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やる気集団のモクモク手づくりファームを作り上げた二人のオサム

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         シリーズ「コンピテンシーをレビューする!」

<第381回>[(第39話)「やる気集団のモクモク手づくりファームを
              作り上げた二人のオサムの経営学に学ぶ!」]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「コンピテンシー
をレビューする!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介していきま
す。中小企業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいた
だきたいと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論
1.なぜ過疎地に年間50万人も集客し、47億円も売り上げるのか!
2.ブランド作りで苦難を乗り越える!
3.今や、有名大学の学生の就活先!
【3】今日のまとめ
【4】編集後記

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農家は老人ばかり、耕作放棄地は埼玉県の面積に相当するまで拡大してしまった。
魅力がないから農家を継ぐ若者がいない。食糧自給率はたったの40%という有様。
戦争や政治の混乱が生じるたびに輸入に頼っている農産物の価格は高騰する。

そこに降って湧いたようにTPP(環太平洋戦略的経済連携)とやらが持ち上が
った。参加するかしないかで意見が二分され、政争の具になることは間違いない
だろう。

伊賀の里、三重県伊賀市と言えば過疎地だ。こんな過疎地に東京ドーム三ケ分の
広大な「モクモク手づくりファーム」がある。駐車場はマイカーで満杯、観光バ
スも多数やってくる。

入場料は大人も子供も一律500円だ。モクモク手づくりファームは自ら農業をし、
自ら加工し、そして自ら販売している。最近このような経営モデルを第六次産業
と呼んでいる。

だが、モクモク手づくりファームはどこにでもある第六次産業とは様子が違う。
かなり差別化されているのだ。そうでなければ年間50万人も集客できるわけがな
い。300人いる社員のやる気がすごい。自分たちで次々すばらしいアイディアを
出し、新商品開発に結びつけ、さらには楽しいネーミングを付ける。お客様への
楽しい農業体験の提供で驚きと感動を提供しているのだ。

そこで今回は「やる気集団のモクモク手づくりファームを作り上げた二人のオサ
ムの経営学に学ぶ!」と題して、「農協脱サラの二人のオサム氏が驚きと感動を
売りまくるマネジメント」について解説する。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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原料を作るだけで終わっていたらメーカーや量販店の下請け産業に過ぎなくなる。
自分たちで価格を決められる新しい農業をやろうと思ったんですよ。

                     二人のオサム

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【2】メルマガ本論

[(第39話)やる気集団のモクモク手づくりファームを作り上げた
二人のオサムの経営学に学ぶ!]

1.なぜ過疎地に年間50万人も集客し、47億円も売り上げるのか!

なぜ過疎地に年間50万人も集客できるのか、そして47億円も売り上げることがで
きるのか。わざわざ韓国からまで視察団が来る。「来るものは拒まず」で丁寧に
対応している。

経営者は二人のオサム氏。社長は木村修氏(60歳)、専務は吉田修氏(61歳)。
二人は三重県の農協の職員として入所したときの同期の桜だった。性格がまるで
違うのになぜか“ウマ”が合う。専務の吉田修氏は獣医として養豚農家の指導を
やっていた。社長の木村修氏は豚の売り込み営業を担当していた。


□ スーパーのバイヤーに半値なら買うと言われて

伊賀地方の豚は良質でとても旨かった。良質の豚に育て上げても当時は豚肉の存
在価値は低かった。国産も輸入品も同じ感覚で扱われていた。スーパーのバイヤ
ーには「安いところはいくらでもある。半値なら買ってもいい」と言われてがっ
くり肩を落とした。原料だけ作っても付加価値がないと思い知らされた。

二人は「自分たちで価格を決められる新しい農業を作ろう」と誓い合い、今から
24年前に一軒のログハウスからスタートした。


□ 16人の養豚農家にも出資を募り、ハム工房を立ち上げる!

二人は農協を退職してハムやソーセージの工房を立ち上げた。同時に16人の養豚
農家に声を掛け、一人200万円ずつ出資してもらい協同組合を立ち上げた。目指す
は下請けにならない農業だ。

当時から安全・安心、そして味へのこだわりを持ち続けている。それが熱烈なフ
アンを作ってきたのだ。それには地元産の食材にこだわる必要があった。野菜の
直売所には100軒以上の農家が野菜を持ち込み、値段を自ら決める。パン工房で
使う小麦は地元産、ビール工房で使う大麦ももちろん地元産だ。これで地元の農
家も元気になれる。


2.ブランド作りで苦難を乗り越える!

モクモク手づくりファームを立ち上げた当初は赤字続きだった。しかし二人のオ
サム氏は前を向いて進んだ。人手を掛けられないから家族を動員して急場をしの
いだ。


□ ブランドを作らなければ生き残れない

大量生産しているわけでない。少量多品種で零細小規模だから地域の中で自分た
ちの存在価値を明らかにしていくようなブランドを作ろう。二人のオサム氏は妙
に“ウマ”が合う。

1989年 バレンタインのプレゼント用のハムを売り出す。(品名は、ホーラーバ
レンタイン)
1990年 選挙があった年だ。「創政治」とネーミングしたソーセージがバカ売れ
した。
1990年 米の自由化反対運動を支援して「米こめウインナー」とネーミングした
ウインナーを発売したところバカ売れした。

話題性がない中小メーカーは注目されない。次々“のろし”を上げることの必要
性を思い知った。伊賀地方と言う生活圏の中で自分たちの農業を知らしめること
に成功したのである。

モクモク手づくりファームを成功に導いた要因はたくさんあるが主なものは下記
の三つに要約される。


<モクモク流その1>

いつ来てもアイディア商品が売られている。蚊取り線香のように渦巻いた「ぐる
ぐるウインナー」は大ヒット商品だ。ナイフで切ると中からスープが飛び出す
「生ウインナー」もお客様に驚きと感動を与えている。これらはほんの一例だ。


<モクモク流その2>

農業体験のプログラムが盛りだくさん用意されている。例えば、イチゴ狩り一つ
にしてもただのイチゴ狩りとはわけが違う。よその農場のイチゴ狩りでは、母親
が子供に「たくさんお食べ。元が獲れないから」と言う。モクモクではイチゴの
栽培方法やうんちくが学べる。ガイドが「皆さん、イチゴは果物ですか、お野菜
ですか」と質問する。大概の人は「果物」と答える。

「残念でした。イチゴはお野菜なんですよ。木に成るもが果物。イチゴはちなみ
にバラ科に属するお野菜と覚えて下さいね」と。大人も子供も一つ利口になれる
のだ。

ウインナー作りの体験コースは数ヶ月先まで予約でいっぱいという有様だ。


<モクモク流その3>

モクモクネイチャークラブの会員はいまや4万人以上もいる。会員になってもら
うことで熱烈なファンを増殖しているのだ。通販ではこれらの会員が買ってくれ
るからありがたい。

実はモクモク手づくりファームでは温泉と宿泊施設も運営している。水道工事中
に温泉が湧いたのだ。最初は銀行が融資すると言ってくれたが実際は「貸し渋り
」だった。そのとき約3万人(当時)の会員に正直に「夢はあるけど金がない」
と発信したところすぐさま2億円弱が集まったと言う。

二人のオサム氏は「消費者はお客さんじゃなくて仲間なんですよ。常に僕らは消
費者の仲間でありたい」と言っている。仲間意識はすごいパワーをもたらすのだ。


3.今や、有名大学の学生の就活先!

今年(平成24年4月)、モクモク手づくりファームにも東大卒を含む6人の新入
社員が入ってきた。会社説明会ともなると全国から150人以上も集まってくると
言うから驚く。

早稲田大学や中央大学、東京農業大学出身の先輩たちが既に働いている。必ずし
も農業系の出身者ばかりではない。畑違いの法律や経済を学んだ人も入社してく
る。地元に戻り働きたいと言う人もいれば、モクモク手づくりファームの経営理
念に共鳴したと言う学生も集まってくるのだ。

「モクモク手づくりファームのようなところが日本に100ケ所はほしい。それぐ
らいあれば日本の農業は必ず変わる」と二人のオサム氏は言う。今、鹿児島県徳
之島でのコーヒー豆の生産を支援している。「おせっかいが好きなんですよ」と
顔を見合わせて笑う二人だ。

300人の社員は、仕事のできる人の集団、近隣の農家もやる気集団。値段を自分
たちで決める農業は確実に多くのファンを作っている。



【3】今日のまとめ

1.「価格を自分たちで決められる農業をやろう」と二人のオサム氏がモクモク
  手づくりファームを立ち上げたこと。

2.二人のオサツム氏は、生活圏の中で自分たちの農業を知ってもらうため、ブ
  ランド作りに命を燃やしたこと。

3.アイディア商品満載、農業体験コーナー、ネイチャークラブ会員という三つ
  の柱でお客様を「仲間」にしてしまい、熱烈なファンを作っていること。

4.モクモク手づくりファームは、今や、学生の就活対象の企業になっているこ
  と。

5.韓国からまで視察団が訪れていること。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp



【4】編集後記

経営者が替わっても再生できなかったハウステンボスが蘇った。仕掛けたのは経
営のプロでHISの創業者でもある澤田秀雄氏である。今、ハウステンボスは年
間を通して驚きと感動を与えている。これが決め手だった。創業以来赤字が当た
り前だった。社員にやる気を出せとハッパを掛けてもむなしかった。今は自主的
に社員が動くようになった。

ハウステンボスでもモクモク手作りファームでも社員が自ら考え、そして実行す
る。すると、お客様の反応がたちどころに現れる。これのスパイラルアップを形
成することが「仕事のできる人の集団」を作っていくのだ。

長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=


次回に続く。

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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
こちらから http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/

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