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労働実務事例

提供:労働新聞社

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労使協定には「振込できる」とあるが、退職月のみ現金払い?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 退職に伴い、残っていた40日近い年休をすべて請求しました。年休を消化していたところ、賃金支払い日に銀行にお金が振り込まれていません。担当者は、「労使協定では『賃金を振り込むことができる』と規定しているので、今回、会社は現金払いを選択した。出社してほしい」といいます。従うしかないのでしょうか。

【東京・F生】

[ お答え ]

 賃金は通貨払いが原則ですが、「労働者の同意を得た場合には、銀行振込等の方法による」ことができます(労基則第7条の2)。同意取得のほか、会社は過半数労組(ないときは過半数代表者)と賃金の口座振込に関する協定を結ぶよう行政指導がなされています(平13・2・2基発第54号)。
 協定には、次の事項を記載します。
① 対象労働者の範囲
② 対象賃金の範囲・金額
③ 金融機関の範囲
④ 振込開始時期
 人材ビジネス会社等では、退職前、最後の1回の賃金支払い時には、「本人に出社を求め、現金で支払う」等のルールを定めているケースが見受けられます。本来、そういうルールを設けるのであれば、振込に関する協定書にも、一筆盛り込んで置くのが望ましいでしょう。
 しかし、そもそも協定書のモデル例をみると、「会社は従業員の同意を得て、本人の口座に振り込むことができる」という文言を用いるのが一般的です。
 会社は、「『できる』と書いてあるので振込は義務でない。任意にどちらかを選択できる」と主張しているようです。しかし、協定の文言は「通貨払いの原則」の例外として振込を可能とする趣旨です。選択可能という解釈は、ちょっと強引です。
 就業規則の絶対的必要記載事項に、「賃金の支払いの方法」(労基法第89条第2号)があるので、就規の条文を確認してください。そちらも「振り込むことができる」という文言なら、従業員が受領方法を予測できないので、適切な定め方とはいえないでしょう。
 仮に、業務の性格上、最後の賃金支払い日に出社を求めたい(貸与衣服の返還等のため)のなら、後々のトラブルを避けるため、会社は就業規則にその旨、明確に謳っておくのがベターです。休暇取得者への「いやがらせ」とも取られかねない対応は、避けるべきです。



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