
営業力が低い会社は「チームワーク」不足?経営者が取り組むべき解決策は…
コロナ禍の時代も長引き、多くの経営者の方から、「売り上げが落ち込んでいる」「数字が伸びない」という声を耳にします。
一方で順調に結果を出している会社があるのです。そういった会社にはある共通点があります。その共通点とは、ズバリ”チーム力がある”ということです。営業スタッフが孤立してそれぞれ争っているのではなく、チームが一丸となって結果を出しています。
昔ながらの営業会社であれば、“同じような実力の営業スタッフがライバルとして競い合う”といったスタイルでもモチベーションや営業成績も保てていたかもしれません。
しかし、市場競争が加速した今の時代、同じ会社内で争っていては十分な結果を出すことはできません。お互いに認め合い、協力し合ったほうがよいのです。今回は、そのために必要なことをお話しさせてください。
チームワークが営業力につながる
一昔前までは“隣の席の営業スタッフ”は、ライバルということが多かったのではないでしょうか?
同じ会社同じ営業所だとしても、営業は個人の成績がすべて。それぞれ営業スタッフたちは「評価や賞与のために他のメンバーよりも多く契約を取りたい」という競争心が高まり、それがモチベーションとなっていたことありました。
チームワークには強いリーダーシップが必要
営業は数字の世界です。契約を数多く取った人、もしくは売り上げを1円でも多く上げた人の勝ちです。勝ち負けが非常に明確なのです。そういった意味では非常にフェアな世界なのです。
ただし、これからは営業力を上げるためにはチームワークが必要となってきます。お客様の数が減りライバルが力を増していく中、社内での競争に終始している場合ではありません。
チームワークを発揮して結果を出すためにはより強いリーダーシップが必要になってきます。そのためには今までの実績、プライドなど一度捨て去ることも必要でしょう。過去の経験がよきリーダーになるためのブロックになることも少なくないからです。
営業の世界でのリーダーの問題点とは?
営業の世界では、トップ営業スタッフだった人が、次のステップとして、チームをマネジメントする立場になることが多いです。自分でも契約を取りながら、部下の面倒をみるプレイングマネージャーになることもありますし、部下の指導だけする専業マネージャーになることもあるでしょう。
ただ、私の知っている限り、トップ営業スタッフの方は部下を持った途端、「あまり成果が出せていないな……」と感じることが多いのです。営業にはさまざまな結果の出し方があり、それぞれの指導方法が存在しています。自分ではできても部下はできない、なんてことがよくあるのです。
スポーツの世界では“名選手、名監督にあらず”といったことを言われますが、まさにその通りです。名選手で名監督になる人もいますが、監督になったとたん「選手時代の方が輝いていたなぁ……」と感じてしまうケースも少なくないのです。
営業リーダーの失敗事例と成功事例
チームワークが営業力アップにつながること、そのためにはよきリーダーが必要なことをお伝えしました。ここでは、実際にトップ営業からリーダーになった方の失敗事例と成功事例を紹介しましょう。
失敗事例:トップ営業のまま走り続け、部下の面倒はみなかったAさん
ハウスメーカーの営業スタッフ時代のことです。会社でダントツに結果を出すトップ営業スタッフAさんがいました。群馬県という地方のエリアでありながら、全国でもトップクラスの成績を残す実力のある人だったのです。
その方が出世してプレイングマネージャーになりました。伝説的なトップ営業スタッフだったため「マネージャーになればさらにすごい結果を出すのでは!」と期待されました。しかし、現実はその通りにはいきませんでした。
そのトップ営業スタッフは典型的なハンタータイプ。勝手に行動し部下の面倒は一切見ない、といったタイプだったのです。かろうじて自分だけは数字を残したものの、あとのメンバーはさっぱりでした。このチームはすぐに解体され、この方はいちプレイヤーに逆戻りしたのです。
成功事例1:ヒアリング力を活かし、部下の課題を解決したBさん
では、次に好例をご紹介します。筆者の知人のマネージャーBさんです。元トップの営業スタッフでしたが、現在はマネージャーとして部下を上手に指導し、ダントツの結果を出しています。
Bさんはトップ営業スタッフ時代、お客様から要望を深くヒアリングするタイプでした。お客様の本当の要望を聞き取ることで、的を射た提案をしていたのです。Bさんは上司になってからも、部下に対してヒアリングを積極的に行っていました。
具体的には、部下に対して、下記のような内容を丁寧に聞き取ります。
・「今何が一番つらいのか?」
・「何が行動のブレーキになっているのか?」
・「どんな悩みがあるのか?」
そして、部下の特性を理解したうえで、それを活かした的確なアドバイスをしたのです。Aさんは部下からヒアリングしてみて、「部下は自分が想像つかないようなことで悩んでいる」ということに気が付きます。具体的には、下記のような内容です。
・ちょっとしたパソコンの操作が苦手
・人間関係に苦しんでいる
・初回面談は強いが、クロージングは弱い
これをできる限り解決していくのです。例えば“初回面談が強い人”と“クロージングが強い人”がチームを組みます。そうすることで、一気に力を発揮したのです。
成功事例2:年が離れた部下との関係を強化したCさん
もう一人紹介します。 筆者と10年以上の付き合いになるプレイングマネージャーのCさんは、部下を指導しながら自分の成績も好成績をキープしています。Cさんの悩みは「部下との意思疎通がうまく行っていない」ということでした。
Cさんは約50歳で部下は25歳以下と倍も歳が離れていました。世代間ギャップもあり、指導してもなかなかうまく伝わらず、その状況に常にイライラしていたそうです。
そこで、Cさんは部下一人一人に「価値観が違い過ぎるから伝わらないと思うが、よくなって欲しいと思って言っている」と自分の正直な気持ちを伝えます。
部下が「味方なんだな」ということが伝わって、徐々に関係は変わってきたそうで、「最近は部下とよくプライベートの話をするようになった」と言います。お互い深く話をすれば分かり合えることも多いのです。こうしてチームが結束して結果を出しています。
チームワーク構築のため経営者がすべきこと
チームワークの大切さについてお話してきました。ここでチームワークを構築するために、経営者は具体的にどのようにすればよいかをご紹介します。
・チーム内のコミュニケーションを促す
一般的に、チーム内のコミュニケーションが活発になると、チームの雰囲気がよくなり、スタッフのモチベーションUPにもつながるといわれています。特に、上司から部下へのコミュニケーションが重要。部下の立場のスタッフは想定以上に上司に対して遠慮があるものです。そして、上司が「分かっているだろう」と思うことも、伝わっていないことも多いです。そのため、経営者としては、リーダー社員に部下へ積極的にコミュニケーションをとるように促す姿勢は常にもっていたいところです。
また、最近では、営業でもテレワークが採用されることも多く、チーム内のコミュニケーションが不足しているということはないでしょうか? 経営者として、社内のコミュニケーションツールを見直すことも、チームワーク構築につながるでしょう。
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・評価制度・報奨金制度を見直す
前項のチーム内のコミュニケーションについて徹底させるためにも、評価制度や報奨金制度は有効です。経営者としては、まずリーダー社員との面談を設定し、彼らのチームの現状や悩みをヒアリングしてみてはいかがでしょうか。チームワークを構築するために、リーダー社員の役割はとても重要です。ヒアリングした内容を元に、どのような評価制度があれば、リーダー社員のチームワーク構築へのモチベーションにつながるかを検討してみるとよいでしょう。
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・チームの目標、ビジョンを明確にする
最後にチームとしての目標とビジョンを明確にすることも忘れないようにしましょう。1つのゴールをチーム内で共有し、それに向かってそれぞれが行動することは、チームの結束力につながります。このときに、数字の目標だけでなく、「業界でこんなポジションを担いたい」といったようなビジョンも明確にするようにしましょう。
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まとめ
これから営業は楽ではなく、ますます厳しい時代に突入していきます。一人で頑張るのではなく、チームで協力して結果を出すことを考える必要があります。
今回紹介した内容を参考に、チーム力をアップさせ、営業力の向上につなげてください。
* metamorworks / PIXTA(ピクスタ)