労働実務事例
[ 質問 ]
もうすぐ60歳代前半の老齢厚生年金を受けるので、年金の勉強をしています。年金は「年間の支払額」が決定されますが、実際に支給するときは、どのように端数処理されるのでしょうか。
奈良・T生
[ お答え ]
年金生活をイメージするとき、給与生活者だった時代の名残で、1カ月当たりいくらもらえるかと考える人が多いようです。
しかし、年金の定義は「年を基準とした金額を定期的に給付する制度(広辞苑)」で、実際に厚生年金・国民年金も年額で表示されます。それを、「2、4、6、8、10、12月の6期に分けて、前月分まで支払う」(厚年法第36条、国民年金法第18条)規定となっています。
年金額を計算する場合の端数計算については、まず厚年法施行令第3条の2の3の規定に注意する必要があります。同条では、「保険給付の額を計算する過程において、50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げることができる」と規定しています。
年金額の計算をするときは、生年月日に応じた乗数、再評価率、スライド率(物価スライド、改定率)など、小数点以下の細かい数字がたくさん出てきます。その計算過程のなかで、円未満の端数が出たときは、四捨五入も可能という根拠規定となっています。
そのうえで、1年分の年金額を決定する際には、厚年法第35条の規定に基づき、「保険給付の額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げる」という処理をします。60歳代前半の老齢厚生年金の場合、報酬比例部分と定額部分に分けて計算します。しかし、厚年法第35条の処理をする際には、「報酬比例部分と定額部分の合計額」を端数処理します。
このようにして1年分の年金額が決まったら、次に年6回に分けて支払う額を計算します。その際には、厚年法施行令第3条の2の3に基づき、円未満を四捨五入するわけではありません。
実際に支払いを実施する場合には、「国等の債権又は債務の金額の端数計算に関する法律」に従います。同法第2条では、「国および公庫等の債権で金銭の給付を目的とするもの又は債務で金銭の給付を目的とするものの確定金額に1円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとする」と定めています。
年金は、国にとっては債務で、「各支払期ごとの支払額に1円未満の端数が生じた場合、その端数は切り捨てる」という結論となります。
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