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労働実務事例

提供:労働新聞社

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正社員登用を検討中だが、雇用申込みの対象者は?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 もうすぐ派遣受入の最長期間3年が満了します。派遣社員の中には、「正社員に転換したい」という希望を持っている人も少なからずいるようです。当社でも、優秀者の正社員登用を前向きに検討していますが、派遣社員全員を対象に「雇用の申込み」をしないといけないのでしょうか。

山梨・D社

[ お答え ]

 政令で定める業務などを除き、派遣社員の受入期間は最長3年と定められています。ただし、この制限の適用は「派遣就業の場所ごとの同一の業務」を単位として適用されます。「同一の業務」でなければ、同じ社内で3年を超えて派遣社員を使用することは可能です。
 受入期間の制限のある業務については、雇用の努力義務(派遣法第40条の3)、雇用の申込み義務(同第40条の4)等が課せられています。
 「雇用の申込み義務」については、「派遣受入期間の制限に抵触する日の通知を受けた場合において、抵触日以降継続して派遣労働者を使用しようとする派遣先事業主」が対象になります。抵触日の通知は、派遣元が「抵触日の1カ月前から前日まで」の間に行わなければなりません(派遣法第35条の2第2項)。
 申込みの相手は、「抵触日の前日までに直接雇用を希望するもの」で、希望しない人に申し込む必要はありません。
 申込みに当たっては、労働条件を設定しなければいけませんが、給与については必ずしも現在の本人受取額を保障する必要はありません。派遣事業関係業務取扱要領では、「派遣先と労働者との間で、派遣就業中の労働条件や、その業務に従事している派遣先の労働者の労働条件等を総合的に勘案して決定する」よう求めています。現実には、派遣先正社員の給与水準を考慮すれば、若干、高めの調整が必要になるケースもあるでしょう。
 貴社で正社員登用を検討する一方で、派遣元も同一人物を他の会社に派遣する予定を立てているかもしれません。貴社で直接雇用してしまえば、派遣元は商売のチャンスを失うことになります。しかし、派遣元は「派遣労働者、派遣先を相手として、派遣終了後、派遣先に雇用されることを禁ずる旨の契約を締結する」ことはできません(派遣法第34条)。
 貴社としては、派遣先に気兼ねせずに雇用の申込みができますが、だからといって、常に申込みが必要なわけでもありません。申込みが義務付けられるのは、「抵触日以降継続して派遣労働者を使用しようとする場合」に限られます。引き続き使用するつもりがないのなら、申込みをしなくても、義務違反ではありません。淡々と契約を終了すれば、それでOKです。



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