労働実務事例
[ 質問 ]
企業の年金制度の調査をみていたら、以前は存在しなかった「確定給付企業年金」という項目があるのに気づきました。これは、具体的にはどのような仕組みで、厚生年金基金などとどこが違うのでしょうか。
奈良・Y社
[ お答え ]
厚生労働省では、就労条件総合調査により一定周期で企業の年金制度の実態を調べています。平成20年には、平成15年以来、5年ぶりに集計が実施されました。
それをみると、前回調査(平成15年)では0%だった「確定給付企業年金(CBPを含む)」が12.9%に増えています。
確定給付企業年金は、平成14年1月に施行された確定給付企業年金法に基づく仕組みです。
この仕組みを利用するためには、「厚生年金適用事業所の事業主が、被用者年金被保険者等の過半数労組(ないときは過半数代表者)の同意を得て、規約を作成し、必要な手続を執る」必要があります(同法第2条)。手続には、2通りがあります。
第1は、厚生労働大臣の承認を受けるタイプ(規約型)で、事業主が信託会社・生命保険会社等に資産運用・事務等を委託します。
第2は、厚生労働大臣の認可を受けて企業年金基金(企業本体とは別法人)を設立するタイプ(基金型)で、原則的には基金が各種事務を行います(運用は信託会社等に委託)。
確定給付企業年金は、従来の厚生年金基金を消滅させ、移行するケースが大部分を占めます。しかし、厚生年金基金がない会社でも、規約型・基金型の確定給付企業年金を創設することができます。
確定給付企業年金による給付は、厚生年金に上乗せする形となります。厚生年金基金とは異なり、厚生年金の一部を代行する機能はありません。
法で定める給付には、老齢給付金、脱退一時金(必須)、障害給付金、遺族給付金(規約で追加が可能)があります。
「確定給付」とは、金額の算定方法・給付の種類等をあらかじめ決めておくという意味です。事業主・従業員は拠出金を出して、積み立てますが、運用の責任は事業主側にあり、規約で定めた給付を保障する義務を負います。この点が、確定拠出型企業年金と異なるところです。確定拠出型では、拠出額のみを定め、給付額は運用結果次第で変動します。
ただし、市場金利の変動に応じて給付額を変動させる「キャッシュバランスプラン(CBP)」という方式を採ることも可能です。
確定給付企業年金の要件を満たせば(キャッシュバランスプランを含みます)、事業主の拠出金を損金算入できるなど、税法上のメリットを享受することができます。
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