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労働実務事例

提供:労働新聞社

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派遣先が雇入れ時教育に費やした時間分の支払い拒否したが料金発生の時期はいつか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 製造業の派遣契約が一つ決まりましたが、特殊な機械の操作等があるため、派遣先から「雇入れ時教育は当方でやるから」と申し出がありました。後になって、教育に費やした時間分について、派遣料の支払いを拒否されたのですが、相手先に派遣社員を送り込んだ時点から料金が発生すると主張できないでしょうか。

群馬・I社

[ お答え ]

 労働安全衛生法第59条では、事業者に対し雇入れ時安全衛生教育の実施義務を課しています。製造業など工業的業種では、「機械、原材料の危険性」「安全装置、保護具の取扱い」「作業手順」「作業開始時点検」等も必須の教育事項になっています(安衛則第35条)。
 危険有害業務に就かせる場合の「特別教育」(安衛法第59条第3項)については、「派遣先を事業者とみなす」(派遣法第45条第3項)という特例規定が設けられています。しかし、雇入れ時教育(同条第1項)の特例は存在しないので、実施義務者は原則どおり雇用者である派遣元になります。
 派遣先指針(平11・労働省告示第138号)では、派遣先に対し、「雇入れ時の安全衛生教育を適切に行えるよう、(略)教育の委託の申入れがあった場合には可能な限りこれに応じるよう努める」ことを求めています。しかし、賃金の支払いまで強制しているわけではありません。
 安全衛生教育については、「事業者の責任において実施するものであり、所定労働時間内に行うのを原則とする。法定時間外に行われた場合には、割増賃金が支払わなければならない」(昭47・9・18基発第602号)と解されています。ここでいう「事業者」は派遣元になるので、貴社は派遣先の事業場で実施された雇入れ時安全衛生教育についても、賃金の支払い義務を負います。
 通常、派遣労働者の賃金は、賃金が発生した時間に対応する派遣料を原資として支払われます。しかし、派遣元が賃金を支払う時間のうち、どの部分について、派遣料を請求できるかは契約内容により決まります。
 安衛法第20条では、事業者は「機械、機器等による危険」を防止する義務を課していますが、この場合の「事業者」は特例規定により派遣先となります。ですから、特殊な機械を使用する派遣先は「教育は当方が責任を持つ」と自主的に申し出たと考えられます。しかし、この提案は、情報・講師・教材・資料等を提供する趣旨と解するのが一般的でしょう。



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