労働実務事例
[ 質問 ]
社会保険労務士の資格取得に向け勉強中の者ですが、疑問点が生じたので質問します。遺族年金の対象者として、「20歳未満で障害等級1級・2級の子」が挙げられています。これは、被保険者(父母)が死亡当時、障害の状態になければいけないという意味でしょうか。後から、障害になった場合、どういう扱いになりますか。
栃木・M子
[ お答え ]
社労士の勉強をする際、教育機関や市販のテキストに頼りがちですが、疑問が生じたときは、法律の条文そのものに当たると実力アップにつながります。
厚年法第59条は遺族年金の受給権者に関する条文ですが、子・孫については、「被保険者の死亡の当時」、次に掲げる要件に該当する必要があると述べています(同条第1項第2号)。
「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと」
これだけ読んだのでは、被保険者死亡後に障害に該当した場合の扱いは、明らかではありません。次に、失権の条件をみてみましょう(厚年法第63条第2項第1号)。
「子又は孫について、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき。
ただし、子又は孫が障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にあるときを除く」
これを読む限りは、被保険者が死亡当時、障害の状態になくても、18歳到達後の年度末の段階で障害の状態にあれば、失権の対象にならないと解釈できそうです。
さらに、厚生年金法の施行規則第62条の2をみると、「18歳に達する日以後の最初の3月31日に達するまでにある子又は孫は、1級又は2級の障害の状態に該当するに至ったときは、障害状態該当の届出が必要」と規定してあります。
つまり、18歳到達後の年度末までに障害の状態に該当すれば、20歳まで年金を受けることができます。しかし、18歳到達後の年度末を超えた時点で障害になっても、再び年金の権利を得ることはできません。
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