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「多様性」 と 「統一性」 を結びつけるもの

総務の森』コラムをご覧のみなさま


こんにちは! 合同会社5W1Hの高野潤一郎と申します。

プロフィールとバックナンバーは、こちらからご覧いただけます。
http://www.soumunomori.com/profile/uid-97755/

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HR総研様の『人事白書2014』の2箇所(育成関連および人事
戦略関連)で、弊社サービスをご紹介いただきました。
https://www.hrpro.co.jp/hks_kyosan.php
併せてご覧いただければ幸いです。

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本コラムでは、弊社配信の無料ニューズレター第114号(2012年4月
17日配信)で公開した記事の一部をシェア差し上げます。
今回のタイトルに興味をお持ちいただけた方は、是非、お役立てく
ださい。

<以下、抜粋記事となります。その旨、予めご了承くださいませ。
 なお、システム上、本コラムでご紹介できない『図表』などを含
 めた『全文』は、後述のリンク先より、無料で、何の登録手続き
 もなく、ご覧いただけますので、ご安心ください。>

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(前略)

経営者や、人事労務といった仕事に携わっている方が使う「ダイ
バーシティ」(多様性)という言葉について、私は以前から違和感
を覚えていました。

たまたま、昨日もその話が繰り返されたので、今回は、多様性とい
う言葉が指す内容に関する私の考えからご紹介してみようと思いま
す。


■経営者、人事労務担当者の言う「多様性」への違和感

「違和感」は、経営者や人事労務といった仕事に携わっている方
が使う「ダイバーシティ」(多様性)という言葉が指す内容と、私
が想定している「多様性」という言葉が指す内容が異なることから
生じています。

「多様性」という時、経営者や人事労務といった仕事に携わって
いる方々は、「女性の採用比率を高めること」「女性の管理職を増
やすこと」「女性が活躍できる組織にすること(…産休、育児休暇
ほか制度上の整備)」「(正社員、派遣社員などといった)職務形
態をいくつか許容していること」「外国人採用比率を高めること」
などといった内容を指しておられることが多いと感じています。

絶滅危惧種や生態系を守るという話であれば、数千万種類とかの生
物種(※1)について考えるので、生物「多様性」という言葉が用
いられていることに納得できるのですが、私は、「2」種類しかな
いジェンダー(性別)や、「数」種類しかない職務形態、「数%」
の外国人採用比率などを指して、「多様」だと呼ぶことに違和感を
覚えています。

※1 生物種の数は控えめに見積もって、1億に達すると推定され、
そのうち現在までに発見され、命名されているのは約175万種にの
ぼるそうです。


雇用問題やキャリア・デザインについて興味がある方々や、組織の
イメージに配慮する必要がある方々が、デモグラフィックな
(demographic:人口統計学的;性別、年齢、居住域、所得、職業、
学歴などといった属性)データを氣にされて、「性別・人種・社会
経済的側面などの多様性」といった切り口を大切にされる姿勢はわ
かるのですが、

「組織活動の目的に則って考えれば、『リソースの多様性』(※2)
こそが大切なのではないか?」と思っています。

※2 リソース / Resources
知識、経験、スキル、ヴァイタリティ、エネルギー、資金、時間、
人脈、新たに登場したテクノロジー、ストラテジー、機会…など、
目的や目標の達成のために活用できるすべての「資源」を指す。


別の表現の仕方をすれば…「数」の概念が未発達で「いち、に、た
くさん」という数量認識で事足りる時代・社会ではないため、ジェ
ンダーなどに「多様性」といった言葉を当てるのは不適切ではない
か。

また、確かに「デモグラフィックな観点から見た、雇用の公平性」
といった切り口も大切かもしれないですが、それは、組織が高い付
加価値を生み出し、提供するなどといった目的を満たすための「必
要条件の1つ」でしかないのではないでしょうか。
(…例えば、「いろいろな人が集まっていても、「質問し合うこと
  を奨励する組織文化」などがなければ、その有用性が活かせな
  い。」という場合があります。)

もし、組織活動の目的について考える上で「多様性」という言葉を
用いるのであれば、「組織の競争力、協働、相乗効果を高めるリソ
ースとしての多様性」(…多様な「考え」の発信や、多様な「経験」
の共有がなされ、組織の目的・目標に役立つ化学反応を起こす環境
が整えられていること)といった切り口を重視するのが、より本質
的ではないか?というのが、私の主張です。

私のように企業研修やコーチング、コンサルティングに携わり、人
財を重視する経営者や人財育成の部署に属される方々と話す機会が
ある者からすると、

より望ましい意思決定を可能にしたり、イノベーションを起こした
りする場面で求められる、「『多様な考え』を生み出す人財」の育
成、「『多様な考え』の創出と育成を促す組織文化」の醸成といっ
た視点から「多様性」について考えること、「(人の属性にばかり
着目するのではなく)多様な考えが生まれる人や状況を育てること」
が重要ではないかと思うのです。

…デモグラフィックな観点から組織構成要員のバランスについて考
えるのは、スナップショット的思考(静的思考)であって、組織活
動の目的・目標達成に向けて「人や組織の変化を促す」取り組みと
いったダイナミックな観点から「多様性」について考えることも重
要ではないか、という提案です。

(中略)


■「多様性」と「統一性」のジレンマ

さて、ここまでは「組織活動の目的から考えれば、『多様なリソー
スを持つ人財の育成』『多様な発想を奨励する組織文化の醸成』が
大切ではないか」と、「多様性」に関する持論をご紹介してきたわ
けですが、今度は組織の「統一性」についても触れてみようと思い
ます。

例えば、イノベーションを生み出す苗床・組織に活力を与える源と
して「多様性」が重要である一方、組織が、組織の目的に適う活動
を進めていくことを考えると、取引先・関係機関・お客様などから、
「統一性」のある組織だと感じていただけるように取り組むことも
同様に重要だと、私は認識しています。

つまり、「部署ごとに異なる役割を果たしつつも、組織全体として
統一感のある存在である」ことで、組織内の人々が「自組織に対す
る誇りや愛情を育んでいく」こと、

また、経営理念などに則った「一貫性のある対応」で、組織外の人
々から、統一性を備えた組織であると感じていただき、「組織外の
人々からの信頼を獲得する」ことなども、組織活動を行っていく上
で、非常に重要だと考えているということです。

「多様性」と「統一性」という真逆な言葉だけ取り出して考えると、
組織活動の現場で、実際にどういった意思決定や取り組みをしてい
けばいいのかわからないと、「ジレンマ(dilemma:対象とする問
題に対して2つの選択肢が存在し、そのどちらを選んでも不利益を
被ることがわかっているため、意思決定できていない状態。…弊社
用語集)」に陥る経営者・リーダー・マネジャーもいらっしゃるの
ではないでしょうか?

合同会社5W1H流コーチング学習プログラム」テキストでは、
”The Laws of the Fifth Discipline”, Peter Senge (1990) よ
り、「システム思考の法則」について、凝縮および改変して引用し
た箇所があり、そこでは、ジレンマについて、下記のような形で紹
介しています。

============================================================
(前略) 例えば、長い間、米国の製造業者は、低コストか高品質
かのどちらかを選ばなければならないと思っていた。

「高品質の製品は製造コストが高い。組立にかかる時間も長いし、
必要な原材料や部品の価格も高く、より広範囲の品質管理が必要に
なる。」と考えていたのだ。

彼らが考えなかったのは、長期的に品質の向上とコストの低減を両
立させる方法だ。

品質向上に責任を負うすべての人を参加させるための新たな方法も
含め、組立の新たなスキルや方法に時間とお金を投資し開発するこ
とは、「前払いのコスト」である。

当初数ヶ月は、品質も向上するが、コストも上昇するだろう。

一部のコスト低減はかなり早くに達成できるかもしれないが、全体
的なコスト低減を実現するには数年かかる場合もある。

このように、最も厄介なジレンマが、システム的な視点から見れば、
まったくジレンマでないこともある。

ジレンマの多くは、スナップショット(静的思考)の副産物であり、
プロセス主義から出てくるものではない。

一見ジレンマと思われるものの多くが、融通の利かない「二者択一」
であるようにしか思えないのは、私たちが、ある固定化された時点
で何が可能かを考えるからだ。

翌月のことを考えるならどちらか一方を選ばなければならないかも
しれないが、真のレバレッジ(※4)は、長期に渡っていかに両方
を改善できるかを見ることにある。 (後略)
============================================================
※4 レバレッジ(leverage)
少ない力で大きな効果を生み出す「てこの作用」のこと

(中略)

すなわち、組織の目的・目標が効果的あるいは効率的に達成できる
よう、「多様性」と「統一性」を両立させるには、「組織内外の状
況を時々刻々見極めた上で、その都度適切な意思決定を繰り返し、
組織の形態・在り方や自分たちの活動内容・活動の仕方・関わり合
い方などを変え(自己組織化し)ていくこと」も重要なアプローチ
であると、私は考えています。(中略)

ここで言っている「組織内外の状況を時々刻々見極めること」を
「メタ認知」(※6)と呼び、「状況変化に応じて、その都度適切
な意思決定を繰り返し、組織の形態・在り方や自分たちの活動内容・
活動の仕方・関わり合い方などを変え(自己組織化し)ていくこと」
を「フィードバック」(※7)と呼ぶことがあります。

そのため、表現を変えれば、「『多様性』と『統一性』を結びつけ
るものは、『メタ認知』と『フィードバック』である」とも言えそ
うです。

※6 メタ認知(meta-cognition)
自分自身の思考・感情・言動を客観的に把握・認識すること。深く
自己を省みる「内省」に用いられる。


※7 フィードバック(feedback)
一般には「着目しているシステムからのアウトプットを見て、それ
を正すようにシステムの制御を行うことをフィードバックという」
が、コーチングなどの分野では、「評価や判断は行わず、相手ある
いは第三者が(主に視覚・聴覚・身体感覚を用いて)観察・確認で
きる情報を、相手に伝えること」を指す場合がある。

良くない例:「○○の話をしているときは喜んでいた(←観察者の
評価(相手が"喜んでいる"ように思った)が含まれているため)」、
良い例:「○○の話をしているときに、右頬が少し上がっていたけ
れど、あのときには何を考えたり、感じたりしていたのですか?」
など。

(中略)


■実務を通したマネジメント・スキルの習得

組織活動の現場で、「多様性と統一性のジレンマ」などに取り組ま
れる、経営者・リーダー・マネジャー・エグゼクティブと呼ばれる
方々、あるいは、グローバルに活躍できる人財は、「関係者のさま
ざまな利害や状況変化が絡む『実務』」(≠知識の一方的な伝達)
を通して、

------------------------------------------------------------
・予測困難な状況下での意思決定と、それに伴う心身状態の管理
・資源の適正配分
・対人関係の構築・育成(信頼関係の醸成)
・関係者の動機付け
・交渉
・適切な情報伝達・共有
------------------------------------------------------------

などに有効なスキルについて学び、それらを磨き続けていくことが
求められています。こうした、実務を通したマネジメント・スキル
の習得(≠知識の獲得)を効果的・効率的にするものが、「多様性
と統一性を結びつけるもの」としてもご紹介した「メタ認知に基づ
くフィードバック・プロセス」であることについて、あなたは何を
感じられるでしょうか?

ここで言う、「メタ認知に基づくフィードバック・プロセス」とは、
具体的に何を指しているのでしょうか?

実は、「メタ認知に基づくフィードバック・プロセス」とは、何か
まったく新しいものを指しているのではなく、本ニューズレターを
ご購読の方には馴染みのある、「『認知心理学的視点』および『シ
ステム思考』を盛り込んだコーチング」を指しているのです!

(中略)


■PDCAサイクルの、CとAを活かす

ここまで、「『多様性と統一性の両立』に役立つもの」、「実務を
通した『マネジメント・スキルの習得』(≠知識の獲得)を効果的・
効率的にするもの」が、「合同会社5W1H流コーチング学習プロ
グラム」でもお伝えしている「メタ認知に基づくフィードバック・
プロセス」であるという話をご紹介しました。

初めての話が多かった方には、「何だか難しそうな話だなぁ」と思
われた方もいらっしゃったかもしれません。

しかし、ここまでの話というのは、幅広い分野に当てはまるように
と、抽象度の高い言葉を使ったために難しそうに感じるのであって、
中身は、私たちが良く知っている(かもしれないけれど、実際には
実行できていない)話に過ぎないのです。

表計算ソフトの使い方を身につけるのであれ、自動車の運転方法を
学ぶのであれ、泳げるようになるのであれ、楽器を扱えるようにな
るのであれ…あなたが、もし「3分以上前の記憶や身体感覚を失っ
てしまう体質」であったとしたら、どうでしょう?

新たな事柄を習得することが、(少なくとも)極めて困難になりそ
うだと想像できないでしょうか?

合同会社5W1H流コーチング学習プログラム」テキストでは、
「あらゆる学習は、フィードバック・プロセスである」という話も
紹介していますが、

新たな事柄を習得(≠知識の獲得)しようとする際に、「学んだ内
容を、目的・目標達成に向けて実際に使ってみて、その結果や影響
などについて、(メタ認知を活かして)振り返り、より望ましい結
果や影響が得られるよう仮説を立ててやり方に修正を加える(学ん
だことの活用法にフィードバックをかける)という手順を繰り返す」
経験は、どなたもお持ちなのではないでしょうか?

しかし、「わかっているけれど、やっていない」場合が非常に多い
のです。

最近では、多くの組織が「戦略」あるいは「計画」を持っていると
聞きます。

では、昨年/前年度に立案した戦略/計画の結果や影響について、
「何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを把握し、”その
事実を踏まえて”、今年/今年度の戦略/計画を立てている人/組
織」がどのくらいあるか、PDCAサイクル(Plan→Do→Check→
Actサイクル:計画→実行→評価→改善といった手順で組織活動を
行うというマネジメント手法)の「C→Aのプロセス」にどの程度
力を入れて実施されているのか、あなたの周囲を確認してみてくだ
さい。

(…「忘年会」「トップの交代」「春休み」などの後、昨年/前年
 度のことを振り返らず、積極的に「きれいさっぱり」忘れようと
 されていませんか?)

私が最近の仕事でご一緒させていただいた方々、朝の研究会・夜の
勉強会メンバーなどに確認したところ、上記のような形で「メタ認
知に基づくフィードバック・プロセス」を活用している人/組織は
稀だったのですが、あなたの身の回りでは、いかがでしょうか? 

「あらゆる学習は、フィードバック・プロセスである」という切り
口に立って、ご自身あるいは所属されている組織について振り返っ
てみると、どんなことに氣づき、何を感じられるでしょうか?

(後略)

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冒頭でご案内差し上げましたように、本記事の『全文』は、下記
よりご覧いただけます。上記抜粋記事をご覧になった上で、詳細
についてお知りになりたい方は、是非ご活用くださいませ。

●ニューズレター第114号
 「多様性」と「統一性」を結びつけるもの
 → http://5w1h.hatenablog.jp/entry/114(ブログ版)
 → http://www.5w1h.co.jp/newsletter/no114.pdf(PDF版)
============================================================
出典を明記していただき、『著作権法』で認められる『引用』の
範囲を超えなければ、許可なしで部分引用可能です。
また、内容を改変せず、元のままの形(あるいは上記リンク先)
であれば、お知り合いなどに転送していただいて構いません。
============================================================


以上、何か少しでも、『総務の森』コラムをご覧のみなさまの
お役に立てることがあれば幸いです。

お忙しいところ、目を通していただき、ありがとうございました!

               高野潤一郎@合同会社5W1H

P.S.1
● 9月13日(土)スタート
 合同会社5W1H流『コーチング学習プログラム』
 http://www.5w1h.co.jp/pl/clp.html
【 最初の2日間へのお試し参加も可能です。 】

●9月25日(木)~26日(金)
 「フレームワーク質問力(総論)」セミナー
 http://www.5w1h.co.jp/pl/saimf.html

●9月7日(日)ほか 月1回
 視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力
 を育みたい人のための「教養醸成の会」
  http://www.5w1h.co.jp/pl/CGG.html
 次回は、『弓と禅』と『禅と日本文化』の2冊です。


P.S.2
「『チーム/組織の業績向上』につながる『人財育成研修』が重要
だ!」と考える経営者・経営幹部・人財育成担当部門のみなさま向
けに『イマージョン・シリーズ』をご用意しました。

●イマージョン・シリーズ
 (初月コア研修+3~6ヵ月フォローアップ研修)

 詳細確認はこちら↓からどうぞ。
 http://www.5w1h.co.jp/hcd/immersion.html


P.S.3
もし『図表』を用いた解説も多い弊社発信情報にご興味をお持ち
いただけたようでしたら、下記もご覧になってみてください。

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 「自律共栄の納得人世」の実現に向け、
 「人財と組織の育成を支援」する 合同会社5W1H

         代表 高野 潤一郎 [ 博士(先端科学技術) ]

合同会社5W1Hウェブサイト 】 http://www.5W1H.co.jp/


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