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秘密保持契約の目的について

著者 cody さん

最終更新日:2011年08月29日 17:59

秘密保持契約について

目的(検討の範囲)を広く規定した場合の
契約の有効性
・想定されるリスク

について相談できずに悩んでいます。


「甲および乙は、協業の可能性を検討するため(以下「本件目的」という)、相互に必要な範囲で秘密情報を開示するものとする。」

つまり、
甲社と乙社は色々やりとりしながら協業できるところはやっていくよ、(いわゆる包括秘密保持ですか?)という具合に目的が広範な秘密保持契約も有効なのでしょう。

あまりに目的が広範な場合、秘密情報が特定できず結局何の情報も守れない、とうことはありますか。
それとも、上の問題は、秘密情報の定義で解決できるので、
目的がどんなに広範でも問題ない、ということになりますか。


また、目的が広範である場合の問題になりうるもの(想定されるリスク)、はどんなものがありますか。

例えば、
「協業の可能性を検討するのに必要だから、○○の情報を提示されたい」という、開示義務が生じる範囲が広くなるということでしょうか。

その場合の対策として
「甲および乙は、協業の可能性を検討するため(以下「本件目的」という)、各々が必要と認める範囲で相手方に秘密情報を開示するものとする。」

このように開示の権利・義務のバランシングの問題になるという理解でよろしいでしょうか。

その他、検討すべきリスクはありますか。

以上、お手数ですがアドバイスいただけますと幸いです。

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Re: 秘密保持契約の目的について

著者泉つかさ法務事務所さん (専門家)

2011年08月30日 11:09

競業・共同研究開発などの検討に当たっては、起こり得る規定の仕方ではありますね。
必要と要求されたものには応じなければならないとか、開示したもの全てが秘密情報となるわけではありませんから、例えば、
「機密の指定」というような条項を設け、
開示する側が機密物に付する「秘」「社外秘」等の表示は機密の指定に当たるとか、
これにかかわらず、任意の方法で事前(事後であれば期間を限定して。)に明示あるいは通知することにより機密の指定を行うことができる、
などを規定しておかれたら如何でしょうか?

商行為・取引には当然秘密保持義務が伴っています。お互いの意識の再確認というような感じでよろしいと思いますが。

Re: 秘密保持契約の目的について

著者codyさん

2011年08月30日 12:55

アドバイスありがとうございます。

> 競業・共同研究開発などの検討に当たっては、起こり得る規定の仕方ではありますね。

曖昧な規定の仕方だと、秘密保持義務を負う範囲が不明確で無効かと思いましたが、有効なのですね。

例えば、甲社と乙社が協業して、乙社が色々なクライアントを連れてきてくれる、とします。この場合、乙社がクライアントAやクライアントBの案件を持ってくる打ち合わせに秘密保持契約の効果が及んでいる必要があります。

そのための秘密保持契約の前文は

「甲および乙は、協業を検討するため(以下「本件目的」という)、相互に必要な範囲で秘密情報を開示するものとする。」
という文言で問題ないでしょうか。表現が気になります。


> 必要と要求されたものには応じなければならないとか、開示したもの全てが秘密情報となるわけではありませんから、

これは、文書には「confidential」が入ってるかどうかで判断できるのでわかりやすいのですが、口頭の発言の場合はどうなのでしょうか。

口頭で秘密情報(例えば、「NDA結んでるから話すけど、今、Z社と話しをしていて・・」等)が開示された場合、後日文書等で「あの情報は秘密情報です」と指定しないと保護できないのでしょうか。条項の規定の仕方で、口頭の発言も秘密情報として保護できるのでしょうか。立証時に困りそうですが。

以上、重ねての質問で大変申し訳ございませんが、アドバイスいただけますと幸甚です。

Re: 秘密保持契約の目的について

> 口頭で秘密情報(例えば、「NDA結んでるから話すけど、今、Z社と話しをしていて・・」等)が開示された場合、後日文書等で「あの情報は秘密情報です」と指定しないと保護できないのでしょうか。条項の規定の仕方で、口頭の発言も秘密情報として保護できるのでしょうか。立証時に困りそうですが。

当社の場合、そのようなケースでは、議事録を作成し両者がサインして、その議事録に社外秘やマル秘等の印を付しています。

Re: 秘密保持契約の目的について

著者泉つかさ法務事務所さん (専門家)

2011年08月30日 17:54

秘密情報の範囲を、
自己と取引を開始することの検討を依頼していること自体の情報を含め、本契約の当事者の一方が、本件目的で相手方に提供する一切の情報をいう。。(以下、当事者双方を「情報提供者」または「情報受領者」という。)
などとしておき、
(なお、情報提供の方法は、書面・口頭その他媒体の如何を問わない。と入れておいても良いでしょう。)

また、
情報提供者は、書面により提供する秘密情報については、当該書面上に秘密である旨を表示し、口頭その他書面以外の方法で提供する秘密情報については、合理的に可能な方法で情報受領者に秘密情報である旨を明示するよう努めなければならない。
のように規定しても良いかも知れません。

Subieさんの書かれている議事録での確認は最適の方法だと思います。

Re: 秘密保持契約の目的について

著者codyさん

2011年08月30日 18:40

泉つかさ法務事務所様・Subie様

どうもありがとうございます。

もやもやしていた内容がクリアカットに整理できました。

アドバイスを参考に起案してみます。

重ねまして、どうもありがとうございました。

Re: 秘密保持契約の目的について

著者トライトンさん

2011年08月31日 13:25

お二方の回答でかなり明確になったかと思います。
書面でなくても口頭あるいは視覚的に見た内容も機密にしておくものもあるかと思います。

現場の機密保持契約書では、下記例のような文言を入れることが多いですので参考になれば幸いです。

「口頭による情報開示でも、開示の際に機密として取り扱われ、開示後○○日以内に内容を特定できる程度の書面に要約して受領者に交付されたものは本契約による機密情報として取扱われる。」

「但し、口頭または視覚的な形で開示された秘密情報は開示後14日以内に内容を特定できる程度の書面に要約して受領者に交付するものとする。」

Re: 秘密保持契約の目的について

著者codyさん

2011年08月31日 14:45

トライトンさま、ありがとうございます。

実際に使われている条項の文言は勉強になります。

「口頭による情報開示でも、開示の際に機密として取り扱われ、開示後○○日以内に内容を特定できる程度の書面に要約して受領者に交付されたものは本契約による機密情報として取扱われる。」

口頭の情報→機密(でも、この契約では保護されない。単なる努力義務?)

口頭の情報+期限内の書面化→本契約により保護される機密

という事ですよね。

うっかり書面化し忘れてしまった場合、機密保持契約では守れないですが、「機密」であることから、何らかの方法で保護できるのでしょうか?

不勉強で申し訳ございませんが、ご教示いただけますと幸いです。

Re: 秘密保持契約の目的について

著者トライトンさん

2011年08月31日 15:00

うっかり書面化するのを忘れた場合は、当該機密保持契約書では、機密情報に該当しなくなりますので、当該契約で定める損害賠償等の適用がなくなってしまいます。
なので、それを恐れるのでしたら、書面化したものも対象とする文言は入れない方がいいかもしれません。単に「口頭による情報開示も対象となる」旨だけがいいかもしれません。
但し、その場合、言った、言わない、という問題が発生するリスクがあります。なのでアドバイスがあった議事録や上記の書面化はやはり重要であり、仮にも機密情報を開示するのですから、忘れる、といったことがないよう慎重を期すことが重要だと思います。
ちなみに、○○日の部分は、一般的に短くて7日、長くて30日程度です。

Re: 秘密保持契約の目的について

著者泉つかさ法務事務所さん (専門家)

2011年08月31日 15:17

> 泉つかさ法務事務所様・Subie様
>
> どうもありがとうございます。
>
> もやもやしていた内容がクリアカットに整理できました。
>
> アドバイスを参考に起案してみます。
>
> 重ねまして、どうもありがとうございました。

当事務所のHP上で無料公開している機密保持契約書がありますので、簡易ヴァージョンではありますが、全体の構成を含め、ご参考になさってください。

http://www.eonet.ne.jp/~tsukasa-houmu/sample/A-01-kimitsuhoji.pdf

なお、機密と秘密は入れ替えても特に問題ありませんので。

Re: 秘密保持契約の目的について

著者codyさん

2011年08月31日 15:50

トライトンさま、ありがとうございます。

ポイントがはっきりわかりました。

議事録による書面化が大事ですね。

よく意味もわからないのに「とりあえずNDA締結しましょう。結んでおけば大丈夫だから。」という人(結構いるんです)に説明するときに、今回のポイントをきっちり入れたいと思います。

有益なアドバイス、ありがとうございました。

Re: 秘密保持契約の目的について

> 商行為・取引には当然秘密保持義務が伴っています。お互いの意識の再確認というような感じでよろしいと思いますが。


質問させていただきます。すなわち、「商行為・取引先には当然秘密保持義務が伴っています」とのことですが、そのことは、商法(明治33年法律第48号)のどこに規定されているのでしょうか。御教示ください。

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