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労働実務事例

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派遣元からの通知事項で性別明記に問題はないか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 派遣元会社から、派遣者の通知を受けるとき、わざわざ「女性」と明記してあり、ちょっと違和感を受けました。特に当社から、「女性をよこして欲しい」と依頼したわけではありません。性別の特定につながるような印象があって望ましくないと思いますが、いかがでしょうか。

千葉・U社

[ お答え ]

 「派遣先指針」(平11・労働省告示第138号)では、「派遣契約の締結に当たって、派遣労働者の性別を記載してはならない」と規定しています。あらかじめ、「男性(女性)を派遣して欲しい」といった形で、契約を結ぶことは許されません。
 派遣元会社は、自社の常用派遣社員、あるいは登録社員の中から、派遣契約の条件に合致する人を選び出し、派遣先に送り出します。
 具体的な派遣労働者の組み合わせ・派遣時期が決まったら、派遣元はその内容を派遣先に通知します。
 通知の内容は、法律で次のとおり定められています(派遣法第35条、同施行規則第28条)。
① 派遣労働者の氏名
② 健康保険、厚生年金保険、雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無(提出していない場合は、その具体的な理由)
③ 派遣労働者の性別(45歳以上のときはその旨および性別、18歳未満のときは年齢および性別)
④ 派遣労働者の就労条件が派遣契約の就業条件と異なるときは、その内容
・ 派遣期間・就業日
・ 派遣の開始および終了の時刻・休憩時間
・その他(休日出勤、時間外労働できる日・限度など)
 このほか、複数の業務について同時に派遣契約を結んだときは、どの派遣労働者がどの業務を担当するか等も、通知することになります。
 実際に派遣労働者を送り出す際には、性別も法定の通知事項となっています。派遣元は、この規定に基づき通知を行っているだけで、「労働者の特定」等に関する問題は生じません。
 この点について、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、「性別の通知の趣旨は、派遣先における労働関係法令の遵守を担保することにある」と解説しています。通知された氏名だけをみても、派遣労働者の性別がよく分からないケースもあり得ます。
 実際に女性を受け入れた後、たとえば、制服、更衣室、トイレ、夜間勤務の安全、セクハラ等に関する対策が後手に回るような事態は望ましくありません。前もってキチンと受け入れ態勢を整えるため、性別の通知が義務付けられているものです。



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