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円高と外貨建子会社株式の評価損について

 東芝は、2012年4~6期の連結決算(米国会計基準)において、円高
の影響により、営業外で外貨建てで出資する子会社株を含む資産の評価
損など102億円を計上したとの報道がありました。

 今回は外貨建子会社株式等の評価損についてとりあげます。上記のニ
ュ-スでは、円高により評価損を計上したようですが、日本の税務会計
では、円高による評価損が認められるのかという問題です。

 海外の子会社株式等については、その計上金額は会計・税務とも取得
時の為替レ-トで円換算した金額が評価金額となり、債権債務のように
期末に換算替えすることはありません。

 また、海外の子会社株式等の評価損については、円高により円換算額
が減少しても、評価損を計上することはできないのが原則です。会計
の減損処理や税務上の評価損計上では、あくまでも外貨ベ-スの下落幅
により計上の可否を検討することになります。

 すなわち、外貨建ての時価と外貨建ての取得原価、又は、外貨建ての
実質価額(1株当たりの純資産額)と外貨建ての取得原価を比較し、それ
が少なくとも50%程度下落した場合には会計上の減損処理を行ないます。

 税務上も上記と同様に判定しますが、子会社株式等については、市場
価格がある場合でも資産状態の著しい悪化による外貨ベ-スの時価の著
しい下落が必要となります。

 ところで税務上は、期末に為替相場の著しい変動がある場合には、期
末レ-トにより換算できるという特例があります。著しい変動とは、取
得時の為替レ-トに比較して概ね15%以上の変動がある場合をいいます。

 この特例が適用できれば、円高による評価損計上も可能になるのです
が、企業支配株式等(20%以上の持株割合)は適用されません。よって、
税務上は円高による評価損計上はできないことになります。 

 但し、円高による評価損企業会計引当金の計上要件を満たす場合
には、その計上が認められる余地はあり得るかも知れませんが、その場
合でも税務上は加算処理が必要となる可能性が高いでしょう。
  
                         以     上   
◆自著『よくわかる国際取引の経理実務』がお陰さまで増刷されました。
引き続き宜しくお願い致します。

税理士 齋藤 忠志[http://www.saito777.com]
[国際税務サイト http://www.saito555.com]
[相続税贈与税事業承継サイト http://www.saito888.com]

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