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労働実務事例

提供:労働新聞社

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業務の都合でやむを得ず計画年休を取り止めに!?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社では、従来の夏期休暇3日に加え、計画年休2日の労使協定を締結し、8月14日から22日まで1週間の夏期休暇としました。ところが、業務上の都合で、計画年休とした日にどうしても出勤する必要が生じました。計画年休日を、他の日に変更することはできないのでしょうか。

【山梨・L社】

[ お答え ]

 年次有給休暇は、原則として労働者の請求する時季に与えなければなりませんが、労使協定により年休を与える時季に関する定めをしたときは、計画的に取得させることが可能です(労基法第39条第6項)。
 計画年休のタイプには、ご質問の夏季一斉休業のほかにも、班別の交替制休暇や計画表による個人別休暇などがあります。計画的付与を行うためには、過半数労働組合または過半数代表者との書面による協定が必要です。計画的付与の対象にできるのは、年休のうち5日を超える部分です。
 労使協定で休暇日が具体的に定められた場合には、これに反対する労働者にとっても年休日となります。ですから、反対労働者は、他の日を年休日として指定することはできません。
 計画年休においては、使用者による年休日の変更は労使協定によっていったん特定した年休日の変更の問題であるとして、時季変更権の問題とは異なるとしています(菅野和夫「労働法」)。計画的に付与される年休は、時季変更権を行使する余地はなく、使用者としても労使協定で定められた年休日を任意に変更することはできません(昭63・3・14基発第150号)。
 一方、計画年休日に業務上の都合が生じたとしても、使用者は時季変更権を行使して年休日を変更することはできません。
 時季変更権ではなく、業務上の都合でやむを得ない場合に限って、計画年休日を変更することがあることをあらかじめ協定に規定しておけば、変更は可能と考えられます(安西愈「採用から退職までの法律実務」)。時季変更権の行使ではなく、労使協定による変更の定めが根拠となります。
 規定例としては、「休暇期間中に事業の正常な運営を妨げる事由があり事前に使用者が指定した者については、一斉休業休暇の適用は除外する。この場合においては、1カ月以内に計画休暇に相当する休暇をあらかじめ指定して付与するものとする」等とすることが考えられます。
 一方、「使用者による計画年休日の変更は、計画年休協定の関係規定に従って行われるべきものであるが、格別の規定がなければ、年休を実現するうえでの業務運営上の重大な支障が発生し、しかもこの支障発生が計画時には予測し得なかったことを要すると考えられる」とされています(前掲「労働法」)。



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