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減価償却の前期損益修正について

著者 SAI さん

最終更新日:2008年08月08日 13:24

前期に減価償却したもののを今期前期損益修正して戻し、翌期再度減価償却することに税務上問題はないでしょうか。


前期
減価償却費) 100 (建物)      100
今期
(建物)    100 (前期損益修正益) 100
翌期
減価償却費) 100 (建物)      100

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Re: 減価償却の前期損益修正について

SAI様

hakotan2と申します。

この問題は、簡単にお答えできないと申し上げるしかありません。
法人税法のみではなく、減価償却費の処理は、企業会計と密接に関係していますので
企業会計上の問題も考えないといけないと思うからです。
また、法人税法の減価償却の処理について、いくつかのケースがあります。
少し長文になります。

法人税法】

1.減価償却費が、法人税法の償却限度額である場合
「前期の処理」
法人税法上の償却限度額の償却費の計上で問題なし。
「今期の処理」
減価償却費の処理をしていませんので、法人税法で計算した償却限度額が償却不足額になります。
企業が減価償却をしなかったので、償却不足額は切り捨てられます。
前期損益修正益は益金ですので課税所得に含まれてしまいます。
「翌期の処理」
法人税法上の償却限度額の償却費の計上で問題なし。

減価償却費の処理が何年か遅れます。

2.減価償却費が全額超過額の場合
「前期の処理」
法人税法上、償却超過額となり翌期以降繰り越されます。
超過額が課税所得に加算されます。
「今期の処理」
今期の減価償却費の償却限度額が、繰り越された償却超過額
の範囲内で課税所得から減算されます。
前期損益修正益を計上しなければ、課税所得から減算されるだけですが
前期損益修正益は益金ですので課税所得に含まれてしまいます。
「翌期の処理」
法人税法上、償却超過額となり翌期以降繰り越されます。
超過額が課税所得に加算されます。

減価償却の処理が何年か遅れます。

③その他、償却不足、一部の償却超過などのいろいろのケースがありますが省略します。

間違えて前期に減価償却費を多く計上してしまったので戻すということでしたら
前期にでた償却超過額を、今期減価償却費を減算するだけの処理でよろしいと思います。
前期損益修正益を計上する必要はないと考えます。

もし、意識的に今期収益を計上して利益を出したいということでしたら
法人税法上は、課税されるか否かでありますので、税金を支払えば問題がないと言えば言えると思います。

企業会計上】

1.会社法の施行規則、会社法計算規則
第5条
2 償却すべき資産については、事業年度の末日において、相当の償却をしなければならない。

2.中小企業の会計に関する指針
固定資産減価償却は、経営状況により任意に行うことなく
--中略--毎期継続して規則的な償却を行う。
ただし、法人税法の規定による償却限度額をもって償却することができる。

間違えでしたら、前期の減価償却費を戻して、今期正しい減価償却費を計上することになると思います。

もし意識的に減価償却費を計上したり、しなかったり、利益が出たから減価償却費を多く計上し
損失になるから前期損益修正益を計上するといったことでしたらお勧めできません。
御社の会社の規模がわかりませんが、少しきつい言い方になって申し訳ありませんが
この処理の方法は、粉飾決算の代表的な例になります。
粉飾決算の見分け方」都井清史先生著 社団法人金融財政事情研究会出版

いろいろなケースを考えましたので、もし失礼な点がありましたらお詫びいたします。
処理の仕方は、あくまで御社の考え方です。
長文になりましたが、ご不明な点がありましたら、ご返信ください。

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