建物などの契約と同様に、短期で高額の投資を必要とする場合、綿密な計画が必要です。決して計画の提案ができない外部業者の言いなりになってはいけません。彼らは売ってしまえばその時点でその取引はClosing(終了)したものと考えます。その先に実際の効果が出せるかどうかはケアしません。ROIの計算の仕方や検証の仕方はここでは本論ではないので別の機会に譲ることとしますが、ROIをしっかり計画し事業運営と並行してしっかり検証し続ける必要があります。

自社内で確実に進める方法~クラウド・サブスクリプション・ノーコードの活用

「では、どうしろというのだ」という疑問がなげかけたくなることと思います。ここでキーワードとなってくるのは、“クラウド”“サブスクリプション”“ノーコード”の3つです。順番にご説明しましょう。

①クラウド

クラウドとは、ITの機能がインターネット上で提供されるサービスです。サーバー、アプリケーションといったIT資産を自社保有するのではなく、インターネット上の共通基盤で提供されているサービスを利用料を支払って利活用できるのが特徴です。「クラウドは高い」とその黎明期には言われたことが多かったですが、必ずしもフル活用できるかどうか確信が持てないのに巨額なIT資産を保有するような投資形態が当然とされていた時代の価値観はすでに通用しません。出来上がってみて初めて良いものか悪いものかが分かるギャンブルのようなリスク投資は避けるべきです。クラウドであればITサービスを自社で資産として保有する必要は無く、必要性に応じて離脱すること、乗り換えることが可能になります。ビジネスやテクノロジー、環境の変化が増々スピードアップする中で、ビジネス判断の柔軟性がシステムによって毀損されるような状態は致命的と考えるべきです。

【参考】クラウドサービスとは? / 総務省

②サブスクリプション

サブスクリプションは、定額を支払っておけば必要な期間だけビジネスアプリケーションやアウトソースサービスを利用できるサービスです。利活用の理由はクラウドと共通する部分が多いでしょう。サブスクリプションが勃興してきた時期は音楽や映像などエンタメものが多かったですが、今やビジネス機能を提供するものこそが主流になりつつあります。

【参考】なぜ広がるサブスクリプションサービス / 国民生活センター

③ノーコード

最後にノーコードです。コードが無いこと、つまりコーディングというプログラミング言語を使ってプログラムを書く作業を必要としないツールをいいます。開発に関する専門知識がなくとも必要なシステム機能を自社に導入することができます。これもやはり上記クラウドやサブスクリプションの利用をセットに考えると利用しやすいです。標準的に用意された機能だけでは自社の業務に当てはめにくい場合がありますが、設定変更や機能の追加などをコーディングせずとも機能調整できるように作られたツールを用いることで、大幅に手間を減らしてシステム利用ができるようになります。

【こちらの記事も】どこから手を付けるべき?中小企業の「デジタル化の進め方」を企業タイプ別に解説

社内に用意すべきは変革担当リーダー

では、上記のクラウド・サブスクリプション・ノーコードの環境下で社内のDXを進めるべきはどの様な人材が適任でしょうか。探すべきは、社内の業務を理解しており、どのように変えていくと事業の成績が良くなるかという変革の方向性を理解しながら、変革のポイントをあぶり出すことができる人材、いわば変革担当リーダーです。このような人材がテクノロジーを理解していればなお素晴らしいですが、テクノロジーを理解しているものの業務や事業に興味のない人間も少なからずいます。このような人材をDX担当にしてしまうとツールありきのアプローチになってしまうリスクを払拭できません。最も大事なことはテクノロジーを活用して、事業成績を向上させることです。テック人材は知恵袋・参謀的に変革リーダーに預ける形にしましょう。

大切なのは大きなことではなく小さなことの積み重ね

DXに取り組むことは、大規模で難しいことのように思えてしまいます。しかし、開発専門知識がなくともDXを始めることは充分可能です。まずは「これ便利かも」というツールを一つでも探し出して、お試し検証を社内で始めることが第一歩になるかも知れません。ぜひ、大きな投資をかけずにまず体験して見るところから始めてみてください。

【こちらの記事も】なんで使ってくれないの?従業員に「業務効率化ツールが浸透しない」企業の特徴と解決策

*asaya、hellohello、ゆうごろ、アン・デオール / PIXTA(ピクスタ)

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