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コラムの泉

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任天堂の復活劇を決定付けた2つの要因とは?

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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』

2017年10月19日号 受講者数:32,834人
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こんにちは!『1日3分MBA講座』をお届けする安部です。


私もよく利用している『いきなり!ステーキ』ですが、今や全国に150店とその店舗網を急速に拡大しています。


そのあおりを受け、中小のステーキハウスは厳しい経営を余儀なくされているようです。


先日も東京都内を中心に27店舗を展開する『ステーキカフェ ケネディ』が経営破綻し、全店舗を閉鎖したというニュースが流れました。


もちろん、大手企業の攻勢を受けた場合に中小企業は劣勢となることは仕方のないことかもしれませんが、果たして生き残る術はなかったのでしょうか?


今回はBizコンパスで2回にわたり、『ステーキカフェ ケネディ』の失敗した要因を掘り下げ、中小企業が大手の攻撃に晒された時の生き残りの戦略を考えてみました。


よろしかったらご訪問下さいませ。


『いきなりステーキに敗北?ケネディの戦略ミスとは』
http://www.bizcompass.jp/original/re-management-005-91.html


それでは、今回のMBA講座も張り切ってお届けしていきますので、最後までよろしくお願いします!


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■ 1日3分で身につけるMBA講座
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さて、今回の『1日3分で身につけるMBA講座』は、『Nintendo Switch』のヒットで、ようやくどん底から復調の兆しが見えてきた任天堂にフォーカスを当てます。


発売から半年以上経過してもなかなか入手することがことが難しい『Nintendo Switch』ですが、これまでのゲーム機と違った売れ方をしているようです。


果たして、任天堂はどのような仕掛けで異例のヒットに導いたのか?


その戦略を掘り下げていきたいと思います。


わかりやすい図表付きの記事は、ブログに掲載していますので、よろしかったらどうぞ!


https://ameblo.jp/mbasolution/entry-12320847900.html


それでは、本編はここからスタートします!


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■ 復調が鮮明になってきた任天堂


任天堂の復調が鮮明になってきました。


9月20日には、株式の時価総額が2008年9月以来、9年振りに6兆円の大台を回復。


任天堂の株価は今年の2月には22,000円程度の水準でしたが、10月16日には高値で44,600円を付けるなど、実にこの8ヶ月ほどで倍以上値上がりしたことになります。


この間、日経平均株価も21年振りの高値を更新するなど、堅調な相場が続いていますが、それでも17,865円から21,288円と19%程度の上昇なので、任天堂の株価の上昇率がいかに突出しているかがわかるでしょう。


それでは、ここで任天堂の過去の業績を振り返ってみましょう。


任天堂は、2004年に投入した携帯型ゲーム機『ニンテンドーDS』と2006年に投入した据え置き型ゲーム機『Wii』が空前のヒットを記録し、2009年には売上高が1兆8,386億円、営業利益は5,553億円という過去最高を記録します。


この堅調な業績を背景に、2007年には株価が急騰。11月に73,200円を付け、時価総額は10兆円を超える規模にまで拡大していました。


ところが、時代の流れでゲームの主流が手軽にできるスマートフォンに急速に移行する中、任天堂はあくまでゲーム専用機にこだわった戦略が裏目に出ます。


スマホゲームに対抗すべく投入した次世代機『Wii U』が売れずに苦戦。2012年から2014年まで3年間にわたって300億円を大きく超える巨額の赤字を計上し、窮地に陥ってしまいました。


株価も2012年7月25日には8,060円と、5年前から9割近く下落し、任天堂は、長い低迷期に入っていたのです。


■ 全世界で大ヒットを記録する新型ゲーム機『Nintendo Switch』


この任天堂の長い低迷期に終止符を打つ決め手となりそうな新製品が『Nintendo Switch』。


2017年3月3日に発売が開始された『Nintendo Switch』は、当初予定していた2016年のホリデーシーズンでの投入が間に合わなかったこともあり、1カ月間で200万台と若干控えめな目標をベースにマーケティング戦略が立てられていました。


ところが、発売を開始すると瞬く間に人気に火が付き、3月だけで270万台を出荷し、計画を30%以上も上回る予想外の展開に。


この『Nintendo Switch』の人気は衰えることなく、6月までの3ヶ月間で出荷台数は470万台に達し、発売から半年以上経った今でも品薄でなかなか手に入らない状況が続いているのです。


ここで、全世界で1億台以上が売れ、任天堂で最も成功を収めた据え置き型ゲーム機『Wii』と比較してみると、『Wii』は発売後4ヶ月で584万台の出荷を記録していますが、『Wii』が発売されたのは2006年11月のホリデーシーズンであり、『Nintendo Switch』の場合はホリデーシーズンを含まず3ヶ月で470万台を達成していることを考えれば、非常に高いレベルで普及が進んでいることをうかがわせます。


また、『Nintendo Switch』の売れ行きは、これまでの任天堂のゲーム機とまったく違った動きを見せているのも特徴的です。これまでのゲーム機では、まずはファミリー層に浸透してから大人のゲームユーザーに広まっていくという流れでしたが、『Nintendo Switch』はいきなり全年齢のユーザーが購入するなど、明らかに従来とは違った売れ方をしているのです。


果たして、この『Nintendo Switch』の“ロケットスタート”による復活への狼煙はどのようにして上げられたのでしょうか?


もちろん、最新のゲーム専用機が、税抜きでわずか29,980円というハードの儲けを度外視した価格設定もさることながら、他にも様々な要因が隠されているはずです。


今回は任天堂の『Nintendo Switch』を爆発的ヒットに導いた戦略の背景を検証していくことにしましょう。


(1)SNSで若年層に幅広くアプローチする


まず一つ目に注目すべきは、若年層に大きな影響を与えたソーシャルネットワーキングサービスによる拡散でしょう。中でも“ゲーム実況”と呼ばれる動画配信の影響力は大きいと思われます。


ゲーム実況では、プレイヤーが実際にゲームをしながらその模様をYouTubeやニコニコ動画などで配信していきます。


特に、ニコニコ生放送などでは視聴者がゲーム実況中にコメントできる機能があり、視聴者参加型のコンテンツとして大いに盛り上がりをみせています。


たとえば、500万人を超える登録者数を抱える人気YouTuberのHIKAKIN氏も数多くの『Nintendo Switch』のゲーム実況の動画を配信していますが、それぞれ数百万から一千万近くの再生回数があり、かなり多くの視聴者に影響を与えていることがうかがえます。


マーケティングの心理テクニックの一つに、顧客が実際に使っている様子を見せるという手法がありますが、ゲーム実況はまさにこの心理テクニックに則った販売手法といえるでしょう。


たとえば、FacebookなどのSNSで友達がレストランでおいしそうな料理の写真をアップしていれば、それが食べたくなった経験のある方は多いと思います。また、好きな芸能人が身に着けているアクセサリーや使用している日用品をインスタグラムやブログなどで見かければ、自分も使ってみたいと思うはずです。


同じようにいつも見ている動画配信者が『Nintendo Switch』をプレイしている様子を見れば、自分も『Nintendo Switch』が欲しくなるのは、ごく自然な人間の心理といえるのです。


事実、任天堂もこのゲーム実況の売り上げに対する影響力の大きさを考慮して、禁止するのではなく、推進する方向に舵を切っています。


本来、ゲーム実況は著作権者の許可なくプレイ動画を配信することは違法ですが、任天堂は2017年9月にニコニコ生放送を運営するドワンゴと任天堂の著作物の利用に関する包括許諾契約を締結。


この契約により、ゲーム実況者は任天堂の数多くの人気ゲームを個別の許可を取ることなしに実況が行えるようになったのです。


今後は益々魅力あるゲーム実況が増え、購買意欲を刺激される視聴者が増えて売り上げアップにつながっていくというシナリオも十分に考えられるでしょう。


(2)復刻版でかつての熱狂的なファンを呼び戻す


続いて二つ目に注目するのは、かつて大ヒットを飛ばした“伝説のゲーム機”の復刻版を販売することによって、かつての熱狂的なファンにゲーム専用機の面白さを思い出させ、最新機器である『Nintendo Switch』の販売につなげるという戦略です。


任天堂は、2016年11月から、1980年代に一世を風靡したファミリーコンピュータの復刻版として、オリジナルサイズから40%ほど小型化した『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』の発売を世界各国で開始しました。


この“ミニチュア版ファミリーコンピュータ”は、かつてのファミコンのようにカートリッジを差し替えてゲームを楽しむことはできませんが、最初から人気の高かったゲーム30種類を収録しており、価格はわずか5,980円(税抜き)です。


1980年代にファミコンに没頭した熱狂的ファンのノスタルジーを誘い、発売が決定したニュースが流れると、「懐かしい」や「発売されたら絶対に買う」といったコメントがSNS上を賑わせていました。


そして、実際に発売されるや購入客が殺到し、なかなか入手しづらい状況にまで人気が過熱します。


任天堂は、一旦、今年の4月で生産を打ち切りますが、その後も人気は衰えるどころか、益々欲しいというユーザーが続出し、中古市場で高値で取引されている状況が続いていたことから、2018年に生産を再開することを決定したのです。


また、任天堂はこのファミリーコンピュータの復刻版の成功を踏まえ、続いて後継機であるスーパーファミコンを小型化した復刻版『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』の発売に踏み切ります。


2017年10月5日に発売開始となった『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』も、21種類の人気ゲームを収録して価格は7,980円(税抜き)と手頃なために、販売すれば即完売と定価ではなかなか手に入らない状況が続いているのです。


このように任天堂は“復刻版戦略”で、1980年代から90年代にかけてファミコンに慣れ親しんだユーザーをメインターゲットに、今では父親になったかつての熱狂的なファンが久しぶりにゲーム機を購入して子供と一緒に楽しむというシナリオを描いていたに違いありません。


最近はスマホゲームの全盛期ともいえますが、開発費もあまりかからず手頃な価格で投入できる復刻版のゲーム機は、かつてのファンを呼び戻すと同時に、その子供の世代を取り込むための戦略商品の役割を十分に果たしているのではないでしょうか。


■ 任天堂の復活劇はこれからが本番


様々な戦略が功を奏して、一気に全方位で売れている『Nintendo Switch』ですが、任天堂の復活劇はこれからが本番といえるでしょう。


今やゲーム専用機は、まずは採算ギリギリの低価格でハードを普及させ、利益率の高いソフトウェアで稼ぐビジネスモデルになっています。


『Nintendo Switch』も、今後サードパーティを含め数多くのソフトがラインナップに加われば、任天堂の収益力は一気に高まることにつながっていきます。


現状は復活の兆しが見えるとはいえ、売上高5,000億円、営業利益300億円程度の水準であり、全盛期の売上高1兆8,000億円、営業利益5,500億円には遥かに及びません。


果たして、任天堂は『Nintendo Switch』の成功で、どの程度まで復活できるのか?


今後はいかに魅力的なゲームソフトをリリースし、ハードとの相乗効果を高めながら収益力アップさせていくかが本格的な復活の重要な鍵を握るといえるでしょう。


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■ 編集後記:
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先日、撮りためていたカンブリア宮殿を視聴しました。


ゲストは、発展途上国の貧しい人々にバッグの生産などを通して支援するマザーハウスの山口絵理子社長でした。


番組の中で、村上龍さんがビジネスと社会貢献について質問する場面が印象的でした。


村上龍さん:「ベーシックな問題として山口さんの中でビジネスと社会貢献というのはどういう風にバランスしているんですか?」


山口社長:(戸惑いながら・・・)「わたしはあまり切り離して考えてない。どうして(ビジネスと社会貢献)を分けなきゃいけないのかが根本にある。」


村上龍さんが思っているくらいですから、多くの人はビジネスと社会貢献のバランスは根本的な問題、つまり相反するものと考えているんですかね。


天秤の片方にビジネスがあり、その反対側に社会貢献がある・・・みたいな。


そうするとビジネスに比重をおけば、社会貢献が疎かになりますし、社会貢献に比重をおけばビジネスとして利益が上がらなくなるということでしょうか。


ただ、私自身はビジネスを行ううえで社会貢献とのバランスは考える必要がないと思っています。


全力で社会に貢献し、恐縮することなく自信を持ってお客様からお金を頂戴する・・・それがビジネスではないでしょうか。


山口社長がおっしゃるように、ビジネスと社会貢献は切っても切り離せない関係にあるはずです。


もし、ビジネスにおける社会貢献を中途半端に考えていれば、そのビジネスは100%長続きしないことは保証します。


『全力で社会に貢献したい』という強い想いや覚悟を持ってビジネスに取り組んでいる企業と、『社会貢献はこれぐらいで残りはビジネスライクに自社の利益の追求』という社会貢献とビジネスを切り分けている企業があれば、どちらが顧客の支持を得られるかは言うまでもないでしょう。


お客様の役に立ち続ける、すなわち社会に価値あるものを提供し続けることによってのみ、企業は社会から必要とされ、永続できるのだと思います。


社会に貢献して対価としての適切な金銭を受け取るのが『ビジネス』


社会に貢献して対価として感謝という気持ちを受け取るのが『ボランティア』


社会貢献をしながら、利益を上げる仕組み作りをするのが本来のビジネスの在り方だと個人的には思っています。


自分も山口社長のように、社会の役に立ちながらビジネスを成立させることに邁進しようと想いを新たにした次第です。(^^)


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最後までお読みいただきましてありがとうございました!
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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』(ビジプロ通信)

編集責任者: 安部 徹也

発行元:
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