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弁護士
法人クラフトマン 第155号 2015-08-11
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顧問料)についての詳細
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0 前書き
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猛暑の中、ご健勝のこととお慶び申し上げます。本稿を執筆して
おります弁護士の石下(いしおろし)です。
先週発行予定でした本稿ですが、諸々の事情で発行ができません
でした。申し訳ありません。
さて、筆者は邦画をよく見るのですが、少し前、家の近くのゲオ
が閉店するとのことで、レンタルDVDを安売りしていました。
筆者がゲットしたのは、「かもめ食堂」「キツツキと雨」「歩い
ても歩いても」。個人的にはとても良い作品が手に入ったと思って
います。
では今回のテーマ『業務上の指導といわゆる「
パワハラ」』をご
高覧ください。
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1 今回の判例 業務上の指導といわゆる「
パワハラ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
福井地裁平成26年11月28日判決
A氏は、平成22年4月、高卒後B社に入社し、消防設備や消火
器等の保守点検業務に従事していました。
しかし、同年12月6日、A氏が、自宅の2階の自室において自
殺したことがは母親によって発見されました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2 裁判所の判断
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
裁判所は、以下のとおり判断し、会社の責任を認めました。
● 「学ぶ気持ちはあるのか、いつまで新人気分」「
詐欺と同じ、
3万円を泥棒したのと同じ」「待っていた時間が無駄になった」「
耳が遠いんじゃないか」「嘘をつくような奴に点検をまかせられる
わけがない」「点検もしてないのに自分をよく見せようとしている
」「人の話をきかずに行動、動くのがのろい」「何で自分が怒られ
ているのかすら分かっていない」「反省しているふりをしているだ
け」「嘘を平気でつく、そんなやつ会社に要るか」「嘘をついたの
に悪気もない」「会社辞めたほうが皆のためになるんじゃないか、
辞めてもどうせ再就職はできないだろ、自分を変えるつもりがない
のならば家でケーキ作れば、どうせ働きたくないんだろう」「死ん
でしまえばいい」「辞めればいい」「今日使った無駄な時間を返し
てくれ」といった上司の発言は、仕事上のミスに対する叱責の域を
超えて、A氏の人格を否定し、
威迫するものである。
● これらの言葉が経験豊かな上司から入社後1年にも満たない社
員に対してなされたことを考えると典型的なパワーハラスメントと
いわざるを得ない。
● A氏は、高卒の新入社員であり、作業に当たっての緊張感や上
司からの指導を受けた際の圧迫感はとりわけ大きいものであるから
上司による人格を否定する言動を執拗に繰り返し受け続けてきた心
理的負荷は極めて強度であり、上司の言動はA氏に精神障害を発症
させるに足りるものであった。
● 上司のA氏に対する
不法行為は、外形上は業務上の指導として
なされたものであり、会社も責任を負う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3 解説
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(1) 違法となる「
パワハラ」の定義
近年は、職場における「パワーハラスメント」(「
パワハラ」)
が問題視され、社会的な問題ともなっています。そもそもこの「パ
ワハラ」とは何でしょうか。
この点、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円
卓会議ワーキング・グループ報告」によると、「
パワハラ」とは、
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場
内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的
苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」とされていま
す。
具体的には、暴力行為、脅迫・暴言等の精神的な攻撃、隔離・仲
間外し・無視といった人間関係からの切り離し、業務上明らかに不
要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害といった過大な要
求のほか、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低
い仕事を命じることや仕事を与えないことといったものも含まれま
す。また、私的なことに過度に立ち入ることも
パワハラに含まれる
ことがあるとされています。
(2) 指導・叱咤激励と
パワハラの関係
ここで難しいのは、どこまでが「指導」「叱咤激励」となり、ど
こからが違法な「
パワハラ」なのか、という点です。一般的に、か
つ明確で単純な一つの線を引くことは難しいですが、ざっくりとい
えば「業務の適正な範囲」にあるか否かといえるかと思われます。
この点例えば、「死ね」「給料泥棒」「うちにはいらない」「早
く辞めろ」「能なし」「消えてくれ」といった、発言の内容自体か
ら、明らかに人格攻撃・人格侵害とみられる発言は、それだけでパ
ワハラと評価される可能性が高いと考えられます。
それは、業務上の「指導」が目的であることを考えれば、業務上
の問題点の改善につながるよう、問題点とその改善方法について指
導を行えば足り、これを超えて相手方の人格自体を攻撃する必要は
ないからです。実際、本件の事案も同様の理由が
パワハラを肯定す
る一つの大きな要素となったと思われます。
他方、発言自体が明らかに人格攻撃とはいえないものの、厳しい
叱責といえるような発言の場合は、判断は複雑です。
まずは、部下の問題行動の内容や程度が関係します。部下の問題
行動が重大・重要であって、繰り返されている場合には厳しい叱責
も必要性の範囲内とされる場合もあると思われます。もっとも、ミ
スが明らかになった時点では看過できない重要なものだと思っても
よく調べてみるとそれほど重大ではなかったとか、部下だけの責任
とはいえなかったということもありえますから、部下の「落ち度」
が、本当に厳しい指導をしなければならないものといえるか、可能
なら少し時間を置いて冷静になって今一度考えるのは有益かもしれ
ません。
また、人間である以上「つい言いすぎてしまう」ということは誰
もあるものです。しかし、例えば部下が行った1回の問題行動につ
いて、長期間、執拗に「厳しい叱責」が繰り返されるという場合、
これが
パワハラと評価される要素になりえます。それで、過去に起
こったことについて叱責を繰り返したり、ひどい嫌味や悪意のある
皮肉を繰り返したりするような言動も避けることは必要かと思われ
ます。
さらに、指導の具体性も関係があります。精神論に終始し、「根
性がない。やる気出せ」「お前が何とかしろ」「お前は小学校も出
ていないのか」といった抽象的・精神論的・皮肉を交えての指導は
避け、業務上の具体的な問題点の改善につながる具体的な指導を心
がける必要があると考えられます。
なお、以上は考慮すべき要素の一部であり、上は一般的な基準を
申し上げるものではありませんが、ここで申し上げた視点が、パワ
ハラ防止・改善による働きやすい職場の実現と、適切な指導・教育
による社員の能力との調和を図る上で参考になれば幸いです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
4 弊所ウェブサイト紹介~労働法 ポイント解説
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企
業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。
例えば本稿のテーマに関連した労働法については
http://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/roumu/index/
において解説しています。必要に応じてぜひご活用ください。
なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイト
において解説に加えることを希望される項目がありましたら、メー
ルでご一報くだされば幸いです。
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本稿の無断複製、転載はご遠慮ください。
ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申
出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
て無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛
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【編集発行】
弁護士
法人クラフトマン
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mailto:
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ても歩いても」。個人的にはとても良い作品が手に入ったと思って
います。
では今回のテーマ『業務上の指導といわゆる「パワハラ」』をご
高覧ください。
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1 今回の判例 業務上の指導といわゆる「パワハラ」
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福井地裁平成26年11月28日判決
A氏は、平成22年4月、高卒後B社に入社し、消防設備や消火
器等の保守点検業務に従事していました。
しかし、同年12月6日、A氏が、自宅の2階の自室において自
殺したことがは母親によって発見されました。
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2 裁判所の判断
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裁判所は、以下のとおり判断し、会社の責任を認めました。
● 「学ぶ気持ちはあるのか、いつまで新人気分」「詐欺と同じ、
3万円を泥棒したのと同じ」「待っていた時間が無駄になった」「
耳が遠いんじゃないか」「嘘をつくような奴に点検をまかせられる
わけがない」「点検もしてないのに自分をよく見せようとしている
」「人の話をきかずに行動、動くのがのろい」「何で自分が怒られ
ているのかすら分かっていない」「反省しているふりをしているだ
け」「嘘を平気でつく、そんなやつ会社に要るか」「嘘をついたの
に悪気もない」「会社辞めたほうが皆のためになるんじゃないか、
辞めてもどうせ再就職はできないだろ、自分を変えるつもりがない
のならば家でケーキ作れば、どうせ働きたくないんだろう」「死ん
でしまえばいい」「辞めればいい」「今日使った無駄な時間を返し
てくれ」といった上司の発言は、仕事上のミスに対する叱責の域を
超えて、A氏の人格を否定し、威迫するものである。
● これらの言葉が経験豊かな上司から入社後1年にも満たない社
員に対してなされたことを考えると典型的なパワーハラスメントと
いわざるを得ない。
● A氏は、高卒の新入社員であり、作業に当たっての緊張感や上
司からの指導を受けた際の圧迫感はとりわけ大きいものであるから
上司による人格を否定する言動を執拗に繰り返し受け続けてきた心
理的負荷は極めて強度であり、上司の言動はA氏に精神障害を発症
させるに足りるものであった。
● 上司のA氏に対する不法行為は、外形上は業務上の指導として
なされたものであり、会社も責任を負う。
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3 解説
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(1) 違法となる「パワハラ」の定義
近年は、職場における「パワーハラスメント」(「パワハラ」)
が問題視され、社会的な問題ともなっています。そもそもこの「パ
ワハラ」とは何でしょうか。
この点、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円
卓会議ワーキング・グループ報告」によると、「パワハラ」とは、
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場
内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的
苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」とされていま
す。
具体的には、暴力行為、脅迫・暴言等の精神的な攻撃、隔離・仲
間外し・無視といった人間関係からの切り離し、業務上明らかに不
要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害といった過大な要
求のほか、業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低
い仕事を命じることや仕事を与えないことといったものも含まれま
す。また、私的なことに過度に立ち入ることもパワハラに含まれる
ことがあるとされています。
(2) 指導・叱咤激励とパワハラの関係
ここで難しいのは、どこまでが「指導」「叱咤激励」となり、ど
こからが違法な「パワハラ」なのか、という点です。一般的に、か
つ明確で単純な一つの線を引くことは難しいですが、ざっくりとい
えば「業務の適正な範囲」にあるか否かといえるかと思われます。
この点例えば、「死ね」「給料泥棒」「うちにはいらない」「早
く辞めろ」「能なし」「消えてくれ」といった、発言の内容自体か
ら、明らかに人格攻撃・人格侵害とみられる発言は、それだけでパ
ワハラと評価される可能性が高いと考えられます。
それは、業務上の「指導」が目的であることを考えれば、業務上
の問題点の改善につながるよう、問題点とその改善方法について指
導を行えば足り、これを超えて相手方の人格自体を攻撃する必要は
ないからです。実際、本件の事案も同様の理由がパワハラを肯定す
る一つの大きな要素となったと思われます。
他方、発言自体が明らかに人格攻撃とはいえないものの、厳しい
叱責といえるような発言の場合は、判断は複雑です。
まずは、部下の問題行動の内容や程度が関係します。部下の問題
行動が重大・重要であって、繰り返されている場合には厳しい叱責
も必要性の範囲内とされる場合もあると思われます。もっとも、ミ
スが明らかになった時点では看過できない重要なものだと思っても
よく調べてみるとそれほど重大ではなかったとか、部下だけの責任
とはいえなかったということもありえますから、部下の「落ち度」
が、本当に厳しい指導をしなければならないものといえるか、可能
なら少し時間を置いて冷静になって今一度考えるのは有益かもしれ
ません。
また、人間である以上「つい言いすぎてしまう」ということは誰
もあるものです。しかし、例えば部下が行った1回の問題行動につ
いて、長期間、執拗に「厳しい叱責」が繰り返されるという場合、
これがパワハラと評価される要素になりえます。それで、過去に起
こったことについて叱責を繰り返したり、ひどい嫌味や悪意のある
皮肉を繰り返したりするような言動も避けることは必要かと思われ
ます。
さらに、指導の具体性も関係があります。精神論に終始し、「根
性がない。やる気出せ」「お前が何とかしろ」「お前は小学校も出
ていないのか」といった抽象的・精神論的・皮肉を交えての指導は
避け、業務上の具体的な問題点の改善につながる具体的な指導を心
がける必要があると考えられます。
なお、以上は考慮すべき要素の一部であり、上は一般的な基準を
申し上げるものではありませんが、ここで申し上げた視点が、パワ
ハラ防止・改善による働きやすい職場の実現と、適切な指導・教育
による社員の能力との調和を図る上で参考になれば幸いです。
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4 弊所ウェブサイト紹介~労働法 ポイント解説
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例えば本稿のテーマに関連した労働法については
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