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労働実務事例

提供:労働新聞社

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入社前の国民年金が未納、滞納長く障害給付不利か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 スポーツでケガをして、軽度の障害が残るかもしれないと心配している従業員がいます。中途採用で入社した者で、それ以前の国民年金の納付期間については、かなり長期間の滞納があることが分かりました。この機会に、今までの滞納分を清算しておけば、将来の給付が有利になるのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。

香川・T社

[ お答え ]

 厚生年金の障害給付は、厚生年金の被保険者である間に初診日のあるケガなどで、障害が残った場合に支給されます。お尋ねの方は、入社して厚生年金に加入した後、ケガをされたのでしょうから、初診日要件は満たしています。
 しかし、そのほか、保険料納付状況もチェックする必要があります。障害厚生年金を受けるためには、障害基礎年金の保険料納付要件を満たす必要があります。
 障害基礎年金については、「初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、保険料納付済期間等が当該被保険者期間の3分の2以上である」場合に受給権が生じます(国民年金保険法第30条)。
 国民年金の保険料は、「翌月末日までに納付する」(国民年金保険法第91条)必要があるので、初診日の前日時点で、法律の規定どおり納付を済ませているのは、前々月までの保険料です。ケガをする前に滞納があったか否かは、この前々月までの期間で判定します。
 原則的な要件は、上記のとおりです。しかし、平成28年4月1日前に65歳未満で初診を受けた場合には、直近1年間に保険料滞納がなければ、要件を満たしたとみなす特例が設けられています。現在の会社で、被保険者期間が1年以上あれば、心配ありません。
 1年に不足するときは、過去に遡って保険料の納付状況を調べる必要があります。仮に、保険料納付済期間等が3分の2に満たない場合、今から滞納分を納めて、障害給付の資格を得ることができるのでしょうか。
 まず、後から保険料の納付が可能なのは納入期限から2年以内に限られます。政府が年金を徴収する権利も2年で消滅してしまいます(国民年金法第102条第3項)。
(注)平成24年10月1日に年金確保支援法が施行され、時限措置で過去10年間を遡り、保険料の追納が可能となっているので、そちらにも注意してください。
 保険料免除の対象となっていた場合には、10年分を遡って追納できますが、単なる「滞納」については2年分しか認められません。
 次に、保険料納付済要件を満たすか否かですが、判定するのは、「初診日の前日」です。たとえ、初診日以降に追加で保険料を納めても、「初診日の前日」時点で既に納付していた月数は増えないので、それにより障害給付の受給資格を得ることはできません。



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