労働実務事例
[ 質問 ]
製造派遣を10人程度受け入れる方向で、検討しています。製造派遣の場合、「製造業務専門派遣先責任者」を選任しなければいけないと聞きました。
これは努力義務なのでしょうか、それとも強制義務なのでしょうか。仮に選任する場合、たとえば安全・衛生管理者等のように、学歴・経験や研修受講等の要件が定められているのでしょうか。
大分・K社
[ お答え ]
派遣先は、派遣労働者の上司に契約内容や関係法令を周知し、派遣労働者の苦情を聞き、安全衛生面の配慮等をするため、派遣先責任者を選任する義務を負います(派遣法第41条)。
製造業務専門派遣先責任者は、製造業務に従事させる派遣労働者が50人以上いる場合に選任義務が生じます。100人を超える場合は2人以上となり、以下、100人増加するごとに1人ずつ必要な選任数が増加します。
貴社では、製造現場の受入数が10人ですから、製造業務専門派遣先責任者を選任する必要はありません。既にそれ以外の業務で派遣労働者を受け入れていて、通常の派遣先責任者を選任していれば、その通常の派遣先責任者が製造業務に従事させる派遣労働者も含めて担当することになります。派遣先責任者がいないときは、通常の派遣先責任者を選任すれば足ります。
しかし、派遣法上、「通常の派遣先責任者」と「製造業務専門派遣先責任者」の選任要件に違いは設けられていません。事業所専属の従業員(個人事業主や法人の役員も可です)のなかから専任しますが、その要件は「派遣先が講ずべき措置に関する指針」の第2の13に定められています。
派遣先責任者の選任に当たっては、
・労働関係法令に関する知識を有すること
・人事・労務管理等について専門的な知識または相当期間の経験を有すること
・派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有すること
など、「派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努める」よう求めています。
人事・労務部門の管理者等が担当するのが通常で、特に学歴や研修等の要件は課せられていません。製造派遣を受け入れる場合には、安全衛生面の知識もあることが望ましいでしょうが、具体的な要件としては示されていません。
対照的なのは「派遣元責任者」で、派遣法第36条で、「派遣法違反等で罰金を受け、5年が経過しない者」等を欠格とするなど、厳しい制限を設けているほか、一般労働者派遣事業については、「派遣元講習の受講」も選任の要件とされています。さらに、在任中は3年ごとに「派遣元講習」を受講するよう指導が行われています。
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