相談の広場
私の働いている会社では、有給休暇は「事前」に「許可」を得るものだ、ということで、
当日、または事後報告では有休ではなく、欠勤として給与を日割りで差し引く、といわれます。
さらに、許可がおりないときも多々あります。
これでは突然の発熱や病気は有休にできません。
有給休暇にはそういった取り方を決めてよいものなのでしょうか?
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年次有給休暇は、原則として事前に申し出るものとされています。
なぜなら、使用者には時季変更権があり、
その行使の有無を判断したり代替要員を確保するための時間的猶予が与えられるべきであるにもかかわらず、
当日や事後ではその時間的猶予がなくなってしまうからです。
こういった原則があることから、
「○日前までに申し出ること」というような取り決めしたとしても、
その日数が妥当な範囲である限りは正当なものとされており、
当日や事後の申し出については、
それを認めるかどうかは使用者の任意となっています。
したがって、会社側が当日や事後の申し出があった場合に、
年次有給休暇として処理しないという判断をしたとしても、
それが裁量権の乱用に当たらない限りは違法ではありません。
【参考】
H 6. 3.24 東京高裁 平成05(行コ)44 東京貯金事務センター職員年休事件
「労働基準法に定める年次有給休暇の制度は、労働者において同法三九条一項ないし三項に基づく具体的な時季指定をすることによって、当該労働者の当該日についての労働義務を法律上当然に免れさせるものであるが、他面、使用者に時季変更権が認められていることに照らすと、右時季指定は、使用者において事前に時季変更の要否を検討し当該労働者にその告知をするに足りる相当の時間を置いてなされなければならないと解される。したがって、年次有給休暇の事後請求という概念は本来成立たない性質のものである。もっとも、労働者が急病その他の緊急の事態のため予め時季指定をすることができずに欠務した場合、使用者において、当該労働者の求めに応じて、欠勤と扱わず、年次有給休暇と振り替える処理が実際上行われることがある。この場合の年次有給休暇の扱いを求める申し出が年次有給休暇の事後請求と呼ばれることがあるが、右申し出に応じた処理をするか否かは、使用者の裁量に委ねられているものというべきであり、この申し出によって当然に休暇取得の法的効力を生ずるものと解すべき法的根拠はない。したがって、年次有給休暇のいわゆる事後請求が認められなかったからといって、一般には、使用者の処理が違法なものとなることはなく、ただ、当該申し出の事情を勘案すれば年次有給休暇として処理することが当然に妥当であると認められるのに、使用者がもっぱら他の事情に基づいてその処理を拒否するなど裁量権を濫用したと認められる特段の事情が認められる場合に限り違法となるものというべきである。」
ただし、「許可」というとちょっと語弊がありますね。
年次有給休暇の取得には「許可」は必要ありません。
通達では、以下のように規定されています。
【参考】
昭和48・3・6 基発第110号
「年次有給休暇の権利は、法定要件を充たした場合法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまってはじめて生ずるものではない。
同上第4項の「請求」とは休暇の時季を指定するという趣旨であって、労働者が時季の指定をしたときは、客観的に同項ただし書所定の事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしない限り、その指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。
このように解するならば、年次有給休暇の成立要件として、労働者による「休暇の請求」や、これに対する使用者の「承認」というような観念を容れる余地はない。」
上記のとおり、原則的には労働者の事前の申し出により当然に成立するもので「許可」や「承認」は必要なく、
会社側が時季変更権を行使しない限りは、希望通りに取得できるものとなります。
また、時季変更権は、「事業の正常な運営を妨げる」場合にのみ行使できるものとされており、
「事業の正常な運営を妨げる」とは、「当該労働者の年休を取る日の仕事がその所属する部・課などの業務運営にとって不可欠であり、かつ代わりの労働者を確保することが困難であること」となっています。
つまり、単に忙しいからという理由だけでは時季変更権の行使はできません。
したがって、実際のところ、時季変更権を行使できるケースというのは極めて少なく、
法的には、労働者が事前に申し出ている場合に関しては、
会社側は年次有給休暇の取得を認めざるを得ないケースがほとんどと言えます。
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