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福利厚生

大手じゃないから「福利厚生」なし?中小企業でも導入検討すべき「福利厚生」は

2023.06.28

労働力不足が叫ばれるようになって久しい昨今では、雇用した社員がすぐに辞めてしまうなど、社員の定着率に懸念のある企業は少なくないでしょう。このような企業におすすめしたいのが”福利厚生の充実”です。しかし、中小企業の場合、「大企業のような大掛かりな福利厚生は必要ないのでは?」と思う経営者がいるかもしれません。ここでは、中小企業でも導入を検討すべき福利厚生とはどのような内容か、紐解いていきましょう。

福利厚生とは

福利厚生とは、社員の労働対価として支払われる給料に加え、社員やその家族がより安全に、快適に生活をすることができるよう実施されるサービスのことです。

福利厚生には、労働保険や社会保険など、法律で定められた「法定福利厚生」に加え、会社が独自で実施する「法定外福利厚生」があります。法定外福利厚生には、通勤費や家族手当、退職金制度など多岐にわたる種類の内容が挙げられます。

福利厚生のメリットとは

福利厚生のメリットとして、大きく以下2点が挙げられます。

1)定着率の向上

2020年に独立行政法人 労働政策研究・研修機構で行われた「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」は、福利厚生の数と定着率の関連を調査しました。結果、5年間における従業員の定着率の変化は、福利厚生の施策数が10~15未満の内、33.1%が「よくなった+ややよくなった」、5つ未満の内、15.8%が「やや悪くなった+悪くなった」と各施策数で一番高い結果となりました。定着率は福利厚生の数といった”充実度”に関連していることがわかります。

終身雇用制度が当たり前の時代はとうに過ぎ去り、昨今では自身の生活スタイルにあわせた職場を求める傾向がみられます。そして、実際に入社してからも、福利厚生を利用しながら快適に仕事をすることができると実感した社員は「これからもこの会社で働き続けたい」と感じ、定着率アップへとつながるのです。

【こちらもおすすめ】人材流出が止まらない!社員が次々と辞めていく中小企業の3つの特徴と改善策

2)業績の向上

また、福利厚生の充実は業績にも寄与します。同調査で福利厚生の数と企業業績の関連を調査結果、施策数が10~15未満の内、30.3%が「よくなった+ややよくなった」、5つ未満の内、17.4%が「やや悪くなった+悪くなった」と各施策数で最も高い結果となりました。

福利厚生の制度は、働く社員の生活を充実させ、快適に働けるようにするという狙いがあります。したがって、福利厚生の制度が充実している企業ではプライベート、仕事ともに充実し、会社に対する満足度や仕事に対するモチベーションがアップしやすく、業績にもよい影響を与えるのです。

【参考】調査シリーズNO.203 企業における福利厚生施策の実態に関する調査/独立行政法人 労働政策研究・研修機構

【こちらもおすすめ】売上ばかり上げようとしてもダメ?中小企業診断士が教える「業績の良い会社の共通点」3つ

中小企業でも導入を検討すべき人気の福利厚生5つ

ここからは中小企業でも導入しやすい福利厚生制度について解説をしていきましょう。中小企業の場合、福利厚生に時間と労力、費用をつぎ込むには限度があります。このような中で社員の心をつかむ福利厚生制度を導入するためには、”社員が欲している制度“を見極め、効果的に導入することでしょう。

厚生労働省が公表する令和2年版 厚生労働白書で「福利厚生の制度・施策で必要性が高いと思うもの」という図表が公表されています。この表によれば、労働者が求める福利厚生ベスト5は下記の通りです。

①人間ドック受診費用の補助
②慶弔休暇制度の充実
③家賃補助、住宅手当の支給
④病気休暇制度の充実
⑤リフレッシュ休暇

その他、育児休業制度の充実や、有給休暇制度の充実などのさまざまな制度が挙げられていますが、とくに目立つのが”社員の健康に関する制度”であることがお分かりいただけるかと思います。

健康診断の費用負担により社員の健康診断受診率がアップし、自身の身体の状況を把握したり、身体ケアの目安を知ったりすることができます。また、慶弔休暇制度や病気休暇制度、リフレッシュ休暇などを求める声からは、社員が健康に憂慮しながら働くためには、十分な休暇が必要であることや、プライベートを充実させたいという気持ちが伺えるでしょう。その他、住宅手当の負担などの金銭面補助も社員に人気の福利厚生制度です。まずは、このあたりの制度をしっかりと整えていくことが重要でしょう。

【参考】令和時代の社会保障と働き方を考える/令和2年版厚生労働白書

【こちらもおすすめ】従業員の健康は組織の価値向上につながる!中小企業で行うべき「健康経営」について解説

福利厚生導入の際のポイント

福利厚生を充実させるためには、まずは会社が現在提供している福利厚生の内容を見直すことから始めましょう。現状を知ることで、不足している・補強すべき分野が明らかになるはずです。その後、前項目で述べた人気の福利厚生制度を参考に、社員にアンケートを取る方法も有効になります。自社の社員が何を求めているかをダイレクトに入手することで、より社員の希望に沿った形で福利厚生制度を充実させることができるでしょう。

就業規則を変更するような福利厚生制度の導入が難しい場合は、従業員に受けそうな福利厚生サービスを利用してみるのも手です。人気があるものとしては食事や自動販売機などの導入、グループ食事会の補助、資格取得の補助や図書費の購入費補助などがあります。簡単に取り入れられるものから検討してみてはいかがでしょうか。以下の記事にも取り入れやすいサービス例を紹介していますので、参考にしてみてください。
他社に差をつける!中小企業こそ福利厚生を充実させるべき理由とサービス5

また、制度を整える際、国や自治体が実施している中小企業向けの支援制度もあります。詳しくは以下をご参照ください。
中小企業向け!「人手不足を解消したいとき」に役立つ支援制度を一挙解説

さらに、社会保険に加入する企業は、当然ながら何らかの健康保険組合や協会けんぽへ入っていると思いますが、より充実したサポート内容の健康保険組合に入り直すこともおすすめです。たとえば、IT関連企業向けの「関東ITソフトウェア健康保険組合」は、協会けんぽと比較し、保険料が安くなるなどのメリットがあります。自社で法定外福利厚生を充実させることだけでなく、健康保険組合に入り直すことも選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

【参考】
関東ITソフトウェア健康保険組合
ITS加入のメリット/関東ITソフトウェア健康保険組合

まとめ

福利厚生のメリットから、中小企業で導入できる福利厚生について解説しました。福利厚生の充実が、定着率や業績の向上に寄与する点は見逃せません。しかし、大企業ほど手厚くすることも難しいでしょう。社員が求める福利厚生を押さえつつ、できる範囲から見直してみてはいかがでしょうか。

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*カッペリーニ, タカス, takeuchi masato, zak, kikuo, nonpii / PIXTA(ピクスタ)