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コラムの泉

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登録第6295061号:「HiMARI」

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□■□【真似とは言わせない!ネーミングのツボ】□■□
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□                       5月18日号
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 弁理士 深澤です。

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★このメルマガの目的♪
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 このメルマガでは、商標の審判・裁判事例等を通して、

○どんな商標が類似といわれたのか
○識別力のある商標とはどんなものなのか

 といったことから、ネーミングを考える際のツボを明らかにして
いきます。

(配信中止はこちらまでhttp://www.mag2.com/m/0000241197.html)

 それでは、今週も始めます。

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★今回の事例♪
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 今回取り上げるのは、

○登録第6295061号:「HiMARI」

 指定商品は、第14類の「指輪,ネックレス,イヤリング,身飾品,
宝玉の原石,時計,貴金属,記念カップ,記念たて」です。

 ところが、この商標は、

 登録5179243号商標

上段に、オレンジ色で縁取りした黄色の円と半円からなる擬人化
された図形を、中段に、薄オレンジ色で縁取りした黄色の太字で
「ひまり」の平仮名を、下段に、中段に比して小さく、緑色で
「SHOPPING CENTER」の欧文字を配置した構成

 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。


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★判断の分かれ目♪
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 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服
の審判(不服2020-006390)が請求されました。

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 まず、この商標

「文字は、既成の語として辞書等に載録されておらず、一般に親し
まれた語でもないから、特定の観念を生じないものである。」

 そして、

「特定の語義を有しない欧文字からなる商標を称呼するときは、
我が国で広く親しまれている英語風又はローマ字風の発音をもって
称呼されるのが一般的といえるから、」

「「ヒマリ」の称呼を生じるものとみるのが相当である。」

 一方、引用商標

「図形部分は、我が国において特定の事物又は意味合いを表すもの
として認識され、親しまれているというべき事情は認められない
ことから、図形部分からは特定の称呼及び観念は生じないものである。」

 一方、

「文字部分は、「ひまり」の平仮名と「SHOPPING CEN
TER」の欧文字からなるところ、その構成中の「ひまり」の文字は、
一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じない
のに対して、「SHOPPING CENTER」の文字は、「多
くの商店が集中した区域や施設。」(「広辞苑第七版」岩波書店)
の意味を有する平易な英語であって、他の語と結合してショッピング
センターの名称を指称するものとして、一般に広く使用されている
ものであるから、「引用商標全体として「ひまりという名前の
ショッピングセンター」程の意味合いを認識させるものということ
ができる。」

 また、

「指定役務との関係において、「SHOPPING CENTER」
の文字は、主として指定役務の提供場所を表すものであるから、
自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか又は極めて弱い
ものといえ、引用商標の構成において、下段の文字に比べ、ひときわ
大きく表されている「ひまり」の文字部分も独立して自他役務
出所識別標識として機能し得るといえる。」

 そうすると、

「構成全体から、「ヒマリショッピングセンター」の称呼及び
「ひまりという名前のショッピングセンター」の観念を生じるほか、
構成中の「ひまり」の文字部分に相応して、「ヒマリ」の称呼を生じ、
該文字は、上記のとおり一般の辞書等に掲載のない語であるから、
特定の観念は生じないものである。」

 そこで、両者を比較すると、

商標全体としては、引用商標はその構成中に、引用商標の半分
以上を占める擬人化された黄色の図形や「SHOPPING 
CENTER」の欧文字を有するものであるから、外観上、明らかに
区別できるものである。」

 また、

引用商標構成中の「ひまり」の文字部分との比較においては、
本願商標の「HiMARI」の文字は、構成中の1文字(i)を
小文字とし、黒色の欧文字で表しているのに対して、引用商標構成
中の「ひまり」の文字は、図形と同色の黄色で、厚みをもって縁取
りした平仮名で表されたものであるから、両者を見誤ることはなく
外観上、明らかに区別できるものである。」

 称呼は、

本願商標からは「ヒマリ」の称呼が生じ、引用商標からは「ヒマ
リショッピングセンター」の称呼が生じるから、両者は、構成音や
構成音数の明らかな違いにより容易に聴別できるものである。また、
引用商標からは「ヒマリ」の称呼も生じ得るものであるから、両商
標は、「ヒマリ」の称呼を共通にする場合があるものである。」

 観念においては、

引用商標から「ひまりという名前のショッピングセンター」の
観念が生じる場合には、観念上紛れるものではなく、また、引用
商標構成中の「ひまり」の文字部分との比較においては、いずれも
特定の観念を生じないものであるから、両商標は、観念において
比較できないものである。」

 さらに、

商標の使用において、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲
内で文字種を相互に変更して表示される取引の実情があるとしても、
引用商標の「ひまり」の文字をローマ字で表示する場合、一義的に
は「i」の文字を小文字にして「HiMARI」とするのが通常
とまではいえず、外観上の関連性を見出せない。」

 そうすると、

「称呼において引用商標の複数ある称呼の1つで共通する場合が
あるとしても、上記のとおり、外観においては明らかに区別できる
ものであるから、」

 非類似の商標と判断されました。

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★事例からわかったネーミングのツボ♪
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 今回は、称呼の一部が共通する商標の類否が問題となりました。

 称呼の一部が共通していても、外観などが大いに異なる場合は
全体として非類似になる場合があります。

 外観を異ならせることが真似とは言わせないツボになります。 

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 お役に立ちましたでしょうか?

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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真似とは言わせない!ネーミングのツボ(毎週火曜日発行)

ご質問・ご感想お待ちしております!

  編集・発行 深澤 潔
  http://brand-service.biz/

 各種商品・サービスのネーミング、会社ロゴ等の商標登録関連
を扱っております
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