2026年6月10日号 (no. 1249)
3分労働ぷちコラム バックナンバーはこちら
(
https://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/)
社会保険の加入手続きを会社が忘れていた。遡及加入したら保険料はどうするの?
■社会保険の加入手続きを会社が忘れていたと発覚
本来加入するべき社会保険に加入していなかった、
と後から年金事務所より指摘されたとしたら。
本来は加入しているはずだった期間について、
後から遡及して加入することがあります。
この場合、
過去にさかのぼって
社会保険料を支払うわけですが、
スッと解決できない問題が発生しますね。
■給与から源泉徴収できる
社会保険料は前月分だけ
社会保険料の徴収には少し厄介な問題があります。
健康保険法167条では、
前月分の保険料を今月支払う給与から控除できることが定められています。
第百六十七条
事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
給与から天引きできる根拠が法律にあります。
毎月の給与から支払っている、
健康保険料と厚生年金保険料は前月分のものなんですね。
■2か月以上前の保険料はどう徴収するの?
しかし、
この規定は前月分の保険料についてのものです。
2か月以上前の期間に対応する
社会保険料を、
どのように徴収するのかについては、
法律上の明確な定めがありません。
そのため、
会社が加入手続きを忘れていて、
後から遡及加入になったとしても、
何か月分もの保険料を一方的に給与から天引きすることはできないのです。
社会保険料だからといって、
過去の保険料あっても給与から控除できる、
というものではないんですね。
■6ヶ月分の
社会保険料を一気に回収できない
例えば、
6か月、過去に遡及して社会保険に加入したケースを考えてみましょう。
前月分の保険料については、通常どおり給与から控除できます。
これは健康保険法167条の通り。普段通り、いつもの処理です。
しかし、
それより前の5か月分をどうするかは別問題です。
「んなもん、給与から一気に行ったったらいいんじゃ」と、
そういう乱暴な考え方を持つ方もいらっしゃるかも、
しれませんが、
それはできないんですね。
■手続きを怠った会社が譲歩して解決する
この部分については、
会社と本人が個別に話し合い、
負担方法を決めることになります。
特に重要なのは、
加入手続きは会社が行うものであり、
本人が自由に手続きできるものではないという点です。
つまり、
従業員が加入要件を満たしていたにもかかわらず、
会社が資格取得届を提出していなかったのであれば、
その責任は会社側にあります。
本人に大きな落ち度があるとは言いにくいでしょう。
そのため、
会社が全額を本人に請求すると、
トラブルになる可能性があります。
「本来やるべき手続きをしていなかったのは会社なのに、
なぜ今になってまとめて払わなければならないのか」
そりゃあ、御尤もです。あなたが正しい。
まして、
過去の分の
社会保険料を今月分の給与から一気に控除するなんて、
言語道断な対応。
このような不満が出ても不思議ではありません。
また、従業員から見ると、
「手続きを忘れていた会社」という印象になります。
職場に対する信頼にも影響します。
お金関連の手続きで不備があると、
この会社、危ないんじゃないかと思われることもありますし。
■未払分の会社負担割合を引き上げる
そこで実務では、会社が一定の譲歩を行い、円満に解決したいところ。
例えば、
会社負担分を通常より多く負担して、
会社8割、本人2割
といった形で負担割合を調整する。
そのような方法で折り合いを付けることも考えられます。
法律だけで割り切ろうとするのではなく、
手続きを怠った経緯や本人の立場も踏まえて対応することがポイント。
遡及加入は、単なる保険料の問題ではなく、
会社への信頼にも関わる問題。
だからこそ、
相手が納得できる譲歩を含めて解決することが、
現実的な対応と言えるでしょう。
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■社会保険の加入手続きを会社が忘れていたと発覚
本来加入するべき社会保険に加入していなかった、
と後から年金事務所より指摘されたとしたら。
本来は加入しているはずだった期間について、
後から遡及して加入することがあります。
この場合、
過去にさかのぼって社会保険料を支払うわけですが、
スッと解決できない問題が発生しますね。
■給与から源泉徴収できる社会保険料は前月分だけ
社会保険料の徴収には少し厄介な問題があります。
健康保険法167条では、
前月分の保険料を今月支払う給与から控除できることが定められています。
第百六十七条
事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
給与から天引きできる根拠が法律にあります。
毎月の給与から支払っている、
健康保険料と厚生年金保険料は前月分のものなんですね。
■2か月以上前の保険料はどう徴収するの?
しかし、
この規定は前月分の保険料についてのものです。
2か月以上前の期間に対応する社会保険料を、
どのように徴収するのかについては、
法律上の明確な定めがありません。
そのため、
会社が加入手続きを忘れていて、
後から遡及加入になったとしても、
何か月分もの保険料を一方的に給与から天引きすることはできないのです。
社会保険料だからといって、
過去の保険料あっても給与から控除できる、
というものではないんですね。
■6ヶ月分の社会保険料を一気に回収できない
例えば、
6か月、過去に遡及して社会保険に加入したケースを考えてみましょう。
前月分の保険料については、通常どおり給与から控除できます。
これは健康保険法167条の通り。普段通り、いつもの処理です。
しかし、
それより前の5か月分をどうするかは別問題です。
「んなもん、給与から一気に行ったったらいいんじゃ」と、
そういう乱暴な考え方を持つ方もいらっしゃるかも、
しれませんが、
それはできないんですね。
■手続きを怠った会社が譲歩して解決する
この部分については、
会社と本人が個別に話し合い、
負担方法を決めることになります。
特に重要なのは、
加入手続きは会社が行うものであり、
本人が自由に手続きできるものではないという点です。
つまり、
従業員が加入要件を満たしていたにもかかわらず、
会社が資格取得届を提出していなかったのであれば、
その責任は会社側にあります。
本人に大きな落ち度があるとは言いにくいでしょう。
そのため、
会社が全額を本人に請求すると、
トラブルになる可能性があります。
「本来やるべき手続きをしていなかったのは会社なのに、
なぜ今になってまとめて払わなければならないのか」
そりゃあ、御尤もです。あなたが正しい。
まして、
過去の分の社会保険料を今月分の給与から一気に控除するなんて、
言語道断な対応。
このような不満が出ても不思議ではありません。
また、従業員から見ると、
「手続きを忘れていた会社」という印象になります。
職場に対する信頼にも影響します。
お金関連の手続きで不備があると、
この会社、危ないんじゃないかと思われることもありますし。
■未払分の会社負担割合を引き上げる
そこで実務では、会社が一定の譲歩を行い、円満に解決したいところ。
例えば、
会社負担分を通常より多く負担して、
会社8割、本人2割
といった形で負担割合を調整する。
そのような方法で折り合いを付けることも考えられます。
法律だけで割り切ろうとするのではなく、
手続きを怠った経緯や本人の立場も踏まえて対応することがポイント。
遡及加入は、単なる保険料の問題ではなく、
会社への信頼にも関わる問題。
だからこそ、
相手が納得できる譲歩を含めて解決することが、
現実的な対応と言えるでしょう。
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