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『民主党による税制改正』 その5 消費税改革

 札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし)です。
 
 民主党のマニフェストではごく僅かしか触れられていない税制。そこで、より詳しく記載されている民主党の「政策集 INDEX 2009」から税制改正についての政策を見ていきましょう。
 
 『民主党による税制改正』その5です。
 
 これまでお伝えした内容は以下のとおりです。
 
1回目・・・「納税者の視点に立った税制へ」という題で、「税制改正過程の抜本改革」「税・社会保障共通番号の導入」「納税者権利憲章の制定と更正期間の見直し」「国税不服審判のあり方の見直し」

2回目・・・「所得税改革の推進」という題で、「所得控除の整理、税額控除、手当等への切り替え」「給与所得控除の見直し」

3回目・・・「年金課税の見直し」と「住宅ローン減税等」

4回目・・・「給付付き税額控除制度の導入」、「金融所得課税改革の推進」
 

1 消費税改革の推進
 
 「消費税に対する国民の信頼を得るために、その税収を決して財政赤字の穴埋めには使わないということを約束した上で、国民に確実に還元することになる社会保障以外に充てないことを法律上も会計上も明確にします。
 具体的には、現行の税率5%を維持し、税収全額相当分を年金財源に充当します。将来的には、すべての国民に対して一定程度の年金を保障する「最低保障年金」や国民皆保険を担保する「医療費」など、最低限のセーフティネットを確実に提供するための財源とします。
 税率については、社会保障目的税化やその使途である基礎的社会保障制度の抜本的な改革が検討の前提となります。その上で、引き上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け、具体化します。
 インボイス制度(仕入税額控除の際に税額を明示した請求書等の保存を求める制度)を早急に導入することにより、消費者の負担した消費税が適正に国庫に納税されるようにします。
 逆進性対策のため、将来的には「給付付き消費税額控除」を導入します。これは、家計調査などの客観的な統計に基づき、年間の基礎的な消費支出にかかる消費税相当額を一律に税額控除し、控除しきれない部分については給付をするものです。これにより消費税の公平性を維持し、かつ税率をできるだけ低く抑えながら、最低限の生活にかかる消費税については実質的に免除することができるようになります。」
 
 以上の消費税政策を今後の時間軸を考慮してまとめると次のようになります。
 
1 税率は引き上げず、しばらくは現行の5%を維持すること。
2 税収の全額相当分を年金財源に充当すること。
3 インボイス制度(注1)を早急に導入すること。
4 将来的にも、税収を社会保障以外に充てないこと。
5 将来の税率については、社会保障制度の抜本改革の中身により計算されること。
6 将来行う引き上げ幅については、国民の審判を受けること。
7 消費税の持つ逆進性への対策として、将来に、給付付き消費税額控除を導入すること。
 
 間接税には個別間接税と一般間接税という分類方法がありますが、消費税は一般間接税であり、現在の税率は国税としての消費税4%と地方税としての地方消費税1%の合わせて5%となっています。平成21年度予算では、地方税を合わせた全部の税収約84兆6千億円のうち、消費税は15%、約12兆7千億円を占めています(注2)。
  
 ここ数年マスコミや経済界において、財政健全化のためには、消費税率のアップが不可避であるという論調が幅を利かせているようですが、私は常々このような傾向に疑問を感じていました(注3)。
 
 財政健全化のために行うべきことの第一は、財政支出の無駄を徹底的に洗い出し、その削減努力を毎年継続するとともに、担税者である国民の大多数が納得し、安心できる世の中を実現するために必要な予算を迅速的確に組む体制を構築することです。次にその財源として、あらゆる税制について、「税の理念」に再度目を向け、民主主義国家における「あるべき税制」と言う視点から、それぞれの税制をどのような方向へ改革すべきか順次検討し、実行に移すことです。この二つが民主主義国家を支える基本であると考えます。
 
 税制について見ると、財政収入を支える税は消費税だけに限られるわけではありません。所得税や個人住民税のような「個人所得課税の税金」(全税収の33.6%)、法人税法人住民税法人事業税のような「法人所得課税の税金」(20.9%)、相続税固定資産税など「資産課税等の税金」(16.0%)、それに間接税である「消費課税の税金」(29.6%)などいろいろあります。これらの税制1つ1つについて、「あるべき税制」と言う視点から再検討することが求められます。
 
 これらを前提として、民主党の消費税に対する政策を見るとおおむね国民の視線に立った政策となっているように思われます。ことに、この不況のさなかにおいて税率の引き上げに言及することは、民主主義の主役である国民の感情をないがしろにしたもので、これだけはやってもらいたくないと思っていましたので、民主党政権がしばらくは現状維持を打ち出したことに安心しました。
 
 また、消費税を財政赤字の穴埋めに決して使わないという姿勢にも好感が持てます。消費税社会保障目的で活用してもらいたいと思うからです。自民党政権下の政官財では、一般間接税である消費税を財政赤字解消のための便利なマネー製造機と誤解しているような感じを受けましたが、ここではその断絶を図っています。
  
 なお、上記の最低保障年金とは、誰もが月最低7万円の年金を受けることができるようにしようという制度で、マニフェストでも代表的な政策として謳われています。
  
 さらに、消費税が持つ逆進性の解消手段として「給付付き消費税額控除」を導入するという点も納得できます。従来、逆進性の解消のための方策として、食料品等の生活必需品への非課税化や軽減税率・ゼロ税率などの複数税率制が検討されてきましたが、これらは会計の複雑化を招来し、納税者(申告義務者)の事務負担の増加をもたらすことになるからです。給付付き消費税額控除ならば、単一税率を維持できるとともに課税区分の変更も不要のため、現状の制度に手を加える必要がありません。
 
 所得税法で、税額控除対象者の範囲をどうするのか、一人当たりの税額控除額をいくらにするのかという問題がありますが、時間をかけて検討し、担税者が納得する制度を作り上げてもらいたいものです。
 
 事務上のその他の問題点としてはインボイスの導入がすんなり行くのかが懸念されるところです。1989年の消費税の導入以来既に20年間に渡りわが国独自の帳簿方式で行ってきた仕入れ税額控除。これについては、私も特段の不便さや不適正さを感じていません。小規模事業者への負担増をもたらすインボイス方式を早急に導入する意義があるかどうかを冷静に見極める必要があると思います。
 
 最後に、もし将来において消費税率を引き上げざるを得ないような事態に至った場合には、「税率引き上げ幅については、国民の審判を受ける」ことを必ず実行してもらいたいものです。現行の制度では選挙にならざるを得ないでしょうが、争点を1つに絞って国民に判断を仰ぐ国民審判制度を導入し、これを使って民意を判定してもいいですね。少なくても衆院や参院の多数勢力を背景とした無闇な引上げだけは絶対に行わないと国民に堅く約束してもらいたいものです。
 
 
 皆さんはどう考えますか?
 
 
 次回は、『民主党による税制改正』 その6 法人税改革等 について見ていきます。
 
 
 その他の『ちょっとためになる情報』は、次のサイトの「お知らせ」と「ブログ」でどうぞ!!

http://www.ksc-kaikei.com/

 
 See you next !
 
 
(注1)「インボイス方式」(財務省)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/401.htm
 
(注2)「国税地方税の内訳」(財務省)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/001.htm
 
(注3)『税金とは?』 その3 間接税制度(本KSC会計事務所のブログ2009.5.18)
http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=25
 
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    札幌市豊平区  税理士 溝江 諭 KSC会計事務所  
          http://www.ksc-kaikei.com/
 
    札幌学院大学  客員教授 溝江 諭 税務会計論担当 
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