労働実務事例
[ 質問 ]
雇用保険法では、労働者が適用される事業を適用事業とすると定められていますが、この場合の事業とは、1つの事業体を意味するのでしょうか。たとえば、本社・支店・出張所等が別々に配置されている場合の適用単位はどのようになるのでしょうか。
長崎・I社
[ お答え ]
法の適用単位である事業とは、企業それ自体を指すのではなく、個々の本社、支社、出張所等1つの経営組織として独立性をもった経営体を指します。
雇用保険においては、暫定任意適用事業を除いて、業種・労働者数等を問わず、すべて適用事業となります(雇用保険法第5条)。
雇用保険の適用はそれぞれの事業ごとに行われることになりますが、この事業とは、一の経営組織として独立性を持ったもの、すなわち、一定の場所において一定の組織のもとに有機的に相関連して行われる一体的な経営活動をいいます。つまり、「事業」とは、経営上一体をなす本店、支店、工場等を総合した企業そのものを指すのではなく、個々の本店、支店、工場のように1つの経営組織として独立性をもった経営体を指すものです。
適用事業の事業主は、被保険者に関する届出その他の事務について、原則としてその事業所ごとに処理しなければならないと規定しています(雇保則第3条)。
労働者が就労する場所が、一の事業に該当するものであれば、各種の届出等はそこで処理されるのが原則とされますが、労働者が労務を提供する場所等が必ずしもすべて事業所に該当するわけではありません。
それが一の事業所として取り扱われるためには通常次の要件に該当することが必要です。
① 場所的に他の事業所から独立していること
② 経営または業務単位として、ある程度の独立性を有すること。すなわち、人事、経営経理または業務上の指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有していること
③ 一定期間継続し、施設としての持続性を有していること
以上のような考え方に立った場合、支社とか工場といったように、一定の労働者がそこで就労し、仕事を行うものは、通常は1つの経済的活動単位としての機能を有すると考えられますから、一の事業所として雇用保険の適用単位になるものと考えられます。
ただ、小規模の駐在所のように、労働者が就労しているにしても、他の工場、支社等の附属施設的性格を有していて、独立した経済的活動と認められないようなものは、事業所非該当の扱いを受けることになります。
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