• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

みなし取り下げ

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
   
       わかっちゃう! 知的財産用語    No.120
   
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


こんにちは!  わかっちゃう弁理士 西川幸慶です。


 ☆ 本日の知的財産用語


 [ みなし取り下げ ]


 特許出願などの出願を「取り下げた」ものとして扱うことです。



(1) 特許出願などの出願は、原則として出願人が「取下げ手続」を行えば、
 取り下げることができます。


 しかし、出願人が取下げ手続をしなくても、取り下げたとして扱われる場
合があります。

 このような場合のことを「みなし取り下げ」と呼びます。


 もちろん、自分の出願が勝手に取り下げられるのは困りますので、どのよ
うな場合に「みなし取り下げ」になるかは特許法などで定められています。




(2) 「みなし取り下げ」となる場合は、いくつかあるのですが一番 知って
 おいていただきたいのが特許の「出願審査請求(以下、単に「審査請求
 と言います)」を所定期間内にしなかった場合の「みなし取り下げ」です。


 特許出願は、出願しただけでは審査されません。


 審査してもらうためには「審査請求」の手続きを行う必要があります。


 この審査請求をすることができる期間(審査請求期間)は特許法で「出願
の日から3年以内」と決められています。


 つまり、出願の日から3年以内に審査請求をすると審査官がその出願につ
いて審査をします。


 一方、出願の日から3年以上経過しても審査請求されない出願は、審査さ
れることなく取り下げられたものとみなされます。つまり、取り下げ扱いと
なり、特許権を得ることはできなくなります。



 尚、特許法改正の関係で、平成13年9月30日以前にされた特許出願に
ついては、審査請求期間は出願の日から7年間です。御注意ください。




(3) 上記の審査請求がない場合の「みなし取り下げ」以外にも、出願が取り
下げとみなされる場合があります。


 出願変更の場合、例えば「実用新案登録出願」を「特許出願」に変更した
ような場合、元の出願(この場合は元の「実用新案登録出願」)は、取り下
げたものとみなされます。

 変更ということは別の出願に変えたわけですから、元の(変更前の)出願
を残しておくべきではないからです。



 国内優先権を主張して特許出願をした場合には、基礎となった出願は所定
期間経過後に取り下げたものとみなされます。


 国内優先権制度については詳しい説明は割愛しますが、簡単に言うと所定
の条件下で、出願済みの特許出願に内容を付け足すなどして新たに出願し直
すことができる制度です。


 この場合、国内優先権を主張した新たな出願に乗り換えたことになり、基
礎となる(先に出願した)出願は残しておく必要がなく所定期間経過後に取
り下げとみなされます。



 その他にも「みなし取り下げ」になる場合はいくつか有りますが、あまり
一般的ではないので今回は説明を省略します。

       ☆              ☆


[関連事項と経験談]


(1) 特許公開公報には出願審査請求の有無が記載されています。


 しかし、それは公開公報が発行された時点(正確には公開公報を作成した
時点だと思います)での審査請求の有無を示しているに過ぎません。


 公開公報発行後に出願審査請求されることも多いです。

 公開公報は原則として出願から1年半経過後に発行されますが、審査請求
は出願から3年だからです。


 ですから、公開公報に「出願審査請求されていない」旨が示されていても、
それだけではその出願が「みなし取り下げ」に成っているかどうかは判断で
きません。


 審査請求期間内に審査請求が有ったかどうかは「特許電子図書館」などを
利用すれば、調べることができます。(但し、特許電子図書館のデータベー
ス入力にタイムラグがあるので、注意してください。)



(2) 「みなし取り下げ」の「みなし」というのは、「みなす」という言葉か
 らきています。


 「みなす」とは、実際には同じではない事物を、一定の法律関係のもとに
おいて同じであると解釈して扱うことを意味します。


 よく似た言葉として「推定する」ということばがあるのですが、法律用語
としては意味が異なります。


 「推定する」の場合は、反証(そうでないことを立証)すれば、認識が覆
ることがあります。しかし、「みなす」の場合は反証が許されません。


 例えば

 「AはBであると推定する」

 という場合、反証が認められれば「AはBではない」という扱いになりま
すが、

 「AはBであると みなす」

 という場合には反証できないので「AはBである」ということが確実であ
るとして扱われます。

 
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 「わかっちゃう! 知的財産用語」

  発行   西川特許事務所 ( http://www.jpat.net/
       兵庫県西宮市東山台3丁目9-17  
       電話 0797-61-1841、 FAX 0797-61-1821 

  発行人  弁理士 西川 幸慶  pat@jpat.net
   
  ご意見、ご感想 お待ちしてます。

 感想メールをいただくと嬉しくて やる気が出るので、よろしくお願い
します。(「読んでるよ」の一言だけでも たいへん勇気づけられます。)

 * このメールに返信いただけば、西川に届きます。

☆「メール相談」 http://www.jpat.net/sodan.htm は「有料」ですが、
 出願等のご依頼に伴うご相談は「無料」で承っております。

☆ 恥ずかしながら・・
   私の日記  http://plaza.rakuten.co.jp/pinnote/
                       (書き込みも歓迎)

        ☆             ☆

 掲載された記事の内容を許可なく転載することを禁じます。
但し、署名を含めて全文転載でしたら転載,転送していただいて結構です。

  (C) 2006 Nishikawa Yukiyoshi 
 『まぐまぐ』 を 使ってお届けしています。
 本マガジンの解除は http://www.mag2.com/m/0000098536.htm から
 お願いします。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

[編集後記]

 学生時代によく行っていたカレーチェーン店に久しぶりに行きました。

その当時は

 「超大盛のカレーを制限時間以内に食べるとタダ!」

という企画があり、これにチャレンジして洗面器のような大きな皿に入った
カレーを食べている人もよく見かけました。

 たいていのチャレンジャーはギブアップしていましたが、そんなチャレン
ジの様子を見るのも その店の楽しみの一つでした。


 そして 店内には チャレンジに成功した人の写真が たくさん貼られて
おり、それが店の楽しい雰囲気を作り出していたように思います。


 ところが、今回久しぶりに行ってみると、例の「超大盛チャレンジ」はや
っておらず、チャレンジ成功者の写真もありませんでした。

 「大盛」や「大辛」の注文を煽るような表示もなく、昔とはずいぶん雰囲
気が変わっていたのが、少し残念でした。


 最近は、「超大盛チャレンジ」のような企画をやっている店は 少なくな
ったのでしょうかね?

 「今でも超大盛チャレンジの店がある。」とか「昔、チャレンジに成功し
た(又は、失敗した)ことがある。」など 楽しい話しがありましたら また
教えてくださいね。

絞り込み検索!

現在22,361コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP