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中小企業診断士【第2次試験突破のノウハウ】
第53号
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ご講読いただきましてありがとうございます。
このメールマガジンでは、新試験制度移行後の中小企業診断士【第2次試験】
の過去問題を中心に、解答作成のプロセスを詳細に解説していきます。
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当メルマガと連動する形で「事例構造化」資料を作成し、ホームページに掲載
しております。ここでの分析・解説の参考資料としてご覧ください。
※ホームページ
http://www.geocities.jp/lazybird_jp/
「事例構造化資料」の「平成14年度」から「事例IV」のリンクをクリック
してください。
前回は「平成14年度:事例IV」の第1問の分析・解説を行いました。
まだ経営指標の選択と指標値の算出しか行っていませんので、受験校の模範解
答は見ずに進めていこうと思います。したがって、今回のメルマガでは模範解
答との比較や振り返りは行わず、次回、まとめて反省しようと思います。
それでは、「平成14年度:事例IV」の第1問(続き)の分析・解説を始めま
す。
<<<<<<<<<< 分 析・解 説 >>>>>>>>>>
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┃ ┃
┃ 平成14年度 事例IV(財務戦略) ┃
┃ ┃
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【第1問】//////////////////////////////
平成13年度
貸借対照表および
損益計算書を用いてD社の経営分析せよ。そし
て、X社と比較した場合、D社の総
資本経常利益率を圧迫している原因として、
特に重要と思われる問題点を3つ挙げ、その解決策を示せ。
解答用紙には問題点1)、2)、3)ごとに、それぞれ問題点の根拠を最も的確に示
す経営指標を1つだけ挙げて、(a)欄にその名称を示し、(b)欄にD社の
経営指標値(小数点第3位を四捨五入すること)を記入せよ。また、(c)欄
には問題点を40字以内で、(d)欄にはその問題点の解決策を40字以内で、
それぞれ述べよ。
///////////////////////////////////
【題意の把握】----------------------------
題意については、前回のメルマガに書いた内容から付け加えることは特にあり
ません。が、「問題点」と「解決策」を検討するうえでの注意点について、以
下に再掲しておきます。
【記述内容に求められること】
・問題点についてはできるだけ「真因追求」した結果を、
・解決策については一般論的ではなく「事例に即した」内容を
・両者とも与件文の範囲から飛躍した内容にならないこと
これらに注意しながら【与件文との関連】を考えていきたいと思います。
【与件文との関連】--------------------------
前回のメルマガで挙げた「問題点の根拠を最も的確に示す経営指標」は
・
売上高対人件費比率
・商品回転率
・
固定資産回転率
でした。これらについて一つ一つ「問題点」と「解決策」を考えていきます。
まずは「
売上高対人件費比率」から。前回、前々回のメルマガでも書きました
が、ここでD社とX社それぞれの数値を挙げて比較してみます
┌────┬──────┬───────┬────────────┐
│ │
従業員数 │ 人件費 │ 一人当たり平均人件費 │
├────┼──────┼───────┼────────────┤
│ D社 │ 50名│ 195百万円│ 3.90百万円│
├────┼──────┼───────┼────────────┤
│ X社 │ 60名│ 158百万円│ 2.63百万円│
└────┴──────┴───────┴────────────┘
一人当たりの平均人件費で見るとD社の方が「1.27百万円」多くなってい
ます。ずいぶんと差があるように感じます。別に人件費の絶対額が多いからと
言って悪いわけではありません。儲かっていれば何も問題は無いはずです。
ということで、
売上高に占める割合を確認してみます。
D社:195÷1,626×100=11.99%
X社:158÷1,856×100= 8.51%
これは既に前回で算出済みなので改めて書く必要は無いかも知れませんね。売
上高に占める人件費の割合はD社のほうが「3.48ポイント」も多くなって
います。
つまり、D社のほうが「人件費の負担が重くなっている」ことを表していると
考えられます。では、人件費負担が重くなっている「真の原因」を探してみた
いと思うのですが、これ以上真因を追求するのは難しそうです。
なぜなら、D社の「一人当たり平均人件費」が大きくなっていることの根拠が
与件文に見当たらないためです。例えば、
・X社は
従業員に占めるパートやアルバイトの比率がD社より高い
・D社は年功的な
賃金制度で人件費が高騰してしまった
といったことが書かれていれば、それを「問題点」として挙げられるのですが
与件文を見る限りではこれ以上の真因追究はちょっと難しそうです。何か見逃
しているのかも知れませんが...
したがって「
売上高対人件費比率」に関する「問題点」は
・D社はX社よりも
従業員数および
売上高が少ないにも関わらず人件費
の絶対額が多い
であると考えられます。となると「解決策」は
・X社の
賃金水準を参考にして人件費の見直しを行う
・X社の
売上高対人件費比率を参考にして人件費の見直しを行う
・X社の店舗オペレーションを参考にして人員配置の適正化を図る
のようになるのではないでしょうか。「
売上高対人件費比率」については上記
の検討内容をもとに参考解答を書いてみたいと思います。
続いて「商品回転率」です。これについても前回のメルマガに書きましたが、
再度挙げておきます。D社の「商品回転率」における問題点としては
・ほとんどの種類の書籍を扱っている
・POSレジを売上実績の把握と
決算書の作成にしか活用していない
などが与件文から読み取れます。X社の取り扱い書籍の種類が与件文に明示さ
れていないので、D社の品揃えの良し悪しを比較することはできないのですが、
要するに
「書籍の種類ごとの回転率が把握できていない」
ということが言いたいのではないでしょうか。それに関連すると考えられます
が、POSレジの活用についても仕入情報と売上実績に基づく「在庫管理」が
行われていないのではないか、と思われます。なぜなら、与件文の文章からは
仕入情報は
決算書の作成まで使用されていないように解釈できるためです。
また、D社のB/Sからは
・商品の期末有高が前年と比べて170百万円も増加している
ことがわかります。
売上高の前年比増減がわからないので在庫の増え方が異常
であるかどうかを、
売上高の推移から判断することはできないのですが、商品
の増加率に
売上高は比例していないと考えて差し支えないと思われます。この
点についても「在庫管理」に不備があることを示唆しているのではないでしょ
うか。
したがって「商品回転率」に関する「問題点」としては
・ほとんどの種類の書籍を扱っているが、在庫管理に不備があり書籍の
種類ごとの回転率が把握できていない
・商品在庫を大幅に増加させ、商品回転率を低下させた
が挙げられます。そして「解決策」は
・売上情報と仕入情報をもとに在庫管理を徹底する
・回転率(採算性)の低い商品カテゴリーの取り扱い比率を下げる
などが考えられます。「商品回転率」についてはこれらをもとに参考解答を書
いてみたいと思います。
最後は「
固定資産回転率」についてです。これについても既に前回のメルマガ
に書いてしまったのですが、再度挙げておきます。D社の「
固定資産回転率」
における問題としては
・自社ビルを店舗および倉庫として使用している
といったことが与件文の一行目に書かれています。「自社ビルをどう使おうが
うちの勝手じゃないの?」というD社社長からの声が聞こえてきそうですが、
・X社より
売上高が少ないのに
固定資産の絶対額が多い
・自社ビルという
資産を有効活用できていない
という事実を指摘することができそうです。これが「
固定資産回転率」に関す
る「問題点」であると言えそうです。
上記の点に関する「解決策」としては
・自社ビルを売却して店舗を賃借形式に変更する
・倉庫部分を店舗にして売り場面積を拡大する
などが考えられます。
固定資産の圧縮、
資産活用度の向上といったところでし
ょうか。
何か指標の選択時と内容的にかぶっている部分が多くなってしまいましたが、
ここまでの検討内容から参考解答を書いていきたいと思います。
【使用可能なキーワード】-----------------------
「問題点」「解決策」で挙げたことからキーワードを抽出しておきます。
【
売上高対人件費比率】
・人件費負担(対
従業員数、対
売上高)
・
賃金水準
・人件費、人員配置の見直し(適正化)
【商品回転率】
・商品在庫の大幅な増加(過剰在庫)
・在庫管理の不備
・商品カテゴリー(書籍種類)ごとの回転率、採算性
(交叉比率、GMROI)
・売上、仕入情報に基づく在庫管理
【
固定資産回転率】
・
固定資産の効率性(対
売上高)
・
資産の有効活用
・売却して賃借に切り替え(
資産の圧縮)
・倉庫から売り場への転換(売り場面積拡大、
資産活用度の向上)
といったところでしょうか。内容を要約したキーワードをいくつか付け加えて
みました。
【文章構成の設計】--------------------------
「問題点」「解決策」ともに40字の解答スペースしかないため、特に文章構
成を気にする必要もないと思われますが、「要約力」は必要になります。
このメルマガでも何度も書いてきましたが、「要約力」は重要です。今年の2
次本試験でも
事例1:第5問(設問2)30字×3
事例2:第3問 20字×3
事例3:第1問(設問1)50字×2
事例4:第2問(設問2)30字×2
とすべての事例で短文解答が求められています。設問の題意に応え、かつ言い
たいことをすべて含めるには、やはり「要約力」を駆使するしかないですよね。
うまく要約できないことで、なかなか解答欄を埋められずに焦ってしまうこと
もあるのでないでしょうか。泣く泣く何かを外したりして、言いたいことをす
べて含めることができなかったり、何てこともありますからね。
試験対策としても重要ですが、普段の生活でも十分に活かすことができそうな
ので、訓練しておいて損は無いのではないでしょうか。
「参考解答」=============================
1)
(c)X社と比べて
従業員数が少ないにも関わらず、人件費負担が大きく
収益
を圧迫している。
(d)X社の
賃金水準や
売上高対人件費比率を参考に、人件費および人員配置
の適正化を図る。
2)
(c)在庫管理の不備による商品在庫の大幅な増加が過剰在庫となり、商品回
転率を低下させた。
(d)売上・仕入情報による在庫管理の実施と書籍種類ごとの回転率を把握し
適正在庫化を図る。
3)
(c)X社と比べて
固定資産の効率性が低いうえ、自社ビルなどの
資産が有効
活用されていない。
(d)自社ビル売却と賃借店舗への切替、倉庫の売り場転換等により
資産の効
率性を向上させる。
===================================
この問題、難しいです...やはり要約がうまく行ってない感じがします。特
に2)と3)の「解決策」についてはかなり不満足な記述内容となってしまい
ました。というか、解決策を盛り込みすぎた感もありますね。3)の解決策な
んか「結局、どっちにすれば良いの?」と言われること、間違いなしですね。
本試験の時にはなんて書いたのか見てみたいですね。意外にすっきりとしたわ
かりやすい内容だったりして。
今回はここまでとさせていただきます。
次回は「平成14年度:事例IV」の第2問(設問1)から分析・解説します。